【店舗経営者必見】アプリの「デジタル回数券」や「ポイントチャージ」、
知らずに法律違反していませんか?資金決済法「1,000万円の壁」と対策
【店舗経営者必見】アプリの「デジタル回数券」や「ポイントチャージ」、
知らずに法律違反していませんか?資金決済法「1,000万円の壁」と対策
【店舗経営者必見】アプリの「デジタル回数券」や「ポイントチャージ」、知らずに法律違反していませんか?資金決済法「1,000万円の壁」と対策
記事概要
LINEミニアプリやSaaS導入で「紙の回数券」を「電子チケット」にした店舗様へ。チャージ残高が増えると「資金決済法」の届出義務や供託金が発生することをご存知ですか?「自家型前払式支払手段」の要件と、回避するための有効期限設定について行政書士が解説します。
本文
最近、カフェや美容室、エステサロンなどの店舗経営において、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、紙の回数券やスタンプカードを廃止し、「スマホアプリでのチケット管理」や「プリペイド式のポイントチャージ機能」を導入するケースが急増しています。
SaaS型の予約システムやLINEミニアプリを使えば、低コストで簡単に導入できるのが魅力ですが、ここには大きな法的な落とし穴があることをご存知でしょうか?
「システム会社が用意したものだから大丈夫だろう」と思っていると、ある日突然、金融庁(財務局)から指導が入ったり、多額の資金を預ける義務が発生して資金繰りが悪化したりするリスクがあります。
今回は、店舗DXで特に注意が必要な「資金決済法(自家型前払式支払手段)」の規制と、その対策について解説します。
1. その「デジタルチケット」、法律上は「お金」と同じ扱いです
お客様から先にお金をいただき、後から商品やサービスを提供する仕組みを、法律用語で「前払式支払手段」と呼びます。
具体的には以下のようなものが該当します。
アプリ内で購入するコーヒーチケット
事前にチャージして使う店舗専用ポイント
6ヶ月を超える有効期限があるオンライン回数券
磁気カード式のプリペイドカード
これらを自社(自店)のみで使えるように発行する場合、「自家型前払式支払手段」として資金決済法の規制対象となります。
2. 知っておくべき「1,000万円の壁」
「うちは個人店だから関係ない」と思っていませんか?実は、事業規模に関わらず、あるラインを超えると厳しい義務が発生します。それが「未使用残高1,000万円の壁」です。
毎年3月31日と9月30日(基準日といいます)の時点で、お客様がまだ使っていないチャージ残高やチケット残高の総額を確認してください。
この未使用残高が1,000万円を超えている場合、以下の義務が発生します。
管轄の財務局長への届出
未使用残高の半額(50%)以上の額を、供託所へ預け入れる(発行保証金の供託)
特に恐ろしいのが2点目の「供託」です。
例えば、キャンペーンでチャージを促進し、未使用残高が1,200万円になっていたとします。この場合、最低でも600万円を法務局に現金で預けなければなりません。
事業に使うはずだった運転資金が長期間ロックされてしまうため、中小規模の店舗にとっては死活問題となりかねません。
3. 注意が必要な「システム導入」の落とし穴
紙の回数券を使っていた頃は、管理が曖昧で実態が把握できていなかった店舗も多いかもしれません。しかし、アプリやシステムを導入すると、残高がデータとして明確に記録されます。
最近のご相談で多いのが、「システム会社は機能を提供してくれるが、法律の責任までは負ってくれない」というケースです。
「チャージボーナスでお得感を出し、現金を確保しましょう!」という営業トークに乗って安易に導入した結果、気づけば残高が1,000万円を超えてしまっていた……という事例が後を絶ちません。
4. 届出を回避するための「有効期限」対策
では、どのように対策すればよいのでしょうか?
最も一般的な回避策は、「有効期限を6ヶ月以内に設定すること」です。
資金決済法では、発行の日から6ヶ月以内に有効期限が切れるものについては、同法の適用除外としています。つまり、未使用残高がいくらあっても、届出や供託の義務は発生しません。
対策例: チケットやポイントの有効期限を「購入から180日」や「発行から5ヶ月」に設定する。
ただし、有効期限を短くしすぎると、今度はお客様の利便性が下がってしまい、クレームや購入控えに繋がる可能性があります。「顧客満足度」と「法的リスク」のバランスをどこで取るか、慎重な設計が必要です。
5. すでに「1,000万円」を超えてしまいそうな場合は?
もし、次回の基準日(3月末・9月末)で1,000万円を超えそうな場合、あるいは事業拡大のためにあえて有効期限を設けたくない場合は、適正に「自家型前払式支払手段の発行届出」を行うことをお勧めします。
届出を行い、供託義務(または銀行との保全契約による代替措置)を果たすことは、お客様に対して「このお店が潰れても、チャージしたお金の半分は国によって守られる」という安心感(信用)を与えることにも繋がります。
まとめ:基準日が来る前に一度チェックを
デジタル化は便利ですが、見えない法的リスクが潜んでいます。
「自社のポイントシステムが規制対象になるかわからない」「利用規約をどう書けばいいか悩んでいる」という経営者様は、トラブルになる前に専門家へご相談ください。
当事務所では、資金決済法に関する事業スキームの確認から、財務局への届出書類作成まで、トータルでサポートしております。