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全国的な空き家の増加とインバウンド需要の拡大を背景として、空き家を取得・再生し、民泊や宿泊施設として活用する事業への関心が高まっています。
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全国的な空き家の増加とインバウンド需要の拡大を背景として、空き家を取得・再生し、民泊や宿泊施設として活用する事業への関心が高まっています。
もっとも、空き家を1件取得して宿泊施設として運営する場合と、多数の所有者から空き家を集め、継続的な事業として管理・再生・運営する場合とでは、必要となる法的な仕組みは大きく異なります。
特に複数の空き家を長期的に管理し、所有と運営を分離しながら事業化しようとする場合に検討対象となるのが「信託」です。
不動産を信託財産とし、受託者が一定のルールの下で管理することによって、所有者ごとに分散していた不動産管理を整理し、相続や所有者の事情に左右されにくい管理体制を構築できる可能性があります。
しかし、「空き家を信託すれば民泊事業が簡単になる」というものではありません。
空き家民泊と信託を組み合わせる事業では、住宅宿泊事業法、旅館業法、信託業法、金融商品取引法、不動産特定共同事業法、宅地建物取引業法、建築基準法、消防法その他の規制を横断してスキームを確認する必要があります。
当事務所では、単なる民泊の届出だけではなく、こうした複数の金融・不動産規制を前提として、事業全体の許認可構造を整理します。
信託の大きな特徴は、不動産の「所有」と、その不動産から得られる経済的利益を分けて設計できることです。
例えば、空き家所有者を委託者として不動産を信託し、信託会社等が受託者として信託財産を管理します。
信託設定後、不動産の法的な名義は受託者側へ移転しますが、委託者等は信託受益権を取得し、信託契約に従って不動産から生じる利益を受け取る仕組みを構築できます。
これにより、所有者自身が日常的な不動産管理を行う仕組みから、受託者を中心とした継続的な管理体制へ移行できる可能性があります。
空き家事業を長期的に運営するうえで問題となりやすいのが、所有者の死亡、相続、意思能力低下などによる意思決定の停止です。
通常の賃貸借契約や管理委託契約だけで複数の空き家を管理している場合、各所有者について相続が発生すると、契約関係の確認や相続人との調整が必要になることがあります。
あらかじめ適切な信託を設定しておけば、信託契約に従って受託者による財産管理を継続できるため、個々の不動産所有者の事情によって事業全体が停止するリスクを一定程度抑えることができます。
ただし、信託受益権自体は相続その他の権利変動の対象となり得るため、信託を利用すれば相続問題が完全になくなるわけではありません。
空き家再生事業を拡大する場合、一件ごとに異なる所有者との契約、修繕判断、賃貸・運営方針を管理するだけでも大きな負担になります。
信託契約、指図権限、管理ルール、収益分配方法等をあらかじめ設計することで、複数物件について一定の管理基準を設定しやすくなります。
そのため、地域単位で多数の空き家を集約して再生する事業や、金融機関・投資家との連携を前提とする空き家再生事業では、信託が有力な選択肢となる場合があります。
空き家民泊を検討する際に最初に確認しなければならないのは、その空き家が住宅宿泊事業法上の「住宅」に該当するかという点です。
住宅宿泊事業法による民泊を行うためには、台所、浴室、便所、洗面設備といった設備要件を満たすだけでなく、法律上の居住要件を満たす必要があります。
現に人の生活の本拠として使用されている住宅だけでなく、入居者を募集している住宅や、随時所有者等の居住の用に供されている住宅なども対象となります。
したがって、長期間放置され、居住用として利用する予定もなく、宿泊施設としてのみ恒常的に使用する空き家については、住宅宿泊事業法の「住宅」として取り扱えるかを慎重に確認する必要があります。
「空き家だから民泊新法で営業できる」という判断は危険です。
住宅宿泊事業法を利用する場合は、都道府県知事等への住宅宿泊事業の届出によって営業します。
最大の特徴は、旅館業法上の営業許可とは異なる届出制度であることです。
一方、人を宿泊させることができる日数は原則として年間180日以内です。
さらに、自治体の条例によって、地域や曜日、期間などについて追加的な営業制限が設けられている場合があります。
そのため、事業収支を検討する段階で、所在地の条例まで確認することが重要です。
年間を通じて本格的に宿泊施設として営業するのであれば、旅館業法上の許可を検討することになります。
空き家を利用した小規模な宿泊施設では、事業内容に応じて簡易宿所営業等が検討されます。
旅館業法を利用する場合には、住宅宿泊事業法の年間180日制限はありません。
その一方で、施設の構造設備、用途地域、建築基準、消防設備その他の要件について、住宅宿泊事業より厳格な確認が必要となる場合があります。
国家戦略特別区域内では、自治体の制度に応じて特区民泊を利用できる場合があります。
ただし、対象地域や最低宿泊日数その他の要件があるため、全国どこでも利用できる制度ではありません。
空き家の所在地と事業モデルを確認したうえで、住宅宿泊事業、旅館業、特区民泊のどの制度を利用するかを判断する必要があります。
事業者が空き家に居住せず民泊として運営する場合には、住宅宿泊管理業の規制が重要になります。
住宅宿泊事業者が宿泊者の滞在中に不在となる場合など、一定の場合には、原則として住宅宿泊管理業者へ法定の管理業務を委託する必要があります。
法人が住宅宿泊事業者となる場合も、この規制を特に慎重に確認する必要があります。
したがって、信託会社、空き家所有者、民泊運営会社、住宅宿泊管理業者の役割を最初から整理しておかなければなりません。
「信託会社が不動産を所有する」「民泊運営会社が宿泊事業を行う」「登録住宅宿泊管理業者が法定管理を行う」というように、それぞれの主体を分離する設計も考えられます。
他人の財産について信託の引受けを営業として行う場合、原則として信託業法上の信託業に該当します。
通常の信託業は免許制ですが、受託者の裁量性が限定された一定の信託についてのみ取り扱う場合には、「管理型信託業」として登録制による参入が認められています。
管理型信託業の登録は、単なる不動産管理業者の登録ではありません。
金融行政上の登録業者として、信託財産の分別管理、受託者責任、内部管理、コンプライアンス等について継続的な監督を受けることになります。
管理型信託業で最も重要なのは、受託者自身の裁量による運用が大きく制限されていることです。
管理型信託として取り扱うためには、原則として委託者等から具体的な指図を受け、その指図に従って信託財産を管理・処分する仕組みとするか、保存行為や財産の性質を変えない範囲の利用・改良に限定する必要があります。
したがって、受託者である信託会社が自ら判断して、
「この空き家を取得する」
「この建物を大規模に改築する」
「宿泊施設へ転換する」
「この時点で売却する」
といった投資判断を自由に行う仕組みは、管理型信託業の範囲を超える可能性があります。
管理型信託業登録を検討する場合は、信託契約書だけでなく、誰が、どの範囲で、どのような指図を行うのかまでスキーム図として明確化することが重要です。
まず、空き家所有者を委託者として、不動産を管理型信託会社へ信託します。
信託設定に伴い、不動産について信託登記を行い、受託者が信託財産として管理する形になります。
空き家所有者は、信託設計に応じて信託受益権を取得します。
信託会社は、信託財産と自己の固有財産を分別して管理します。
修繕、維持管理、契約締結その他の業務について、管理型信託業の範囲内で、信託契約や適切な指図に基づいて実行します。
この仕組みによって、複数の空き家を同一の管理方針の下で扱いやすくなります。
ここで重要なのは、「不動産の受託者」と「宿泊事業の営業主体」は必ずしも同一である必要がないという点です。
信託会社が不動産を保有し、別会社が旅館業又は住宅宿泊事業の主体として運営する構成も検討できます。
どの主体が住宅宿泊事業の届出又は旅館業許可を取得するのか、信託会社との契約関係をどうするのか、住宅宿泊管理業者を誰にするのかを事前に整理します。
民泊又は宿泊施設から生じた収益は、スキームに従って信託財産へ帰属させ、必要経費等を控除したうえで受益者へ分配することが考えられます。
ここまで設計して初めて、「不動産管理」と「宿泊事業」と「収益分配」が一つの事業スキームとして機能します。
管理型信託会社には、最低資本金5,000万円という財産的要件があります。
さらに、所定水準以上の純資産を維持する必要があり、営業開始前には営業保証金についても対応する必要があります。
しかし、実務上より重要なのは人的構成と内部管理体制です。
信託業務を適切に遂行できる知識・経験を持つ役員・使用人、信託引受審査、分別管理、利益相反管理、法令等遵守、内部監査、苦情処理、帳簿・記録管理などについて、実際に機能する体制を構築する必要があります。
金融当局への登録申請では、単に会社概要と役員履歴を提出すればよいわけではありません。
事業計画、信託スキーム、信託契約、業務方法書、各種社内規程・マニュアル、人員配置、組織体制等について、一貫性を持った説明が求められます。
空き家再生事業では、管理型信託業とリノベーションとの関係が非常に重要です。
建物の通常の修繕や保存行為であれば、管理型信託の範囲内で整理しやすい場合があります。
しかし、建物の性質や利用方法を実質的に変更するような大規模改修について、受託者自身が裁量的に判断して実行するスキームは、管理型信託業として整理できるか慎重な検討が必要です。
「古い住宅を取得して宿泊施設へ改修し、その後の運用方法まで信託会社が決定する」という事業と、「所有者又は適切な指図権者が事業判断を行い、信託会社は指図に基づいて管理・処分を実行する」という事業では、信託業法上の評価が異なり得ます。
空き家再生事業では、登録申請以前にこの線引きを整理することが重要です。
不動産を信託すると、経済的利益を受ける権利として信託受益権が生じます。
この信託受益権は、金融商品取引法上の有価証券として取り扱われる場合があります。
したがって、単に空き家所有者自身が受益者になるだけでなく、信託受益権を投資家へ譲渡したり、その売買・媒介等を事業として行ったりする場合には、第二種金融商品取引業をはじめとする金融商品取引法上の規制について確認する必要があります。
さらに、投資家から資金を集め、その資金を用いて不動産や信託受益権へ投資し、運用益を分配するファンド構造とする場合には、募集・私募、運用、販売の各機能について金融商品取引法上の登録又は適用除外の検討が必要になることがあります。
「不動産の信託」と「投資商品としての信託受益権」は、同じ信託でも規制のレイヤーが異なります。
空き家を信託せず、投資家から出資を集めて現物不動産を取得・運用し、その収益を分配する場合には、不動産特定共同事業法の検討が必要となることがあります。
一方、不動産を信託受益権化した場合には、金融商品取引法との関係が前面に出てくる場合があります。
したがって、
現物不動産で組成するのか、
不動産信託受益権で組成するのか、
匿名組合等を利用するのか、
信託会社を利用するのか、
外部のアセットマネージャーを利用するのか、
という選択によって必要となる許認可が大きく変わります。
最初に「どの許認可を取るか」を決めるのではなく、事業スキームを決めた結果として必要となる許認可を洗い出すことが重要です。
信託財産については、受託者自身の固有財産とは区別して管理することが信託制度の重要な特徴です。
そのため、適切な信託スキームは、不動産を事業会社自身の資産として直接保有する場合とは異なるリスク管理構造を構築できます。
ただし、「信託にすればあらゆる債権者から完全に保護される」「所有者の相続問題が完全になくなる」という意味ではありません。
例えば、受益者が保有する信託受益権自体については、相続や債権者との関係が生じる可能性があります。
信託の目的はリスクを消滅させることではなく、財産管理・権限・収益帰属を契約によって整理し、事業継続性を高めることにあります。
民泊の許認可だけ取得しても、その建物を宿泊施設として安全に使用できなければ事業を開始できません。
建物の規模、構造、家主の居住状況、宿泊室の面積等によって、消防法令上必要となる設備が異なります。
消火器、自動火災報知設備、誘導灯その他の消防設備が必要となる場合もあります。
また、旅館業として利用する場合には、用途地域、建築基準法上の用途、用途変更その他の確認も必要です。
古い空き家では、建物自体に未登記部分、増築部分、接道、用途その他の問題が存在することもあるため、物件取得後ではなく、事業化を決定する前のデューデリジェンスが重要です。
この事業で最も重要なのは、誰が何を行う会社なのかを明確にすることです。
不動産を保有・管理する受託者、信託財産について指図を行う者、民泊を営業する者、住宅宿泊管理を行う者、不動産を取得する者、リノベーションを行う者、宿泊者との契約を行う者、投資家を募集する者、信託受益権を販売する者を整理します。
これらを一社ですべて実施しようとすると、信託業法上の兼業規制を含め、複数の許認可が重複する可能性があります。
そのため、信託会社と民泊運営会社を分離する、アセットマネジメント機能を別会社へ置く、住宅宿泊管理業者を外部利用するなど、役割ごとに法人を分ける設計が適切な場合があります。
金融・不動産事業では、申請書を書き始めてからスキームを修正する方法は効率的ではありません。
特に管理型信託業は、予定している信託スキームそのものが管理型信託に該当するかが登録審査の重要な前提となります。
そのため当事務所では、事業者、空き家所有者、受託者、指図権者、民泊運営会社、管理会社、投資家等の関係を整理したうえで、資金と契約の流れを確認します。
その後、
どの法人がどの許認可を取得するのか、
どの法人にどの人員を配置するのか、
どの契約によって権限を付与するのか、
どこからどこまでを管理型信託会社が行うのか、
金融商品取引法や不動産特定共同事業法が関係しないか、
という順序で許認可構造を確定します。
複数の法律が関係する事業ほど、「申請手続」より前の規制整理が重要です。
管理型信託業への新規参入について、事業スキームの整理から登録申請まで対応します。
予定する信託が管理型信託業として成立するかを確認し、信託スキーム図、事業計画、業務方法書、社内規程・マニュアル、組織体制、人的構成その他の申請資料を整備します。
財務局との事前相談を前提として、照会事項への回答や追加説明資料の作成まで継続して支援します。
空き家を宿泊施設として利用する場合について、住宅宿泊事業法による届出と旅館業法による営業許可のどちらが適切かを整理します。
所在地の条例、営業日数、建物の利用状況、運営方法、家主不在の有無等を確認し、必要となる行政手続を検討します。
信託受益権を投資商品として利用する場合には、金融商品取引法上の登録関係を確認します。
第二種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業、ファンド規制等との関係を整理し、必要に応じて金融規制全体を前提とした事業スキームを検討します。
空き家再生事業について、信託を利用する方法だけでなく、不動産特定共同事業を利用する方法との比較も重要です。
現物不動産型、信託受益権型、ファンド型などの事業モデルを比較し、事業規模、投資家層、資金調達方法、将来の出口戦略に応じて許認可構造を整理します。
空き家民泊×信託では、一つの行政庁だけで手続が完結するとは限りません。
財務局、都道府県・市区町村、保健所、消防機関、建築関係部署等との手続が並行する場合があります。
当事務所では、各手続を個別に見るのではなく、事業開始までの工程全体を確認しながら許認可プロジェクトを管理します。
必ずしもできるとは限りません。
住宅宿泊事業法を利用するためには、対象物件が同法上の「住宅」の要件を満たす必要があります。
長期間使用されていない空き家や、今後宿泊施設としてのみ利用する建物については、住宅要件を満たすか個別に確認する必要があります。
営業として他人の財産について信託の引受けを行う場合には、原則として信託業法の規制対象となります。
管理型信託に該当する場合には登録制を利用できる可能性がありますが、単なる不動産管理契約とは異なります。
資本金だけでは登録できません。
財産的基礎に加え、人的構成、信託業務の経験・知識、業務方法書、信託財産の分別管理、コンプライアンス、内部管理、苦情対応その他の業務遂行体制が審査されます。
また、予定する信託スキームそのものが管理型信託業に該当する必要があります。
当然に可能になるわけではありません。
信託業法上の業務範囲・兼業規制、住宅宿泊事業法又は旅館業法上の営業主体、信託契約上の権限などを確認する必要があります。
事業内容によっては、信託会社と宿泊運営会社を別法人とする方が適切な場合があります。
リノベーションの内容と意思決定権限によります。
管理型信託では受託者の裁量が制限されるため、大規模な用途転換や投資判断まで受託者自身が自由に行うスキームについては慎重な検討が必要です。
指図権者の設計を含め、事前に信託業法上の整理を行う必要があります。
可能性はありますが、金融商品取引法の確認が必要です。
不動産信託受益権の売買や媒介等を業として行う場合には、第二種金融商品取引業をはじめとする規制が問題となることがあります。
資金調達方法まで含めて事業スキームを設計する必要があります。
適切な信託設計によって、所有者本人の死亡や意思能力低下による不動産管理の停止リスクを抑えることは可能です。
ただし、信託受益権の相続等は別途発生し得るため、信託契約における受益者承継まで含めた設計が重要です。
空き家民泊と管理型信託を組み合わせる最大の意義は、単に民泊営業を始めることではありません。
複数の空き家を継続的に取得・受託し、再生し、管理し、宿泊収益を生み出す仕組みそのものを構築できる可能性にあります。
一方で、そのためには信託業法だけでなく、住宅宿泊事業法、旅館業法、金融商品取引法、不動産特定共同事業法、建築・消防規制などを横断した設計が必要になります。
緒方法務事務所では、金融規制・許認可を専門分野として、管理型信託業登録だけを単独で捉えるのではなく、空き家取得、信託、民泊運営、資金調達、投資家対応まで含めた事業全体の規制構造を整理します。
「複数の空き家を信託で管理したい」
「空き家再生と民泊を事業化したい」
「管理型信託会社を設立して不動産事業へ参入したい」
「信託受益権を利用した資金調達を検討している」
「不動産特定共同事業と信託のどちらを利用すべきか判断したい」
という事業者様は、構想段階からご相談ください。
許認可申請を始める前の段階からスキームを整理することで、登録・許可取得後まで運用可能な事業体制の構築を支援します。
旅館業許可・ホテル営業許可申請|簡易宿所・民泊・宿泊施設開業支援
編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年10月16日