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一定の資産規模と投資経験を有する個人は、金融庁長官への届出により「適格機関投資家」となることができます。
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一定の資産規模と投資経験を有する個人は、金融庁長官への届出により「適格機関投資家」となることができます。
適格機関投資家は、金融商品取引法上、金融・投資に関する専門的な知識及び経験を有する投資家として位置付けられる制度です。
銀行、証券会社、保険会社、投資運用業者などの金融機関だけではなく、一定の要件を満たした法人や個人についても、金融庁長官への届出によって適格機関投資家となることができます。
個人の場合、特に重要となるのが、「有価証券10億円以上」という資産要件と、証券口座等を開設してから1年以上という要件です。
一方、適格機関投資家となることは、単に「富裕層向けの資格」を取得することではありません。
適格機関投資家私募、適格機関投資家等特例業務、ファンド組成、プロ投資家向け金融商品など、金融商品取引法上のさまざまな制度と関係するため、届出を検討する際には、その法的効果と利用目的を正確に理解しておく必要があります。
緒方法務事務所では、金融商品取引法その他の金融規制を専門分野として、個人・法人の適格機関投資家該当性の確認から、届出書作成、財務局との対応、適格機関投資家等特例業務を利用したファンド組成まで対応しています。
適格機関投資家とは、金融商品取引法上、金融商品に対する投資について専門的な知識及び経験を有すると認められる者をいいます。
銀行、証券会社、保険会社、一定の投資運用業者などについては、その業態や資格から適格機関投資家に該当します。
これに対して、一定の法人や個人については、法令上の要件を満たしたうえで金融庁長官へ届出を行うことによって、適格機関投資家となることができます。
したがって、個人投資家であっても、一定規模以上の有価証券を保有し、所定の要件を満たしていれば、適格機関投資家として金融商品取引法上のプロ投資家に位置付けられる可能性があります。
個人について最も重要となる要件が、届出を行おうとする日の直近の日において、保有する有価証券の残高が10億円以上であることです。
ここで重要なのは、基準となるのが「総資産」ではなく、金融商品取引法上の「有価証券」の残高であるという点です。
したがって、現預金、不動産その他の資産を含めた総資産が10億円を超えているだけでは、この要件を満たすとは限りません。
一方、株式、債券、投資信託、信託受益権その他金融商品取引法上の有価証券に該当するものについては、その内容に応じて残高に算入できる可能性があります。
複数の証券会社や金融機関に資産が分散している場合には、それぞれの有価証券について残高と評価基準を整理し、届出要件を満たしているか確認する必要があります。
個人の場合、有価証券残高の要件だけではなく、金融商品取引業者等に有価証券取引を行うための口座を開設してから1年以上経過していることも必要です。
このため、単に10億円以上の有価証券を取得した直後であるというだけでは、適格機関投資家として届出できない場合があります。
資産要件と口座開設期間の双方を確認することが重要です。
適格機関投資家の届出を検討する際に、特に誤解されやすいのが「10億円」という基準です。
例えば、現金5億円と不動産10億円を保有しており、総資産が15億円であったとしても、それだけで個人の適格機関投資家の要件を満たすわけではありません。
反対に、上場株式、非上場株式、債券、投資信託その他の金融商品取引法上の有価証券を合計して10億円以上保有している場合には、要件を満たす可能性があります。
したがって、届出を検討するときには、単純な資産総額ではなく、「どの資産が金融商品取引法上の有価証券に該当するのか」「その有価証券をどのような価格で評価するのか」という分析が重要になります。
自ら経営する会社の非上場株式を大量に保有しているオーナー経営者の場合、その株式を含めて有価証券残高を検討できる場合があります。
ただし、上場株式のように市場価格が明確でないため、評価額について慎重な検討が必要です。
会社の財務内容、株式評価の方法、直近の増資価格、第三者間取引価格その他の事情から、客観的に説明できる評価額を整理することが重要になります。
特に、非上場株式を含めることで10億円の基準を満たすケースでは、届出前に評価方法と裏付資料を整理しておくことを推奨します。
適格機関投資家は、金融商品取引法上の適格機関投資家私募の対象となることができます。
一般投資家を対象とする公募とは異なる枠組みによって発行される有価証券について、適格機関投資家であることが取得条件とされる場合があります。
そのため、適格機関投資家となることで、投資可能な金融商品の範囲が広がる可能性があります。
ただし、適格機関投資家になれば当然に特定の未公開株、PEファンド、VCファンド、ヘッジファンド等へ投資できるという意味ではありません。
実際に投資できるかどうかは、それぞれの発行者、ファンド、運用会社等が定める投資家要件や最低投資額その他の条件によります。
適格機関投資家は、いわゆる「63条特例」を利用したファンド組成において極めて重要な存在です。
金融商品取引法第63条の適格機関投資家等特例業務では、一定の要件のもと、組合型ファンドの自己募集及び自己運用について、第二種金融商品取引業や投資運用業の登録を受けることなく、届出によって業務を行うことが可能です。
この制度を利用するためには、原則として出資者の中に適格機関投資家が1名以上存在することが必要です。
したがって、適格機関投資家である個人は、LPS、任意組合、匿名組合その他のファンドを組成する場面において、制度上重要な投資家となる場合があります。
適格機関投資家という属性は、単なる投資資格としてだけではなく、ファンド組成のストラクチャーを検討するうえでも重要です。
例えば、スタートアップ投資、PE投資、事業承継、再生可能エネルギー、不動産、インフラ、蓄電池その他の投資事業についてLPS等を組成する場合には、適格機関投資家等特例業務の利用可能性を検討することがあります。
もっとも、適格機関投資家が1名存在するだけで63条特例を自由に利用できるわけではありません。
他の出資者についても法令上一定の範囲に限定され、人数制限、勧誘方法、届出、業務運営体制、帳簿書類、事業報告書その他の規制を遵守する必要があります。
金融商品取引法には、「適格機関投資家」と「特定投資家」という二つのプロ投資家に関する概念があります。
両者は関連しますが、同じ制度ではありません。
適格機関投資家は、適格機関投資家私募や適格機関投資家等特例業務などで重要となる投資家区分です。
また、適格機関投資家は特定投資家にも位置付けられ、金融商品取引業者との取引について、一般投資家とは異なる規制が適用される場面があります。
その結果、一般投資家向けに設けられている一部の行為規制による保護を受けない取引が生じます。
したがって、「プロ投資家になることは常に有利である」と考えるのではなく、自ら投資対象、契約条件、運用リスク等を十分に分析できることが前提となります。
適格機関投資家という地位は、投資商品の安全性や収益性を保証する制度ではありません。
プロ投資家向け金融商品には、流動性が低いもの、価格評価が困難なもの、投資期間が長期に及ぶもの、元本を大きく毀損する可能性があるものもあります。
投資判断に当たっては、契約書、投資対象、運用者、利益相反、手数料、償還条件、出口戦略その他の条件を十分に確認する必要があります。
金融庁は、届出によって適格機関投資家となった者に関する情報を公表しています。
個人で届出を行う場合には、資産管理上・プライバシー上の観点からも、公表制度を理解したうえで届出の必要性を検討することが重要です。
届出によって適格機関投資家となる場合、その地位が永久に継続するわけではありません。
届出には有効期間があり、継続して適格機関投資家として取り扱われるためには、期限を管理したうえで所定の手続きを行う必要があります。
現在の制度では、届出の有効期間は原則として2年間です。
ファンドに適格機関投資家として出資している場合などには、適格機関投資家としての地位がファンドの規制上重要になるため、更新管理は特に重要です。
最初に、有価証券残高、証券口座の開設時期、保有資産の内容を確認します。
特に非上場株式、信託受益権、ファンド持分等を保有している場合には、それぞれが有価証券残高に算入できるか個別に検討します。
次に、届出日の直近日における有価証券残高を整理します。
複数の証券会社等に資産が分散している場合や、時価が明確でない有価証券を保有している場合には、評価基準を整理しておく必要があります。
法令及び金融庁の様式・記載例に基づいて届出書を作成します。
個人の届出の場合には、氏名、住所、適格機関投資家の該当区分、有価証券残高その他必要事項を正確に整理します。
現在の金融庁の取扱いでは、適格機関投資家の届出について原則として添付書類を必要としないケースがあります。
もっとも、有価証券の残高証明書その他の資料について、当局から確認を求められる場合があります。
そのため、実務上は、届出書に記載した有価証券残高を客観的に説明できる状態にしておくことが重要です。
作成した届出書を、所定の方法によって金融庁・管轄財務局へ提出します。
電子申請を利用できる場合もあるため、届出者の属性に応じて適切な提出方法を選択します。
届出後は、公表状況や有効期間を確認し、変更事項や継続手続きが必要となる場合に備えます。
特に63条特例ファンドとの関係で適格機関投資家となっている場合には、届出者本人だけではなくファンド運営者側でも継続的な資格管理が重要となります。
現在保有している資産を確認し、個人又は法人として適格機関投資家の届出が可能か検討します。
上場株式だけでなく、非上場株式、ファンド持分、信託受益権その他特殊な資産を保有している場合についても、金融商品取引法上の位置付けから検討します。
10億円基準をどの資産で満たすのかを整理し、必要に応じて証明資料や評価資料の準備方法を検討します。
特にオーナー企業の非上場株式を含む場合には、形式的な金額だけでなく、評価額をどのように説明するかが重要です。
金融庁・財務局へ提出する適格機関投資家届出書の作成から提出まで対応します。
当局から確認事項や補正の連絡があった場合についても、内容を確認し対応します。
適格機関投資家の届出を、適格機関投資家等特例業務を利用したファンド組成のために検討している場合には、届出だけでなくファンド全体を確認することが重要です。
LPS、任意組合、匿名組合その他のスキームについて、出資者構成、適格機関投資家の確保、49名規制、契約書、63条届出、事業報告その他必要となる金融行政手続きを一体的に検討します。
原則として、現金を10億円保有していることだけでは個人の有価証券残高要件を満たしません。
基準となるのは金融商品取引法上の有価証券の残高です。
土地・建物を直接所有しているだけでは、通常、それ自体は有価証券ではありません。
ただし、不動産信託受益権その他金融商品取引法上の有価証券に該当する権利を保有している場合には、別途検討する余地があります。
非上場株式も株式である以上、有価証券に該当します。
ただし、市場価格が存在しないことから、どの評価額を用いるかについて客観的な説明ができることが重要です。
個別の会社の財務内容や株式評価方法を確認したうえで判断します。
複数の口座で保有する有価証券についても、本人が保有する有価証券として整理できる場合には、全体の残高を確認して要件を検討します。
実務上は、それぞれの金融機関における残高と評価時点を統一的に整理することが重要です。
金融庁の現在の記載例では、原則として添付書類を必要としない取扱いが示されています。
ただし、有価証券残高証明書その他の資料について確認を求められる場合があります。
そのため、提出の有無にかかわらず、届出内容を裏付けられる資料を準備しておくことを推奨します。
いいえ。
適格機関投資家であることによって投資可能な範囲が広がることはありますが、個々のファンドが定める投資家資格、最低投資金額、投資方針その他の条件を満たす必要があります。
適格機関投資家であることだけでは足りません。
適格機関投資家等特例業務には、適格機関投資家の存在、その他の投資家の資格及び人数、私募の方法、運用方法、届出、帳簿書類、事業報告その他多数の規制があります。
ファンド全体のスキームについて金融商品取引法上の確認が必要です。
個人の適格機関投資家届出では、「10億円以上あるか」という単純な資産確認だけでなく、その資産が金融商品取引法上の有価証券に該当するか、どの評価額を使用するか、届出後にどの制度を利用するのかまで整理することが重要です。
特に、非上場株式を多額に保有するオーナー経営者、複数の金融機関で資産を運用している投資家、PE・VC・不動産・再生可能エネルギー等のファンドへの投資を検討している方、63条特例を利用したファンド組成を予定している方については、届出前の法的整理が重要になります。
緒方法務事務所では、金融商品取引法その他の金融規制を専門分野として、適格機関投資家の該当性確認から届出、適格機関投資家等特例業務、LPSその他のファンド組成に関する金融行政手続まで一貫して対応しています。
検討中の事業内容と現在の準備状況を添えて、ご相談ください。
編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年9月17日