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2026年(令和8年)1月1日、改正行政書士法が施行されました。
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2026年(令和8年)1月1日、改正行政書士法が施行されました。
今回の改正は、単に行政書士という資格制度の内部ルールを変更したものではありません。
企業が許認可申請、届出、登録、認定その他の行政手続を外部事業者へ委託する場合の業務分担にも、大きく関係する改正です。
特に重要なのが、行政書士又は行政書士法人でない者が、他人から依頼を受け、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」行政書士法上の書類作成業務を行うことに対する規制が、より明確にされたことです。
「コンサルティング料」「サポート料」「システム利用料」「会費」「成功報酬」「商品代金」など、契約書や請求書上の名称を変更すれば行政書士法の適用を回避できる、という考え方は適切ではありません。
問題となるのは、契約名称ではなく、実際に誰が、誰のために、どの書類を、どこまで作成しているのかという業務の実質です。
金融・FinTech・ファンド・決済・不動産・エネルギーその他の規制産業では、事業立上げの過程で多数の許認可、登録、届出が発生します。
行政手続の外注体制を構築する企業にとって、改正行政書士法は無関係な士業法ではなく、外部委託管理・法令遵守・ガバナンスの問題として確認すべき法律となっています。
行政書士法の一部を改正する法律は、2025年(令和7年)6月13日に公布され、2026年(令和8年)1月1日に施行されました。
今回の改正では、行政書士の使命及び職責が明確化されたほか、特定行政書士による行政不服申立て業務の対象拡大、無資格者による業務に関する規定の明確化、両罰規定の整備などが行われています。
企業実務という観点では、大きく次の事項を理解する必要があります。
行政書士法第1条は、「行政書士の使命」を定める規定へ改められました。
行政書士は、その業務を通じて行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに、国民の利便に資し、国民の権利利益の実現に資することを使命とする専門職として位置付けられています。
行政書士の役割を、単なる申請書への入力や書類提出の代行としてではなく、行政手続を通じて依頼者の権利利益の実現を支援する専門職として捉える方向性が、法律上より明確になったといえます。
新設された行政書士法第1条の2では、行政書士の職責が明文化されました。
行政書士には、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通し、公正かつ誠実に業務を行うことが求められています。
行政書士が単に資格を保有しているだけではなく、取り扱う許認可制度、関係法令、行政実務について継続的に専門性を維持することが前提となります。
金融規制、資金決済、ファンド、電気事業その他の高度な行政規制分野では、法律だけでなく、政令、省令、監督指針、審査基準、様式、行政庁との事前相談実務まで理解したうえで手続を組み立てる必要があります。
資格の有無だけではなく、当該規制分野に対する実務能力が重要であることは、改正後さらに明確になっています。
行政書士法第1条の2第2項では、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便向上及び業務の改善進歩を図るよう努めることが規定されました。
現在の行政手続では、電子申請、オンライン届出、電子署名、GビズIDその他のデジタル基盤を利用する場面が急速に増加しています。
したがって、今後の行政書士業務では、法令・申請書類の知識だけではなく、電子申請システムを含めた行政手続全体を理解する能力が一層重要になります。
もっとも、この規定はデジタル技術の利用についての努力義務を定めたものであり、電子申請を利用しなかったという理由だけで直ちに違法となるものではありません。
重要なのは、行政手続のデジタル化に対応しながら、依頼者にとって合理的かつ適切な申請方法を選択できる体制を整備することです。
今回の改正で企業にとって特に重要なのが、行政書士法第19条第1項です。
行政書士又は行政書士法人でない者について、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として行政書士法第1条の3に規定する業務を行うことができないことが明確化されました。
行政書士法第1条の3が対象とする中心的な業務は、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類などを作成することです。
したがって、
「行政書士報酬ではなくコンサルティング料だから問題ない」
「申請代行料ではなくシステム利用料として請求している」
「成功報酬なので書類作成料ではない」
「月額顧問料の中に含まれているため書類作成は無料である」
といった形式だけで、行政書士法上の問題を回避できるわけではありません。
実際のサービス内容として、顧客ごとの官公署提出書類等を有償で作成しているかどうかが重要になります。
事業者が最も注意すべき点は、料金の名目を変更しても業務の実質は変わらないということです。
例えば、事業コンサルティング契約の中に許認可申請書の作成が含まれており、コンサル会社の担当者が顧客から資料を受領して申請書を完成させている場合には、単に契約書上「コンサルティング」と表示していることだけで問題が解消するわけではありません。
一方で、経営戦略の検討、事業モデルの策定、市場分析その他の一般的なコンサルティング業務そのものが行政書士法によって禁止されるわけでもありません。
行政書士法上問題となる書類作成業務と、それ以外のコンサルティング業務を適切に切り分けることが重要です。
第19条では「報酬を得て」行うことが要件とされています。
したがって、完全な無償行為については、有償受託と同一には扱えません。
しかし、「書類作成は無料」と表示していても、実際には商品代金、会費、月額利用料、コンサルティング料その他の料金に書類作成の対価が組み込まれている場合には、単純に無償業務として評価できるとは限りません。
名称ではなく、取引全体の中で書類作成に経済的対価が存在するのかを確認する必要があります。
改正行政書士法について、「資格のないコンサルタントは許認可について何も説明できない」と理解することも適切ではありません。
行政書士法第19条が直接対象としているのは、行政書士法第1条の3に規定する書類作成業務です。
制度に関する一般的な情報提供、法令や公表資料の紹介、一般的な業務フローの説明などまで、直ちに行政書士法第19条違反になるというものではありません。
問題となるのは、一般的な情報提供の域を超えて、顧客の具体的事情に応じて申請書の記載内容を作り込み、文章を起案し、添付書類を作成し、実質的に申請書類を完成させるような業務へ踏み込んでいる場合です。
「説明しているだけなのか」「書類を作成しているのか」を実態に即して区別する必要があります。
2026年の行政書士法改正によって、AIによる文書生成そのものが禁止されたわけではありません。
企業や個人がAIその他のソフトウェアを利用して、自らの申請書類を作成することと、外部事業者が報酬を受けて顧客ごとの申請書類を作成することは、法的には区別して考える必要があります。
一般的な入力支援ソフト、書式提供サービス、情報検索ツールなどについても、その存在だけから行政書士法違反になるとはいえません。
重要なのは、サービス提供者が実際にどこまで顧客固有の申請書作成へ関与しているかです。
生成AIを利用していても、サービス提供者が顧客情報を収集し、その情報を基に個別の申請書や添付書類を完成させ、対価を受領している場合には、単にAIを利用していることだけで行政書士法上の論点が消えるわけではありません。
技術ではなくサービスの実態を確認する必要があります。
今後、許認可・届出業務をSaaSやAIサービスとして提供する企業については、どこまでが単なるシステム提供で、どこからが顧客のための個別具体的な書類作成になるのかを明確に設計することが重要になります。
自社の役員・従業員が自社のために申請書類を作成する場合と、第三者から報酬を受けて申請書類を作成する場合は区別する必要があります。
行政書士法第19条は、「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」行うことを規制しています。
したがって、自社の許認可申請について自社内で書類を作成することまで、通常の外部受託と同じ問題になるわけではありません。
一方、親会社と子会社、兄弟会社などは法律上それぞれ別法人です。
グループ会社の管理部門が、別法人である子会社の許認可申請書を作成し、その対価を管理料その他の名目で受領している場合には、「同じ企業グループだから問題ない」と当然に判断することはできません。
グループ内業務委託についても、実際の契約関係、報酬関係及び作成している書類の内容を確認する必要があります。
行政書士法には、他の法律に別段の定めがある場合を除外する規定があります。
これは、行政書士だけがあらゆる行政書類を作成できるという意味ではありません。
税務、登記、社会保険・労働関係、知的財産、訴訟その他の分野には、それぞれ税理士法、司法書士法、社会保険労務士法、弁理士法、弁護士法などの専門法令があります。
行政書士についても、他の法律によって業務が制限されている事項を取り扱うことはできません。
反対に、他士業についても、各資格法で認められた業務範囲を超えて当然にあらゆる許認可書類を有償作成できるわけではありません。
「資格を持っているか」だけではなく、「その資格で当該業務を行うことができるか」を確認する必要があります。
今回の改正では、特定行政書士の行政不服申立て業務についても重要な変更が行われました。
従来は、行政書士自身が作成した官公署提出書類に係る許認可等について、一定の行政不服申立てを取り扱う制度となっていました。
改正後は対象が、行政書士が「作成した」書類から、行政書士が「作成することができる」書類に係る許認可等へ拡大されています。
この「した」から「することができる」への変更は、実務上非常に大きな意味があります。
申請者自身が作成・提出した申請について不許可処分等を受けた場合でも、その申請が行政書士が作成することのできる書類に係る許認可等であれば、特定行政書士による行政不服申立ての対象となり得ます。
したがって、最初の申請段階で行政書士が関与していなかったという理由だけで、特定行政書士への相談ができないという従来の制約は大きく緩和されました。
他の行政書士が作成した申請書に係る許認可等についても、改正後は特定行政書士が行政不服申立てを受任できる範囲が拡大しています。
これにより、不許可・不受理その他の行政処分を受けた後に、別の特定行政書士へセカンドオピニオンを求めるという選択肢も取りやすくなっています。
特定行政書士の権限拡大は、裁判所における行政訴訟の代理権が付与されたという意味ではありません。
特定行政書士が取り扱うことのできるのは、法律上認められた行政庁に対する審査請求、再調査の請求、再審査請求等の行政不服申立てです。
取消訴訟その他の裁判手続については、弁護士法その他の法令との関係を踏まえて取り扱う必要があります。
「行政への不服申立て」と「裁判所への行政訴訟」は明確に区別する必要があります。
改正行政書士法では、業務制限違反について両罰規定が整備されました。
行政書士法第19条第1項の業務制限に違反した場合、違反行為者については、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が定められています。
さらに、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人等の業務に関して対象となる違反行為をした場合には、行為者だけでなく、その法人又は事業主体についても罰金刑の対象となり得ます。
したがって、企業としては、
「担当者が独自に行った」
「営業部門がサービスとして行っていた」
「経営陣は行政書士法を知らなかった」
という説明だけを前提に業務管理を行うべきではありません。
どの部門が顧客の行政手続に関与し、どこまで書類作成を行っているのかを、会社として把握・管理する必要があります。
許認可取得に関するコンサルティングと申請書類作成を同一会社へまとめて委託している場合には、業務内容の確認が必要です。
市場調査、事業計画、組織体制整備その他のコンサルティングと、官公署提出書類そのものの作成は分けて検討する必要があります。
契約書上は「コンサルティング」であっても、実際には申請書や添付書類を完成させている場合には、行政書士法上の論点が生じ得ます。
総務・法務・バックオフィス支援の一環として、顧客企業の許認可更新や変更届を作成するサービスにも注意が必要です。
月額料金の中に含まれているから行政書士法上の「報酬」ではない、とは当然にはいえません。
サービス範囲を確認し、行政書士が取り扱うべき書類作成部分について適切な体制を構築する必要があります。
申請管理システムやAIサービスについては、ソフトウェア提供と個別の書類作成代行を区別することが重要です。
ユーザー自身が情報を入力し、自ら判断して自社の申請書を作成するためのツール提供と、サービス提供会社が顧客情報を基に個別具体的な申請書を完成させるサービスでは、評価すべき事実関係が異なります。
親会社が子会社の許認可申請を一括管理している企業グループも注意が必要です。
同一グループであっても法人格が異なる以上、別法人から依頼を受け、対価を得て書類作成を行っている場合には、外部受託と同様に法的整理が必要となる場合があります。
金融規制分野は、行政手続と事業そのものが密接に結び付いています。
金融商品取引業、適格機関投資家等特例業務、投資ファンド、資金移動業、電子決済手段等取引業、暗号資産交換業、貸金業、割賦販売法上の登録その他の金融関連事業では、事業開始前の登録・許可だけでなく、変更届、定期報告その他多数の行政手続が継続的に発生します。
さらに、提出書類は単なる申請フォームだけではありません。
事業計画、業務方法、組織体制、人的構成、収支計画、内部管理体制、各種規程・マニュアルその他多数の添付資料について、行政庁の審査を前提として整合的に構成する必要があります。
高度な金融許認可では、「フォームへ入力できること」と「許認可申請を組み立てられること」は全く別の能力です。
そのため、外注先を選定するときは、行政書士資格の有無だけでなく、対象となる業法・監督行政・審査実務について十分な経験があるかを確認することが重要です。
申請書や規程の作成を依頼する場合の対応範囲は、金融・難関許認可の専門書類作成サービスでご確認ください。
まず確認すべきなのは、申請書の最終的な文章・記載内容を誰が作成しているかです。
顧客自身が作成しているのか、行政書士が作成しているのか、それともコンサル会社その他の外部事業者が作成しているのかを明確にします。
許認可手続では、申請書本体だけを確認すれば十分ではありません。
官公署へ提出する事業計画書、理由書、説明書、誓約書、各種証明資料その他の添付書類についても、行政書士法上の書類に該当する可能性があります。
名称ではなく、それぞれの書類の性質に応じて判断する必要があります。
書類作成料という名称の請求項目が存在しないことだけでは判断できません。
コンサルティング料、システム利用料、顧問料、会費、成功報酬その他の料金に書類作成の対価が含まれていないかを確認します。
行政書士法だけを確認しても、業務範囲の判断が完結しない場合があります。
当該書類が税務、登記、社会保険、訴訟その他の専門法令によって別の資格者の業務とされていないかについても整理する必要があります。
今回の改正で重要なのは、「行政書士に仕事を頼まなければならない」という単純な話ではありません。
企業が行政手続に関する業務を外部委託するときに、
誰が制度説明を行うのか、
誰が事業計画を検討するのか、
誰が申請書・添付書類を作成するのか、
誰が行政庁との調整を担当するのか、
誰が申請又は届出を行うのか、
という業務分担を明確にすることが重要です。
特に、規制産業では許認可取得後も変更届、定期報告、役員変更、組織変更、新規事業追加など多数の行政手続が発生します。
行政手続を単発の書類作成ではなく、継続的な規制対応プロセスとして管理することが、現代の企業コンプライアンスでは重要です。
いいえ。コンサルティング会社へ業務を依頼すること自体が禁止されているわけではありません。
問題となるのは、実際にどの業務を行っているかです。
経営戦略、市場分析、事業モデル構築などのコンサルティングと、官公署へ提出する具体的な書類の作成は区別して検討する必要があります。
料金名称だけで判断されるものではありません。
コンサルティング料、顧問料、会費、システム利用料その他の名称であっても、実質的に顧客の官公署提出書類等を有償作成している場合には、行政書士法上の検討が必要です。
自社の役員・従業員が自社のために書類を作成する場合は、第三者から報酬を受けて書類作成業務を受託する場合とは異なります。
もっとも、個別の許認可制度において代理人、申請者、作成者等について特別な規定が設けられている場合がありますので、それぞれの制度を確認する必要があります。
AIを利用すること自体は行政書士法によって禁止されていません。
自社がAIを補助ツールとして利用して自社の申請書を作る場合と、外部事業者がAIを用いて顧客ごとの申請書を有償作成する場合では、法的評価の前提が異なります。
AIという技術名称ではなく、実際のサービス内容で判断する必要があります。
資格上取り扱えることと、実務上適切に対応できることは別問題です。
特に金融規制などの高度な許認可では、根拠法令、政省令、監督指針、審査基準、行政庁との事前相談、組織体制、内部規程などを総合的に理解する必要があります。
対象分野について実務経験のある行政書士を選定することが重要です。
2026年1月1日施行の改正により、特定行政書士の行政不服申立て業務の範囲は拡大されました。
行政書士が作成することのできる書類に係る許認可等であれば、行政書士が当初の申請書を作成していなかった案件についても、法律上の要件を満たす範囲で行政不服申立てを取り扱うことが可能となっています。
緒方法務事務所では、金融規制・許認可を中心として、高度な行政手続に対応しています。
金融商品取引業、ファンド、資金決済、貸金、割賦販売その他の金融関連手続をはじめ、複雑な法令要件、行政庁との事前相談、事業スキーム、組織体制及び提出資料を総合的に整理する必要がある案件を取り扱っています。
行政手続では、申請書を提出すること自体が目的ではありません。
事業内容を正確に把握し、適用法令を特定し、許認可要件と事業スキームを整合させ、行政庁の審査に耐え得る申請資料へ落とし込むことが重要です。
また、当事務所代表は特定行政書士として、行政書士法上取り扱うことのできる許認可等について、不許可処分等が行われた後の行政不服申立ても視野に入れた対応を行います。
新規事業について必要な許認可が分からない場合、現在利用している外部委託体制に行政書士法上の問題がないか整理したい場合、又は高度な許認可申請について専門家への依頼を検討している場合には、案件の内容に応じて必要な行政手続を整理します。
金融・FinTech・ファンドその他の規制事業では、事業開始後に許認可の問題が判明すると、事業計画そのものを変更しなければならない場合があります。
新規事業を開始する段階、行政庁への事前相談を開始する段階、既存の申請体制を見直す段階など、できるだけ早い時点で行政手続の全体像を整理することが重要です。
緒方法務事務所では、事業内容を確認したうえで、必要となる許認可・登録・届出、申請資料、行政庁との事前相談及びその後の手続について整理し、案件に応じた申請支援を行います。
複雑な金融規制・許認可・行政手続については、金融許認可を専門とする行政書士へご相談ください。
編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年9月17日