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AI、半導体、ソフトウェア、設計データなどの海外提供では、「製品を海外へ発送していないから輸出ではない」という理解は危険です。
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AI、半導体、ソフトウェア、設計データなどの海外提供では、「製品を海外へ発送していないから輸出ではない」という理解は危険です。
外国為替及び外国貿易法(外為法)による安全保障貿易管理では、物理的な「貨物」の輸出だけでなく、一定の「技術」を外国へ提供する行為についても規制が設けられています。
AI開発企業、半導体関連企業、SaaS・クラウド事業者、研究開発型スタートアップ、大学発ベンチャーなどでは、ソースコード、設計図、製造ノウハウ、技術仕様書、研究データ等を国外の企業や技術者と共有すること自体が、外為法上の検討対象となる可能性があります。
また、国外への提供だけではありません。
国内にいる者に対する技術提供であっても、一定の外国から強い影響を受けている者などへの提供については、いわゆる「みなし輸出」管理の対象となる場合があります。
AI・半導体事業では、製品を輸出する段階ではなく、共同開発、資本提携、外国人研究者の受入れ、クラウド環境の構築など、より前の段階から輸出管理を検討することが重要です。
「AIは輸出規制の対象ですか」という質問に、単純に「はい」「いいえ」と答えることはできません。
外為法上の安全保障貿易管理では、「AI」という名称だけで規制対象が決まるわけではありません。
対象となる貨物や技術の内容、性能、仕様、提供方法、提供先、最終需要者、最終用途、仕向地などを個別に確認する必要があります。
例えば、高性能な集積回路、特定の半導体製造装置、電子計算機、暗号関連技術、それらの設計・製造・使用に必要な一定の技術などは、輸出貿易管理令や外国為替令に基づくリスト規制との関係を詳細に確認する必要があります。
一方で、一般的な業務用AIサービスや通常のソフトウェアが、AIであるという理由だけで当然に輸出許可の対象になるわけではありません。
重要なのは、「AIかどうか」ではなく、実際に何を、誰に、どのような方法で提供するのかを法令上の規制要件へ落とし込むことです。
安全保障貿易管理とは、軍事転用可能な貨物や技術が、安全保障上懸念される国家、組織、企業等へ流出することを防止するための制度です。
日本では、主として外為法、輸出貿易管理令、外国為替令、関係省令・告示・通達等によって制度が構成されています。
AI、半導体、量子技術、通信、暗号、航空宇宙、先端材料などは、民生利用と軍事利用の双方が可能な「デュアルユース技術」が多い分野です。
そのため、最先端の研究開発を行う企業ほど、安全保障貿易管理を通常の法務・コンプライアンス業務として組み込んでおく必要があります。
輸出管理で最初に行う重要な作業が「該非判定」です。
該非判定とは、自社が輸出しようとする貨物又は提供しようとする技術が、輸出貿易管理令別表第1又は外国為替令別表等に定められた規制対象に該当するかを確認する作業です。
単純に製品名称を検索するだけでは判断できません。
対象となる貨物・技術について、関係する政令、省令、告示、運用通達、解釈、マトリクス表等を確認し、製品や技術の具体的性能・仕様と規制要件を照合していきます。
特に半導体分野では、集積回路そのものだけでなく、半導体製造装置、検査装置、設計・製造技術、関連プログラムなど、広い範囲について確認が必要となることがあります。
「メーカーから非該当と言われた」「以前は非該当だった」という事情だけで判断せず、実際の輸出時点における法令・仕様・取引内容を確認することが重要です。
外為法では、物理的な製品の輸出とは別に、一定の技術を外国へ提供する取引も規制されています。
例えば、海外企業との共同開発においてソースコードを送信する場合、海外拠点の技術者へ設計情報を共有する場合、外国で技術説明を行う場合、規制対象技術を電子メールその他の電子的方法により提供する場合などは、役務取引規制との関係を検討する必要があります。
AI開発では、ソースコードだけを確認すればよいとは限りません。
モデルの構造、半導体設計情報、学習・推論用システムの設計資料、製造ノウハウ、技術仕様書、研究資料その他の情報が「規制対象技術」に該当するかについても検討が必要となる場合があります。
「物を送っていないから輸出管理とは無関係」という考え方では、技術提供規制を見落とすおそれがあります。
海外サーバーへデータを保存したという事実だけで、直ちに外為法上の技術提供に該当すると判断されるわけではありません。
単純なストレージサービスとして、自ら利用する目的で情報を保管しているだけであり、サービス提供者等への技術提供を目的とするものではない場合には、直ちに役務取引に該当するものではないと整理されています。
一方、クラウドサービス提供者、国外の委託先、海外グループ会社その他の第三者が技術情報を閲覧、取得又は利用することが予定されている場合には、別途検討が必要です。
そのため、AI・半導体企業が機微な技術情報をクラウド上で管理する場合には、単に「サーバーが日本か海外か」だけでなく、アクセス権限、サービス提供者による閲覧可能性、管理者権限、利用規約、委託関係、情報の機微性等まで確認する必要があります。
クラウド利用については、情報の保存場所だけでなく、「誰がその技術へアクセスできるのか」という観点が極めて重要です。
輸出管理は、海外へ情報を送る場合だけの問題ではありません。
一定の規制技術を国内で提供する場合であっても、提供を受ける居住者が外国政府、外国法人等から強い影響を受けている一定の場合には、みなし輸出管理との関係が問題となります。
AI・半導体企業では、外国籍のエンジニアや研究者を雇用しているという事実だけで機械的に許可が必要になるわけではありません。
国籍ではなく、外為法上の居住性や、いわゆる「特定類型」への該当性、提供する技術の内容等を踏まえて判断する必要があります。
外国企業との兼職、外国政府・外国大学・外国企業からの経済的利益、外国政府等からの指示・影響関係などがある場合には、特定類型該当性の確認が必要となる場合があります。
採用時だけでなく、共同研究、業務委託、出向、兼業、外国大学との研究関係などを含めた社内確認体制を構築することが重要です。
該非判定の結果が「非該当」であっても、それだけで輸出管理上の確認が終了するとは限りません。
外為法には、リスト規制とは別に補完的輸出規制、いわゆるキャッチオール規制があります。
2025年10月9日には補完的輸出規制について重要な制度改正が施行されており、通常兵器に関する規制を含め、用途、需要者、仕向地、取引内容などについて適切な確認が必要となっています。
取引先企業だけでなく、最終需要者、実際の使用者、使用目的、取引経路などについて確認することが重要です。
また、外国ユーザーリストに掲載された団体との取引についても、リストへの掲載が直ちに全面的な禁輸を意味するわけではありませんが、キャッチオール規制上の慎重な確認が必要となります。
AI・半導体分野では、「製品は非該当だった」という技術的判断と、「この相手方へ提供してよいか」という取引審査を分けて考える必要があります。
近年の安全保障貿易管理では、従来型の「許可が必要か、不要か」という二択だけでは捉えられない技術管理制度も拡大しています。
一定の重要管理対象技術を外国へ提供する取引について、経済産業省への事前報告を端緒として、事業者と政府が技術管理方法について対話を行う制度が導入されています。
対象となる技術については制度改正により追加が行われており、先端材料、半導体関連技術その他の重要技術を保有する企業では、通常の該非判定だけでなく、この制度の対象となるかについても確認する必要があります。
技術移転、海外企業との共同研究、ライセンス供与、製造ノウハウの移転、海外生産拠点への技術供与などを検討する場合には、契約締結後ではなく、取引設計の段階から確認しておくことが重要です。
共同開発契約を締結する前に、相手方へどの技術情報を提供するのかを整理する必要があります。
秘密保持契約を締結していることと、外為法上の技術提供が適法であることは別問題です。
共同開発に必要なソースコード、設計情報、製造技術等について個別に確認する必要があります。
100%子会社や海外支店であっても、外為法上の確認が不要になるとは限りません。
企業グループ内部の取引であることだけを理由として輸出管理を省略せず、提供技術、提供先、所在地等に応じて確認する必要があります。
外国籍であることだけを理由に規制対象となるものではありませんが、居住性や特定類型該当性等の確認が必要となることがあります。
人事部門と研究開発部門が別々に管理するのではなく、輸出管理部門を含めた情報連携体制を整えることが重要です。
技術データをオンラインで管理する場合には、アクセス権限の設定が重要になります。
国外の開発者、委託先、管理者その他の第三者が規制技術へアクセスできる状態になっていないかを確認する必要があります。
特許やノウハウのライセンス契約では、知的財産法だけでなく外為法上の技術提供規制についても確認が必要です。
契約締結前に、提供する情報の範囲、提供方法、再提供の可能性、最終利用者等を整理しておく必要があります。
実務上重要なのは、判定結果そのものだけでなく、「なぜその結論になったのか」を説明できる記録を残すことです。
対象製品・技術の仕様を確定し、該当する可能性のある項番を抽出し、政省令、通達、解釈等と照合したうえで判定根拠を整理します。
必要に応じて、項目別対比表、パラメータシート、該非判定書等として証跡を残します。
さらに、法令改正や製品仕様の変更があった場合には、以前の判定結果をそのまま使用できるとは限りません。
該非判定は一度作成して永久に使用する書類ではなく、法令・製品・技術の変更に応じて更新管理する業務です。
規制対象となる貨物又は技術を輸出・提供する場合には、必要に応じて経済産業大臣の許可を取得します。
許可申請では、単に申請書を作成するだけでは足りません。
貨物・技術の内容、該非判定、仕向地、輸入者、需要者、最終用途、取引経路、契約関係などを整理し、審査上必要となる説明資料を準備する必要があります。
AI・半導体関連案件では技術的説明が重要となるため、法令と技術仕様の双方を整理したうえで申請資料を組み立てることが重要です。
許可が必要となる可能性がある案件については、輸出・技術提供の直前ではなく、契約交渉や事業計画の段階から準備することを推奨します。
継続的に海外取引や技術提供を行う企業では、案件ごとの判断だけでなく、輸出管理を社内制度として構築することが重要です。
輸出管理内部規程、いわゆるCPでは、該非判定、顧客審査、用途確認、取引審査、出荷管理、技術提供管理、教育、監査、記録保存、違反発生時の対応等について社内手続を定めます。
経済産業省には輸出管理内部規程の届出制度があり、一定の包括許可制度との関係でも重要となります。
特にAI・ソフトウェア企業では、従来型の「物流部門が輸出を確認する」という管理だけでは不十分です。
研究開発部門、情報システム部門、人事部門、営業部門、法務・コンプライアンス部門を横断した管理体制が必要となります。
当事務所では、外為法、安全保障貿易管理、許認可・行政規制への対応を一体として支援します。
単に該非判定書を作成するだけではなく、事業スキーム、提供技術、取引先、最終用途、外国人材、クラウド環境などを確認し、どの規制をどの順序で検討すべきかを整理します。
該非判定については、企業からご提供いただいた製品仕様・技術仕様を基礎として、輸出貿易管理令、外国為替令、貨物等省令、関係通達、解釈、マトリクス表等との照合作業を支援します。
必要に応じて、項目別対比表、パラメータシート、該非判定書その他の社内記録の整備にも対応します。
規制対象となる場合には、輸出許可・役務取引許可に必要となる申請書類の作成、添付資料の整理、行政庁への申請手続を支援します。
さらに、継続的な海外取引を行う企業については、輸出管理内部規程、取引審査手順、該非判定手順、みなし輸出管理、技術情報へのアクセス管理等を含めた社内管理体制の構築を支援します。
輸出管理案件では、行政庁へ申請書を提出する段階よりも、その前の法的整理が結果を大きく左右します。
何を輸出・提供するのか。
貨物なのか、技術なのか。
リスト規制に該当するのか。
キャッチオール規制の確認が必要なのか。
誰が最終需要者なのか。
どのような用途で使用されるのか。
国内での技術提供について、みなし輸出管理上の確認が必要なのか。
事前報告その他の手続が必要なのか。
これらを順序立てて整理したうえで、必要な行政手続へ進むことが重要です。
金融規制・許認可その他の複雑な行政規制を取り扱う当事務所では、「申請書の作成」だけでなく、事業内容を法令上の要件へ落とし込み、行政手続まで一貫して設計することを重視しています。
AI、生成AI、半導体、量子、ロボティクス、通信、暗号、ドローン、航空宇宙その他の先端技術を取り扱っている企業は、海外取引開始前の確認が重要です。
海外企業との共同研究や共同開発を予定している場合、海外拠点へ技術情報を共有する場合、外国人エンジニアを研究開発部門へ配置する場合、ソースコードや設計データを国外と共有する場合も同様です。
また、海外クラウド、海外委託先、国外の研究機関等を利用する場合や、取引先から該非判定書・パラメータシートの提出を求められた場合にも、輸出管理の確認をおすすめします。
いいえ。AIであるという理由だけで当然に許可が必要になるわけではありません。
プログラムや関連技術の内容・仕様を確認し、リスト規制への該当性を判定したうえで、必要に応じてキャッチオール規制、提供先、最終用途等を確認します。
メールという通信手段そのものではなく、そのメールによって何を誰へ提供するのかが重要です。
規制対象技術を外国へ提供する取引に該当する場合には、電子メールによる送信であっても役務取引規制の検討が必要です。
海外サーバーへ保存したという事実だけで、直ちに許可が必要になるとは限りません。
単なる保管なのか、サービス提供者や第三者が閲覧・取得・利用できるのか、規制対象技術なのか等を個別に確認する必要があります。
外国籍であることだけでは決まりません。
居住性、特定類型該当性、提供する技術の内容などを確認し、みなし輸出管理の対象となるかを判断します。
必ずしもそうではありません。
リスト規制について非該当であっても、キャッチオール規制、経済制裁その他の規制について別途確認が必要となる場合があります。
原則として、該非判定は輸出者側で行う必要があります。
そのため、仕様書、法令、関係通達等を確認し、判定根拠を企業側で整理しておくことが重要です。
法令改正や製品仕様変更がある場合には再確認が必要です。
先端半導体や重要・新興技術については規制改正も行われているため、輸出時点の法令に基づいて確認することが重要です。
AI・先端半導体ビジネスでは、輸出管理は通関直前に確認する手続ではありません。
共同開発契約を締結する前、外国人研究者へアクセス権限を付与する前、海外企業へソースコードを共有する前、国外拠点へ設計データを送信する前の段階から検討する必要があります。
一度提供された技術情報を回収することは容易ではありません。
だからこそ、機微技術を取り扱う企業では、事後対応ではなく、事前の規制確認と社内管理体制の構築が重要になります。
検討中の事業内容と現在の準備状況を添えて、ご相談ください。
役務取引許可申請・技術提供の外為法対応|みなし輸出・該非判定
編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年10月16日