金融商品取引業者への行政処分事例から学ぶ。審査で厳しく見られる「人的構成」と「内部管理態勢」とは?
金融商品取引業者への行政処分事例から学ぶ。審査で厳しく見られる「人的構成」と「内部管理態勢」とは?
金融商品取引業者への行政処分事例から学ぶ。審査で厳しく見られる「人的構成」と「内部管理態勢」とは?
記事概要
第二種金融商品取引業の登録はゴールではありません。証券取引等監視委員会による最近の勧告・行政処分事例を分析し、当局が審査や検査で重視している「実効性のある内部管理態勢」と「人的構成」のポイントについて解説します。
本文
第二種金融商品取引業(以下、二種金商)の登録を目指す事業者様にとって、最大の関門は財務局による「登録審査」です。しかし、本当に恐ろしいのは、登録した後、数年ごとに行われる「証券取引等監視委員会(SESC)による検査」と、それに基づく「行政処分」です。
近年、ファンド(集団投資スキーム)を扱う二種業者に対し、業務停止命令や登録取消しといった重い処分が下されるケースが散見されます。
今回は、最近の処分事例の傾向を紐解きながら、これから登録を目指す事業者が「審査段階で何を準備しておくべきか」を解説します。
1. 最近の行政処分事例の傾向
直近の事例を見ると、処分理由は大きく以下の2点に集約される傾向があります。
① 分別管理義務違反・流用
顧客から預かった出資金を、会社の運転資金や別の事業資金に流用してしまうケースです。
「一時的に借りただけ」という甘い認識であっても、金商法では「分別管理義務」違反として致命的な処分対象となります。
② 重要事項の不実告知・断定的判断の提供
投資家勧誘の際に、「絶対に儲かる」「元本は保証されている」といった誤解を与える説明を行ったり、リスク情報を十分に伝えなかったりするケースです。
特に、営業担当者がノルマに追われて暴走し、会社としてそれを止められなかった(管理していなかった)事例が目立ちます。
2. 真の問題は「形だけの内部管理態勢」
これらの違反行為が発生した原因として、当局が必ず指摘するのが「内部管理態勢の不備」と「人的構成の問題」です。
多くの処分事例で共通しているのは、以下のような状況です。
社内規程が「絵に描いた餅」: 立派な社内規程やマニュアルはあるが、現場では全く参照されていなかった。
コンプライアンス担当者が機能不全: 名前だけの担当者を置き、実際には営業部門(フロント)の言いなりになっていた、あるいは経営者がコンプラ担当を兼務し、誰も経営者をチェックできなかった。
つまり、書類上は完璧に見えても、「実効性(実際に機能しているか)」が伴っていない場合、検査で厳しく追及されることになります。
3. 登録審査で見られているのは「実効性」
これから登録申請を行う事業者様は、上記の処分事例を「他山の石」としなければなりません。
なぜなら、現在の財務局の審査担当者は、こうした過去の事例を踏まえ、「本当にこの体制で事故を防げるのか?」という視点で厳しく審査を行っているからです。
審査では、単に雛形の規程を提出するだけでは通りません。
「営業担当者が不適切な勧誘をしないよう、具体的に誰が、いつ、どのような方法でモニタリングするのですか?」
「コンプライアンス担当者が『NO』と言ったとき、社長はそれに従う体制になっていますか?」
このような突っ込んだ質問に対し、自社の業務フローに即した具体的な回答ができなければ、登録への道のりは遠のきます。審査の段階で問われているのは、書類の整合性以上に「人的構成(知識と経験のある人物の配置)」と「牽制機能の有無」なのです。
4. 「登録して終わり」にしないための支援を
金融商品取引業の登録は、一度取れば安泰という許可証ではありません。日々変化する規制に対応し、継続的に社内体制をアップデートしていく必要があります。
「とりあえず登録できればいい」という安易な考えで、実態に合わない規程を作ってしまうと、将来の行政検査で大きな指摘を受けるリスクの種を蒔くことになります。
当事務所では、登録申請の代行にとどまらず、以下のようなサポートを行っています。
実効性のある社内規程の策定:
貴社の規模やビジネスモデルに合わせ、実際に運用可能なマニュアルを作成します。
人的構成のアドバイス:
どのような経歴・スキルの人材を配置すべきか、組織図の段階から助言します。
社内研修・コンプライアンス支援:
役職員向けのコンプライアンス研修や、登録後の変更届出・事業報告書の作成支援。
行政処分は、事業の存続に関わる重大な事態です。
長く健全に金融ビジネスを続けるために、最初の土台作りから専門家の知見をご活用ください。