Web3ゲームのトークンは「暗号資産」か「前払式支払手段」か?ブロックチェーンゲーム事業者が知っておくべき資金決済法の境界線
Web3ゲームのトークンは「暗号資産」か「前払式支払手段」か?ブロックチェーンゲーム事業者が知っておくべき資金決済法の境界線
Web3ゲームのトークンは「暗号資産」か「前払式支払手段」か?ブロックチェーンゲーム事業者が知っておくべき資金決済法の境界線
はじめに:GameFi・BCG参入の最大の壁は「法律」
「Play to Earn」や「GameFi」といった言葉が浸透し、ブロックチェーンゲーム(BCG)の開発に参入する企業が増えています。
しかし、ゲーム内で発行するトークンや通貨の設計を一歩間違えると、「資金決済法」や「金融商品取引法」の規制対象となり、無登録営業として摘発されるリスクがあることをご存じでしょうか?
特に判断が難しいのが、そのトークンが法律上の「暗号資産(仮想通貨)」に該当するのか、それとも従来のゲーム内ポイントと同じ「前払式支払手段」に該当するのか、という点です。
今回は、Web3ビジネスを検討中の事業者様に向けて、ゲーム内通貨の法的性質と、必要なライセンス(登録)について解説します。
1. 「暗号資産」と「前払式支払手段」の境界線
ゲーム内トークンがどちらに分類されるかによって、ビジネスの難易度は大きく変わります。
① 暗号資産(いわゆる仮想通貨)
特徴: 不特定の相手と相互に交換できる。法定通貨(日本円など)と交換(換金)ができる機能を持つもの。
規制: 「暗号資産交換業」の登録が必要。
ハードル: 登録の難易度は極めて高く、スタートアップ企業が取得するのは現実的ではありません。
② 前払式支払手段(ゲーム内ポイント・通貨)
特徴: 原則として換金(払い戻し)が禁止されているもの。対価を支払って発行され、物品やサービスの購入に使えるもの。
規制:
自家型: 発行者のサービス内のみで使用 → 届出のみ(基準額超えの場合)。
第三者型: 他社のサービスでも使用可能 → 登録が必要(審査あり)。
ハードル: 暗号資産交換業に比べれば低いですが、それでも「第三者型」には厳しい財務要件があります。
【ポイント】
日本の法律では、原則として「換金できるなら暗号資産、換金できないなら前払式支払手段」という区分けがなされます。ゲーム内で稼いだトークンをどう扱うか(日本円に戻せる導線があるか)が最大の争点となります。
2. Web3時代特有の「第三者型」の罠
従来のソシャゲ(ソーシャルゲーム)であれば、そのゲーム内でしかコインを使えなかったため、比較的規制の緩い「自家型前払式支払手段」として処理できました。
しかし、ブロックチェーンゲームやメタバースの場合、以下の要素が事態を複雑にします。
エコシステムの拡大: 発行したトークンを、提携する他社のゲームやマーケットプレイスでも使えるようにしたい。
リスク: 他者(加盟店)で使えるとなると「第三者型前払式支払手段」となり、財務局への登録(純資産1億円以上など)が必要になります。
NFTとの交換: トークンでNFTを購入できる場合、そのNFTの法的性質も含めて総合的に判断する必要があります。
IEO/IDO: 最初は「ポイント」として発行しても、将来的に取引所への上場(IEO)を目指す場合、ロードマップの段階で法規制が変わる可能性があります。
3. ステーブルコイン(電子決済手段)との関係
2023年の資金決済法改正により、法定通貨と価値が連動する「ステーブルコイン(電子決済手段)」に関する規制が施行されました。
もし、ゲーム内で発行するコインが「1コイン=1円」のように価格が固定され、かつ送金や換金ができる機能を持つ場合、それは前払式支払手段ではなく、より規制の厳しい「電子決済手段」とみなされる可能性があります。
この判断は非常に専門的であり、金融庁のガイドラインや最新のパブリックコメントを参照しながら慎重に行う必要があります。
4. ビジネスを止めないための「スキーム構築」
法規制を遵守しながらブロックチェーンゲームをリリースするためには、開発前のスキーム設計が命です。
ホワイトペーパーのリーガルチェック: 構想段階で、金融法規制に抵触しないかを確認します。
「適用除外」の活用: 有効期限を6ヶ月以内に設定することで、前払式支払手段の規制対象外とする手法(ただし、ユーザビリティとのバランスが必要)。
発行主体の検討: 日本国内で発行するか、海外法人で発行するかによっても適用法規や税務リスクが異なります。
5. 金融・Web3ビジネスに強い行政書士にご相談ください
Web3ビジネスは技術の進化が早く、法律の整備や解釈が追いついていない部分も多々あります。一般的な法務知識だけでなく、ブロックチェーンの仕組みやトークノミクスへの理解がある専門家が必要です。
当事務所は、金融特化の行政書士として以下のサポートを提供しています。
トークン・ビジネスモデルの適法性リサーチ
資金決済法に基づく登録・届出の要否判断
第三者型前払式支払手段発行者の登録申請
金融庁・財務局への事前相談の同行・代行
「せっかく開発したゲームが、リリース直前に違法だと判明した」という事態を避けるために。ホワイトペーパー作成や仕様策定の段階から、ぜひ一度ご相談ください。