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届出済みのファンド運営者の方へ。この記事では、事業報告書・説明書類・変更届などの継続手続を先に整理し、投資家要件の管理、複数ファンドの管理、財務局への対応へと順に説明します。新規届出のご案内は記事後半にまとめています。
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届出済みのファンド運営者の方へ。この記事では、事業報告書・説明書類・変更届などの継続手続を先に整理し、投資家要件の管理、複数ファンドの管理、財務局への対応へと順に説明します。新規届出のご案内は記事後半にまとめています。
適格機関投資家等特例業務は、「届出を提出すれば終わり」という制度ではありません。
金融商品取引法第63条に基づく適格機関投資家等特例業務、いわゆる「63条特例」を利用してファンドを運営する場合、届出後も、投資家要件の継続的な管理、契約締結前・締結時の書面対応、分別管理、帳簿書類の作成・保存、事業報告書の提出、説明書類の公表、変更届など、金融商品取引法上の継続的な義務に対応する必要があります。
特に重要なのは、63条特例が「金融商品取引業の登録を受けていないから規制が軽い」という制度ではないことです。
適格機関投資家等特例業務には、投資家保護の観点から多数の行為規制が適用されており、投資家の属性確認やファンド運営の適法性についても、届出者自身が継続して管理しなければなりません。
緒方法務事務所では、金融規制・ファンド行政手続を取り扱う行政書士として、63条特例の新規届出だけでなく、届出後の維持管理、変更届、事業報告、公衆縦覧、投資家属性管理、社内管理体制の整備まで一体的に支援しています。
適格機関投資家等特例業務の届出者には、毎事業年度、事業報告書を作成して提出する義務があります。
原則として、事業年度終了後3か月以内に、所定の様式による事業報告書を管轄する財務局等へ提出します。
事業報告書では、単なる会社決算の数値だけではなく、特例業務の状況、ファンドの運用状況、投資家構成その他の事項を整理する必要があります。
法人税申告や通常の決算業務とは別の金融商品取引法上の手続です。
そのため、「税理士が決算をしているから大丈夫」と考えず、金融商品取引法上の提出期限を別途管理することが重要です。
事業報告書とは別に、届出者には説明書類の公表義務があります。
原則として、毎事業年度終了後4か月以内に説明書類を作成し、公衆の縦覧に供する必要があります。
一定の場合には、事業報告書の写しを説明書類に代えて利用できることもあります。
「財務局へ提出したから完了」ではない点が重要です。
当局への提出と、投資家その他の者が閲覧できる状態にする公表手続は、それぞれ確認する必要があります。
届出事項に変更が生じた場合には、変更届が必要となることがあります。
例えば、会社名、所在地、代表者、役員、重要な使用人、営業所、ファンドに関する届出事項その他の内容に変更が生じた場合には、その変更が届出対象となるかを速やかに確認する必要があります。
変更届の提出時期は、原則として「遅滞なく」とされるものがあるため、年に一度まとめて確認するという管理では十分ではありません。
会社法上の変更登記だけを行い、63条特例の変更届を忘れることは避けなければなりません。
登記事項、ファンド契約、社内組織、財務局への届出内容を横断的に管理する必要があります。
63条特例であっても、投資家との契約手続には金融商品取引法上の行為規制が適用されます。
相手方の属性や取引内容によって適用関係は異なりますが、契約締結前の書面、契約締結時の書面その他必要な書面を適切に作成・交付する必要があります。
ファンド名称、投資対象、投資方針、リスク、報酬・費用、解約・償還条件、利益相反その他の重要事項について、ファンド契約と投資家向け説明書面の内容が整合していることも重要です。
契約書と説明資料を別々に作成すると、記載内容の不一致が生じることがあります。
ファンド契約、募集資料、契約締結前交付書面その他の投資家向け資料を一体的に確認することが望まれます。
投資できる属性に該当することと、その投資家に当該ファンドを勧誘することが適切であることは、別の問題です。
投資家の知識、経験、財産の状況、投資目的、リスク許容度等を踏まえ、適正な勧誘を行う必要があります。
特に、複雑な投資対象、高い損失リスク、長期のロックアップ、レバレッジを伴うファンド等については、投資家属性をより慎重に確認する必要があります。
「対象投資家だから販売できる」という形式判断だけではなく、実際の勧誘プロセスの管理が必要です。
投資家から預かった資金と、ファンド運営者自身の財産を適切に区分して管理することは、ファンド運営の基本です。
入出金口座、投資実行、管理報酬、組成費用、運営費用、分配金その他の資金移動について、契約上の根拠と会計処理を一致させる必要があります。
特に複数のファンドを同時に運営する場合には、ファンド間の資金混在を防止しなければなりません。
「同じ会社が運営しているから」という理由で、複数ファンドの資金を一体管理することは避けるべきです。
適格機関投資家等特例業務には、一定の帳簿書類を作成し、法定期間保存する義務があります。
勧誘記録、契約関係書類、顧客管理資料、運用関係記録その他、業務内容に応じた資料を継続的に管理する必要があります。
金融行政では、単に「適法に行った」と説明するだけではなく、適法に行ったことを記録によって説明できることが重要です。
数年後の検査・照会にも対応できるよう、ファンドごと、投資家ごと、事業年度ごとに記録を体系的に保存することが望まれます。
ファンド運営者は、出資者のため忠実に業務を行い、適切な注意をもってファンドを運営する必要があります。
特に問題となりやすいのが、GP、スポンサー、代表者、関係会社その他の利害関係者との取引です。
関係会社から資産を取得する場合、関係会社へ業務委託する場合、役員又は株主と利害関係のある取引を行う場合には、利益相反の有無と管理方法を検討する必要があります。
ファンド契約に書いてあるという理由だけで、利益相反管理が不要になるわけではありません。
取引条件の妥当性、意思決定プロセス、承認手続、記録保存まで含めた管理が重要です。
適格機関投資家等特例業務とは、一定の投資家だけを対象とするファンドについて、金融商品取引業の登録を受けることなく、届出によって自己募集又は自己運用を行うことができる制度です。
一般に、組合型ファンドの持分を自ら投資家へ勧誘する場合には第二種金融商品取引業、集めた資金を有価証券等へ投資・運用する場合には投資運用業の登録が問題となります。
これに対し、金融商品取引法第63条では、一定の条件を満たすファンドについて、事前に適格機関投資家等特例業務の届出を行うことで、登録によらず自己募集・自己運用を行うことが認められています。
ただし、対象となる投資家は無制限ではありません。
原則として、少なくとも1名以上の適格機関投資家が出資者に含まれ、適格機関投資家以外の出資者についても49名以下で、かつ法令上認められた一定の者に限定されます。
したがって、単純に「適格機関投資家1名と、それ以外49名までであれば誰でもよい」という制度ではありません。
適格機関投資家等特例業務では、投資家の人数だけでなく、各投資家が法令上の対象者に該当するかを確認する必要があります。
適格機関投資家以外の投資家については、その属性、資産状況、投資経験、届出者との関係その他の事情から、法令上認められた出資者に該当するかを個別に判定しなければなりません。
個人投資家について一定額以上の資産が求められる場合であっても、本人の申告だけで機械的に判断すればよいとは限りません。
重要なのは、なぜその投資家を対象投資家と判断したのかを後から説明できる状態にしておくことです。
投資家から提出された確認書、残高資料、取引履歴、職歴その他の確認資料を踏まえ、判定結果とその根拠を記録し、適切に保存するという管理が重要になります。
63条特例における49名という数字だけを切り取って理解することは危険です。
現在の制度では、適格機関投資家以外の投資家についても一定の範囲に限定されているため、不特定多数の一般消費者を対象として広く勧誘することを前提とした制度ではありません。
SNS、インターネット広告、紹介営業その他の方法を利用する場合にも、実際にどの範囲まで勧誘を行うのか、勧誘対象者が法令上認められる属性に該当するのかを検討する必要があります。
ファンド組成時には、「誰から出資を受けるか」を契約書作成より先に整理することが重要です。
投資家構成によっては、そもそも63条特例では対応できず、第二種金融商品取引業や投資運用業の登録を検討しなければならない場合があります。
63条特例では、適格機関投資家が少なくとも1名以上出資することが基本的な要件となります。
適格機関投資家には、金融機関、一定の金融商品取引業者、投資事業有限責任組合その他法令上定められた者が含まれます。
また、一定の要件を満たした法人又は個人について、所定の届出を行うことで適格機関投資家に該当する場合もあります。
もっとも、「形式上、適格機関投資家の名前が入っていればよい」と考えるべきではありません。
ファンド契約、出資実態、利益相反関係、出資者間の関係、適格機関投資家の属性などを含め、スキーム全体として63条特例の要件を満たしているかを確認する必要があります。
短期間に複数のLPS、匿名組合その他のファンドを組成する場合には、一つ一つのファンドだけを見るのではなく、事業者全体としての管理が必要です。
各ファンド単体では適格機関投資家1名以上、適格機関投資家以外49名以下という構成であっても、募集方法、投資対象、投資家、募集時期、運営主体その他の事情によっては、複数のファンドを一体として評価すべき問題が生じる可能性があります。
特に「49名」という人数制限を形式的に回避する目的でファンドを分割するような設計は慎重な検討が必要です。
継続的にファンドを設立する事業者については、個別ファンドの届出だけでなく、ファンド横断の投資家管理、募集管理、資金管理、案件管理の体制を構築することが重要です。
適格機関投資家等特例業務は届出制度ですが、届出者が当局の監督対象外になるわけではありません。
金融庁・財務局は、必要に応じて届出者に対する報告徴求や検査を行うことができます。
事業報告書の未提出、変更届の漏れ、投資家属性の不明確さ、営業所の実態、ファンドの運用状況などについて照会が行われることがあります。
行政から照会を受けた場合には、回答期限だけを意識するのではなく、照会の背景にある法的論点を把握することが重要です。
事実関係を整理せずに場当たり的な回答をすると、後日の追加照会との間で説明が矛盾することがあります。
当事務所では、届出資料、ファンド契約、投資家資料、過去の報告書等を確認したうえで、行政照会への回答整理を支援します。
届出後に必要となる継続手続にも対応します。
具体的な支援範囲やご依頼の流れは、63条特例の変更届出・継続管理を依頼するをご覧ください。
役員変更、所在地変更その他の変更届、毎事業年度の事業報告書、説明書類その他必要な行政手続について、期限管理を含めて支援します。
「数年前に届出をしたまま、その後の手続を確認していない」という場合もご相談いただけます。
過去の届出書、変更履歴、事業報告書、公衆縦覧資料、投資家属性、ファンド契約その他の資料を確認し、現在必要な対応を整理します。
予定している出資者が法令上の対象投資家に該当するかを確認します。
必要に応じて、属性確認書、確認資料、投資家管理資料等を整備し、なぜ当該投資家から出資を受けることが可能と判断したのかを説明できる状態にします。
LPS契約、匿名組合契約その他のファンド契約と、63条特例の届出内容を横断的に確認します。
投資対象、出資条件、GP権限、利益相反、管理報酬、費用負担、分配、解散・清算その他の条項について、届出内容との不整合が生じないよう確認します。
ファンドを継続して運営する事業者については、単発の届出書作成だけでは十分ではありません。
投資家審査、契約締結、入金確認、投資実行、分別管理、利益相反審査、運用報告、変更管理、事業報告まで、一連の業務フローを整理します。
このような場合は早めにご相談ください
63条特例の届出をしたが、その後の事業報告書を提出しているか分からない。
役員、本店所在地、営業所その他の変更があったが、変更届を提出していない。
新しい投資家から出資を受けたいが、63条特例の対象投資家に該当するか判断できない。
複数のLPSやファンドを継続して設立する予定がある。
適格機関投資家を含む投資家構成をどのように設計すべきか確認したい。
財務局から照会、補正依頼又は報告依頼を受けている。
契約書と63条特例の届出内容が一致しているか確認したい。
現在運営しているファンドについて、金融商品取引法上のコンプライアンス点検を行いたい。
A.あります。
代表的なものとして、事業年度終了後の事業報告書の提出と説明書類の公表があります。これとは別に、届出事項に変更が生じれば変更届が必要となる場合があります。
A.対応可能です。
過去の届出書、事業報告書、変更届、投資家資料その他の関係書類を確認し、現在の状態と必要な是正手続を整理します。
A.可能ですが、各ファンドを形式的に別々に見るだけでは不十分な場合があります。
募集方法、投資家、設立時期、投資対象、運営主体等を踏まえ、ファンド横断で法令上の問題が生じないか確認することが重要です。
A.いいえ。
適格機関投資家以外の投資家についても、法令上認められた一定の者に限定されています。人数だけで判断することはできません。
A.適格機関投資家1名の存在だけで、すべての要件を満たすわけではありません。
その他の投資家の属性、募集方法、運用方法、ファンド契約、利益相反その他の要件を総合的に確認する必要があります。
A.法律上の要件を満たしたうえで、業務開始前に所定の届出を行う必要があります。
単に届出書を提出すればよいのではなく、投資家構成、ファンドスキーム、届出者や役員等に関する要件、必要書類その他の条件を満たしている必要があります。
63条特例は、機動的なファンド組成を可能とする重要な制度ですが、届出後も金融商品取引法上の規制は継続します。
投資家要件、適合性、契約書面、分別管理、利益相反管理、帳簿保存、変更届、事業報告、公衆縦覧などを継続的に管理して初めて、適切なファンド運営が可能になります。
特に複数のファンドを継続的に組成する事業者では、個々の届出書を作成するだけでなく、事業者全体として金融規制を管理できる体制を構築することが重要です。
緒方法務事務所では、金融商品取引法、ファンド規制、金融行政手続を中心に、ファンド組成前のスキーム確認から63条特例の届出、届出後の継続管理まで一貫して対応します。
これから63条特例を利用してファンドを組成する場合には、届出書を作成する前にスキーム全体を確認します。
ファンド形態、GPその他の運営主体、投資対象、募集方法、適格機関投資家、その他の投資家属性、利益相反、投資期間、管理報酬その他の条件を確認し、63条特例の利用可能性を検討します。
新規届出の支援内容は、適格機関投資家等特例業務(63条特例)届出代行をご確認ください。
検討中の事業内容と現在の準備状況を添えて、ご相談ください。
編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年9月19日