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自治体、商工会議所、商店街、地域金融機関、観光事業者、FinTech事業者などによるデジタル地域通貨の導入が広がっています。
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自治体、商工会議所、商店街、地域金融機関、観光事業者、FinTech事業者などによるデジタル地域通貨の導入が広がっています。 スマートフォンアプリやQRコードを利用し、地域内の加盟店で決済できる「〇〇Pay」「〇〇コイン」といった仕組みは、地域内消費の促進、プレミアム商品券のデジタル化、観光施策、給付事業など幅広い用途に利用することができます。
もっとも、「地域通貨」という名称の法律上のカテゴリーが存在するわけではありません。 実際に適用される規制は、誰が発行するのか、利用者から現金を受け取るのか、どの店舗で利用できるのか、換金できるのか、利用者間で残高を移転できるのか、といった具体的な仕組みによって決まります。
特に重要なのが、資金決済に関する法律、いわゆる資金決済法です。 地域通貨の設計によっては「前払式支払手段」に該当し、さらに複数の加盟店で利用できる場合には「第三者型前払式支払手段」として、原則として事業開始前に登録を受けなければなりません。
一方で、自治体自身が発行する場合、使用期限を一定期間内に限定する場合、無償ポイントとして設計する場合など、異なる法的整理となるケースもあります。 地域通貨事業では、アプリ開発を開始してから法規制を検討するのではなく、システム要件を確定する前の段階で法令上の位置付けを整理することが重要です。
利用者があらかじめ現金などの対価を支払い、その金額に応じた残高をアプリ等に記録し、その残高を商品やサービスの代金として利用できる仕組みは、前払式支払手段に該当する可能性があります。
たとえば、利用者が1万円を支払い、アプリに1万円相当の地域コインがチャージされ、その地域コインを加盟飲食店、小売店、宿泊施設等で利用できる仕組みは、典型的な検討対象です。
「コイン」「ポイント」「電子商品券」「地域Pay」といった名称そのものは決定的ではありません。 法令上は、対価を受けて発行されているか、財産的価値が記録されているか、商品やサービスの支払いに利用できるかなど、その実質によって判断されます。
利用者から対価を受けず、キャンペーン、来店、商品購入、行政施策などにより無償で付与するポイントは、原則として前払式支払手段とは異なる整理になります。
地域経済対策として自治体等が住民に無償でポイントを付与する仕組みや、店舗利用額に応じてボーナスポイントを付与する仕組みについては、この「対価性」の有無が重要な判断要素となります。
ただし、有償チャージ残高と無償ポイントを同じ残高として管理する設計には注意が必要です。 有償部分と無償部分について表示及びシステム上の管理が適切に区分されていない場合には、無償付与部分を含めた形で前払式支払手段として管理する必要が生じることがあります。
地域通貨で一般的な「1万円をチャージすると1万2,000円分使える」といったプレミアム設計についても、有償部分とプレミアム部分の法的・システム上の区分をあらかじめ設計しておくことが重要です。
発行者自身が販売する商品や提供するサービスの支払いにのみ利用できるものは、原則として自家型前払式支払手段として整理されます。
特定の飲食店チェーンだけで利用できるプリペイド残高や、特定企業が運営する施設だけで利用できる電子マネーなどが代表例です。
自家型については、第三者型のように事業開始前の登録が必要となるわけではありません。 ただし、法令上の基準日における未使用残高が1,000万円を超えた場合には、原則として所管財務局等への届出が必要になります。
発行者自身ではなく、発行者と別の事業者である加盟店の商品やサービスにも利用できるものは、原則として第三者型前払式支払手段として検討する必要があります。
地域内の飲食店、スーパー、旅館、美容室、交通事業者など複数の独立した加盟店で利用できる地域通貨は、この第三者型に該当する可能性が高くなります。
第三者型前払式支払手段については、未使用残高が少額だから登録不要という制度ではありません。 原則として、発行業務を開始する前に第三者型前払式支払手段発行者として登録を受ける必要があります。
そのため、「まず小規模に地域通貨を開始し、利用者が増えてから登録する」という進め方ができるとは限りません。
地域通貨の実務では、自治体、商工会、地域会社、システムベンダー、決済事業者など複数の関係者が関与することがあります。 そのため、システムを提供する会社と法律上の発行者が同一とは限りません。
誰が利用者から資金を受け入れるのか、誰が利用者に対して残高利用の義務を負うのか、誰が加盟店と契約するのか、誰が加盟店へ精算金を支払うのか、サービス終了時の責任を誰が負うのかなどを契約関係から確認する必要があります。
「自治体の事業だから規制されない」「自治体から委託を受けているから登録不要」と単純に判断することはできません。 民間事業者が実質的な発行主体となっている場合には、その民間事業者について資金決済法上の登録要否を検討する必要があります。
国または地方公共団体が発行する前払式支払手段については、資金決済法上、前払式支払手段に関する規制の適用除外となる制度があります。
したがって、市町村等が法律上の発行主体となって地域通貨を発行する場合と、民間企業が発行主体となり自治体が事業主体・委託者として関与する場合では、法的整理が大きく異なる可能性があります。
ここで重要なのは「自治体が関係しているか」ではなく、「誰が発行しているか」です。 自治体が名称を付け、広報し、事業費を負担していても、利用規約や加盟店契約等から民間事業者が発行者と評価される場合には、民間事業者について登録が必要となる可能性があります。
地域通貨の制度設計では、自治体自身を発行主体とするのか、第三者型前払式支払手段発行者である民間事業者を利用するのか、地域会社等を新たな発行主体とするのかを早い段階で決定する必要があります。
この選択によって、必要となる行政手続、財務要件、利用者保護措置、契約構造、加盟店への精算方法、システム仕様が変わります。
一般的な第三者型前払式支払手段発行者については、原則として1億円以上の純資産額が登録上の財産的基礎として求められます。
ただし、地域通貨の場合、この「1億円」という数字だけを見て参入不可能と判断する必要はありません。
地域限定型の前払式支払手段については、利用区域や法人形態などに応じた特例が設けられています。
発行する前払式支払手段の利用可能区域が一つの市町村の区域内に限定される場合には、純資産額について1,000万円とする特例が設けられています。
これは地域通貨事業にとって非常に重要な制度です。
たとえば、市内の加盟店だけで使用できる地域コインを運営する会社については、全国利用型の電子マネーと同じ1億円の純資産要件が常に必要になるとは限りません。
したがって、利用可能エリアをどこまで設定するかは、単なるマーケティング上の問題ではなく、登録要件そのものに影響する可能性があります。
一定の要件を満たす一般社団法人、一般財団法人、NPO法人等については、地域経済の活性化や地域住民の交流促進を目的とし、利用区域その他の要件を満たすことにより、純資産額について特別な取扱いを受けられる制度があります。
所定の預貯金保有、財務情報の開示、利用地域の限定、定款上の目的など複数の条件があるため、法人形態だけで自動的に適用される制度ではありません。
地域商社、まちづくり法人、商店街関係団体等による地域通貨では、この特例を含めた法人・事業スキームの比較検討が重要になります。
発行の日から6か月以内に限って使用できる一定の前払式支払手段については、資金決済法上の前払式支払手段規制の適用除外となります。
期間限定のプレミアム商品券、観光キャンペーン、イベント用地域コインなどでは、この制度を利用できる可能性があります。
しかし、単に利用規約に「有効期限6か月」と記載すればよいわけではありません。 有効期限後もシステム上利用できる場合、実際には期限後の利用を認めている場合、古い残高を新しい残高へ繰り越すことによって実質的な利用期間が6か月を超える場合などには、適用除外として認められない可能性があります。
6か月以内の制度を採用する場合には、利用規約だけでなく、残高管理システム、失効処理、更新処理まで含めた設計が必要です。
前払式支払手段発行者には、一定規模を超えた未使用残高について、利用者保護のための資産保全が求められます。
法令上の基準日における未使用残高が1,000万円を超える場合には、原則としてその未使用残高の2分の1以上に相当する額について、供託等による保全措置を講じる必要があります。
地域通貨事業では、販売した地域コインの全額がそのまま自由に利用できる事業資金になるわけではありません。
大規模なプレミアム商品券や地域通貨を発行する場合には、発行保証金、加盟店への精算資金、運営費を含めた資金繰りを事業開始前にシミュレーションすることが重要です。
第三者型前払式支払手段の登録では、会社概要や財務諸表を提出するだけでは足りません。
前払式支払手段の発行業務を継続的かつ適切に行える組織体制が整備されているかについて、事業内容や規模に応じた審査が行われます。
特に重要となるのが、コンプライアンス体制、利用者保護、情報管理、苦情処理、システム管理、事務リスク管理、外部委託先管理、加盟店管理、不正利用防止などです。
地域通貨では多数の中小店舗が加盟することが多いため、加盟店の審査、禁止商品・禁止業種の管理、不正利用の監視、加盟店契約の解除基準、精算管理などについても実際に運用可能な制度を構築する必要があります。
デジタル地域通貨では、アプリ開発、ウォレット管理、QRコード決済、データセンター、コールセンターなどの業務を外部事業者へ委託することが一般的です。
しかし、重要業務を外部委託したからといって、発行者の利用者保護責任や法令上の管理責任がなくなるわけではありません。
委託先の選定基準、契約内容、個人情報及び決済情報の管理、障害発生時の対応、バックアップ、再委託、監査権限、サービス終了時のデータ処理などをあらかじめ整理しておくことが重要です。
地域通貨では行政機関も関係するため、金融規制だけでなく、情報セキュリティや個人情報保護を含めた一体的な制度設計が必要になるケースがあります。
前払式支払手段は、商品やサービスの購入に利用するための「前払い」の仕組みであり、利用者がいつでも自由に現金へ戻せることを前提とした制度ではありません。
利用者がチャージした地域コインを自由に銀行口座へ出金できる機能や、現金として払い戻す仕組みを設ける場合には、前払式支払手段としての整理だけでなく、資金移動業その他の金融規制を検討する必要があります。
「電子マネー」と「送金サービス」は法律上同じものではありません。 利用者の利便性だけを考えて換金機能を追加すると、必要となる登録の種類が変わる可能性があります。
利用者Aから利用者Bへアプリ残高を移転できる機能を設ける場合には、店舗で商品を購入するだけの地域通貨よりも法的検討事項が増えます。
残高移転が可能だから直ちに資金移動業になるわけではありませんが、換金可能性、移転可能額、利用範囲、発行者による管理方法、移転後の利用方法などを踏まえて制度全体を確認する必要があります。
特に一定の高額な電子移転機能を持つ前払式支払手段については、高額電子移転可能型前払式支払手段として追加的な規制が問題となる場合があります。
サービスによっては、本人確認、マネー・ローンダリング対策、不正利用対策などを含む追加対応の検討が必要になります。
地域通貨をブロックチェーン上で発行する事例も考えられますが、ブロックチェーンを利用していること自体によって資金決済法の適用がなくなるわけではありません。
円等の法定通貨との価値連動、利用者からの償還請求、利用者間の移転可能性、不特定の者に対する流通可能性などによっては、前払式支払手段とは異なる電子決済手段その他の金融規制を検討する必要があります。
「地域限定だから暗号資産ではない」「ブロックチェーンだから暗号資産である」という単純な判断はいずれも適切ではありません。
技術方式ではなく、発行・移転・償還・利用の法律関係から判断する必要があります。
自治体や商店街が独自に第三者型発行者の登録を取得する方法だけが地域通貨導入の方法ではありません。
すでに第三者型前払式支払手段発行者として登録されている決済事業者のプラットフォームを利用し、その事業者を法的な発行主体として地域ブランドの電子マネーを提供する方法も考えられます。
この場合でも、単にシステムをOEM提供してもらえば自動的に登録不要になるわけではありません。
利用規約上の発行者、利用者資金の帰属、加盟店契約、加盟店精算、サービス終了時の責任などから、登録事業者が実際に発行主体となる契約構造を構築する必要があります。
キャッシュレス決済の普及に伴い、前払式支払手段を地方公共団体への一定の支払いに利用する制度整備も進んでいます。
2026年には、地方公共団体が受領する一定の貸付金元利収入、遅延損害金、損害賠償金、不当利得返還金などについて、前払式支払手段を利用した支払いに関する金融行政上の考え方も整理されています。
地域通貨は、従来の商店街向けプレミアム商品券だけでなく、行政DX、地域給付、観光、公共サービスなどと組み合わせる決済インフラへ発展する可能性があります。
その一方で、利用用途が広がるほど、地方自治関係法令、資金決済法、個人情報保護、会計・精算方法など複数制度を横断した設計が重要になります。
地域通貨の法令調査では、まず利用者、発行者、自治体、加盟店、決済事業者、システム会社の関係を一枚のスキーム図に整理することが有効です。
利用者から誰へ現金が入るのか、誰が地域コインを発行するのか、利用時に誰の債務が消滅するのか、加盟店へ誰がいつ精算するのか、未使用残高を誰が管理するのか、払戻しが発生した場合に誰が負担するのかを明確にします。
この資金フローが確定すれば、前払式支払手段、資金移動業、収納代行その他の制度との関係を相当程度整理することができます。
逆に、法律関係を決めないままアプリ仕様を先に確定すると、後になって換金機能や残高移転機能を削除したり、発行主体を変更したりする大幅なシステム変更が必要になることがあります。
第三者型発行者登録では、行政庁に提出する説明と、利用規約、加盟店契約、システム仕様、実際の業務フローが一致していることが重要です。
登録申請書だけを完成させても、利用規約では異なる払戻条件が定められていたり、システム上は申請内容にない利用者間送付が可能になっていたりすれば、適切な制度設計とはいえません。
行政手続と事業設計、社内規程、利用者向け規約、加盟店との契約、システム仕様を一体として整備することが、金融許認可実務では重要です。
当事務所では、予定している地域通貨の資金フロー、発行主体、加盟店構造、チャージ方法、払戻し、残高移転等を確認し、資金決済法上必要となる行政手続を整理します。
自家型前払式支払手段、第三者型前払式支払手段、適用除外、資金移動業等との境界を含め、事業開始前の段階から検討します。
第三者型発行者の登録が必要となる場合には、事前相談から登録申請書、添付書類、業務方法、社内規程等の作成まで一体的に支援します。
地域限定型に適用できる純資産要件の特例についても、利用区域、法人形態、定款、事業計画等を確認したうえで検討します。
登録後に実際に運用できるコンプライアンス体制を前提として、必要となる各種規程・マニュアルの整備を支援します。
加盟店管理、利用者保護、苦情対応、情報管理、システム管理、事務リスク、外部委託管理、不正利用対応等について、実際の事業スキームと整合する内容を構築します。
地域通貨の利用条件を定める利用者向け規約や、加盟店との決済・精算条件を定める加盟店関係書類について、行政手続及び事業スキームとの整合性を踏まえた作成を支援します。
発行者、利用者、加盟店、システム事業者それぞれの役割が曖昧にならないよう、契約関係と資金フローを整理します。
自治体自身による発行、地域会社による発行、登録済み決済事業者の利用など、複数の実現方法を比較しながら事業スキームを検討します。
金融規制への対応だけでなく、登録コスト、資本要件、運営体制、システム開発負担、将来のサービス拡張などを踏まえて行政手続上の選択肢を整理します。
A.発行主体と加盟店が別事業者である場合には、第三者型前払式支払手段に該当する可能性があります。 商店街の中だけで利用できるという地理的な限定だけで、自家型になるわけではありません。
一方、一つの市町村内だけで利用できる第三者型前払式支払手段については、財産的基礎について地域限定型の特例を利用できる可能性があります。
A.原則として違います。 1,000万円という基準は自家型発行者の届出や発行保証金に関係する重要な基準ですが、第三者型については原則として発行開始前の登録が必要です。
A.地方公共団体が自ら発行者となる前払式支払手段については、資金決済法上の適用除外が問題となります。
ただし、自治体の委託を受けた民間事業者が実質的な発行者となる場合まで当然に適用除外となるわけではありません。契約構造、利用規約、資金管理等から発行主体を確認する必要があります。
A.発行日から6か月以内に限って利用できるなど法令上の要件を満たせば、適用除外となる可能性があります。
ただし、有効期限後も実際には利用可能であったり、残高を新しい地域コインへ繰り越した結果、実質的な利用期間が6か月を超えたりする仕組みでは問題となるため、システム仕様まで含めた確認が必要です。
A.有償チャージ分と無償付与分の表示・管理方法によって取扱いが変わるため注意が必要です。
有償部分と無償部分を適切に区分できていない場合には、無償付与部分についても前払式支払手段としての管理が必要になる可能性があります。プレミアム地域通貨では、サービス開始前に残高管理方法を確認することが重要です。
A.前払式支払手段は原則として自由な払戻しを前提とした制度ではありません。
自由な換金や銀行口座への出金を予定する場合には、資金移動業その他の金融規制との関係を別途検討する必要があります。
A.登録済み事業者自身が法律上の発行主体となるスキームであれば、自社が新たに第三者型発行者になる必要がない場合があります。
ただし、単なるシステム提供だけを受け、実際には自治体や地域会社が発行者となっている場合には結論が異なります。
デジタル地域通貨は、単なる決済アプリの導入ではなく、資金決済法上の金融サービスとなる可能性がある事業です。
発行者、利用者、加盟店、自治体、システム会社の関係をどのように設計するかによって、第三者型前払式支払手段発行者登録が必要になる場合もあれば、地域限定型の特例や自治体発行の適用除外を活用できる場合もあります。
特に、純資産要件、発行保証金、加盟店管理、払戻し、利用者間送付、外部委託、システムリスクは、サービス開始後に修正することが難しい項目です。
アプリや決済システムの仕様を確定する前に、予定している資金フローと法的な発行主体を確定しておくことをお勧めします。
検討中の事業内容と現在の準備状況を添えて、ご相談ください。
編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年10月16日