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資金移動業の登録では、申請書を作成するだけでは十分ではありません。 現在の資金移動業登録では、送金スキーム、利用者保護、システム管理、資金保全、外部委託管理、情報管理などとともに、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)が重要な審査項目となっています。
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資金移動業の登録では、申請書を作成するだけでは十分ではありません。
現在の資金移動業登録では、送金スキーム、利用者保護、システム管理、資金保全、外部委託管理、情報管理などとともに、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)が重要な審査項目となっています。
特に重要なのは、「社内規程が存在するか」ではなく、その規程を実際に運用できる態勢になっているかという点です。
顧客をどのように受け入れるのか、どの情報を取得するのか、顧客ごとのリスクをどのように判定するのか、不審な取引をどのように検知するのか、アラートを誰が確認するのか、疑わしい取引の届出を誰が判断するのかまで、具体的な業務フローとして説明できなければなりません。
2024年3月までの基礎的なAML/CFT態勢整備の段階を経て、現在は「整備した態勢が本当に機能するのか」という実効性の確保・検証・高度化がより重要になっています。
したがって、新規登録を目指す事業者についても、既存金融機関と同様に、単なる規程整備ではなく、事業内容に応じた実務的なAML/CFT態勢を最初から設計することが重要です。
資金移動業の正式な登録申請については、一定の標準処理期間が定められています。
しかし、実務上重要なのは、正式申請を行う前に財務局との事前相談・事前確認が行われることです。
この事前確認期間は、正式申請後の標準処理期間とは別に考える必要があります。
さらに、申請内容の補正、追加資料の作成、事業スキームの変更、システム仕様の修正などに要する期間も、通常の標準処理期間とは別に発生します。
そのため、事業者から見た「相談開始から登録までの期間」と、法令上の「正式申請後の標準処理期間」は同じものではありません。
実務上の登録スケジュールを短縮するためには、正式申請を急ぐことよりも、事前相談の初期段階から完成度の高い事業スキームと内部管理態勢を提示することが重要です。
財務局が確認するのは、提出された申請書だけではありません。
予定しているサービス内容、資金の流れ、顧客属性、送金方法、システム構成、業務委託先、組織体制、コンプライアンス態勢などを総合的に確認し、その事業を適正かつ確実に運営できるかが判断されます。
そのため、社内規程だけを先に作成し、後からシステムや業務フローを合わせようとすると、規程と実態との不整合が生じやすくなります。
資金移動業登録では、「事業スキーム」「業務フロー」「社内規程」「システム仕様」「人的体制」を同時に設計することが重要です。
AML/CFT対策の基本となる考え方が、リスクベース・アプローチです。
これは、すべての顧客や取引に一律の管理を行うという考え方ではありません。
自社が取り扱う商品・サービス、取引形態、顧客属性、国・地域、送金金額、送金頻度、利用方法その他の事情から、自社がどのようなマネロン・テロ資金供与リスクにさらされているのかを特定・評価し、そのリスクに応じた低減措置を講じるという考え方です。
したがって、他社のAML/CFT規程をそのまま流用することは適切ではありません。
例えば、国内個人間送金を中心とするサービスと、海外送金を行うサービスでは、想定されるリスクが異なります。
法人顧客中心のサービスと、一般消費者がスマートフォンから利用するサービスでも、確認すべき事項は異なります。
財務局との事前相談では、「なぜそのリスクを高い・中程度・低いと評価したのか」「その評価に対して、なぜその管理方法を採用したのか」という理由まで説明できる状態にすることが重要です。
最初に重要となるのが、どのような顧客を受け入れるのかという顧客受入方針です。
個人顧客であれば本人特定事項、取引目的、職業その他必要な情報を確認し、法人顧客であれば法人そのものの確認だけでなく、事業内容、実質的支配者、取引目的等についても適切に確認する必要があります。
非対面で顧客を受け入れるサービスでは、本人確認方法と実際のシステム仕様が一致していることも重要です。
「本人確認サービスを外部事業者に委託しているから問題ない」という説明だけでは足りません。
どの情報を取得し、どのような場合にエラーとなり、再確認をどのように行い、確認結果をどのように保存するのかまで把握しておく必要があります。
顧客を受け入れた後は、それぞれの顧客についてリスクを評価する仕組みが必要です。
例えば、居住国・所在地、業種、職業、取引目的、送金先、予定取引金額、取引頻度、外国PEPs等への該当性その他の要素を組み合わせ、顧客のリスクを判定します。
重要なのは、単純に「高・中・低」の三段階に分類することではありません。
どの要素を評価対象とし、それぞれにどの程度のリスクを認め、どのようなロジックで最終的な顧客リスクを決定するのかを説明できる必要があります。
KYCは、口座開設時や利用開始時に一度行えば終了するものではありません。
顧客との取引関係が継続する間は、顧客情報や取引内容を継続的に確認し、必要に応じて顧客リスク評価を見直していく必要があります。
高リスク顧客について確認頻度を高めるなど、顧客リスクに応じて管理方法を変えることも重要です。
また、取引モニタリングの結果として顧客のリスクが高まった場合などには、定期的な更新時期を待たずに顧客情報を再確認する仕組みも検討する必要があります。
資金移動業では、制裁対象者その他取引を行うことが適切でない者との取引を防止するためのフィルタリング態勢も重要です。
顧客受入時だけではなく、制裁対象者等に関するリストが更新された場合に既存顧客を再確認できる態勢が必要となります。
氏名の完全一致だけでは検知できない場合もあるため、サービス内容や顧客属性に応じた照合方法を検討することも重要です。
海外送金を行う事業では、AML/CFTだけでなく、経済制裁や拡散金融リスクを含めた管理態勢も重要になります。
資金移動業のAML/CFT態勢において、特に実務上重要になるのが取引モニタリングです。
単に「一定金額以上の取引を検知する」というだけでは十分ではありません。
顧客属性、送金額、送金回数、送金先、短期間の入出金、通常の取引パターンとの乖離その他の情報を踏まえ、疑わしい取引につながる可能性のある取引を検知できるようにする必要があります。
シナリオや敷居値は、自社のリスク評価と整合していなければなりません。
さらに、サービス開始後も、実際のアラート発生状況、疑わしい取引の届出状況、不正利用事例などを分析し、シナリオや敷居値を見直していく必要があります。
システムがアラートを検知しただけでは、AML/CFT態勢は完成しません。
検知したアラートを誰が確認するのか、どの情報を調査するのか、追加確認が必要な場合に誰が顧客へ照会するのか、取引を継続・制限・停止する判断を誰が行うのかを定める必要があります。
また、担当者が処理できるアラート件数と、実際に発生すると想定されるアラート件数の整合性も重要です。
「システム上は検知できるが、人員不足で処理できない」という設計では、実効性のある管理態勢とはいえません。
疑わしい取引の届出は、AML/CFT態勢の中核となる業務の一つです。
取引モニタリング等によって検知された取引について、顧客情報や過去の取引履歴などを確認し、疑わしい取引に該当するかを適切に判断する必要があります。
社内規程では、調査担当者、判断権限者、報告経路、記録方法などを明確にすることが重要です。
さらに重要なのは、届出を行って終わりにしないことです。
届出に至った取引の特徴を分析し、その結果を顧客リスク評価や取引モニタリングのシナリオ・敷居値の見直しへ反映することで、AML/CFT態勢を継続的に改善していくことが求められます。
資金移動業者は、犯罪収益移転防止法上の特定事業者として、自社が直面するマネロン等リスクを適切に評価し、その結果を踏まえた管理を行う必要があります。
このリスク評価を文書化する上で重要となるのが、特定事業者作成書面等です。
商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性その他のリスク要素を分析し、自社のリスクを特定・評価した上で、それぞれに対するリスク低減措置を整理します。
重要なのは、この書面を単独で完成させないことです。
リスク評価の内容が、AML/CFT規程、顧客受入方針、顧客リスク評価ロジック、取引モニタリング、取引フィルタリング、疑わしい取引の届出手順、システム仕様等と整合している必要があります。
事前相談において関連資料の提示や説明を求められた際にも、この整合性が極めて重要になります。
AML/CFT規程に「取引モニタリングを実施する」と書くだけでは十分ではありません。
財務局との事前相談では、その規定が実際にどのように実行されるのかを説明できることが重要です。
例えば、「高リスク顧客について厳格な管理を行う」と規定しているのであれば、何をもって高リスクと判断するのか、高リスクとなった場合に通常顧客と何を変えるのか、誰が判断するのかまで設計する必要があります。
「疑わしい取引を検知する」と規定するのであれば、どのシナリオで検知し、アラート発生後に誰が何を調査し、最終判断を誰が行うのかまで具体化する必要があります。
審査で求められるのは「立派な規程」ではなく、「規程どおりに運用できる会社」であることです。
資金移動業では、AML/CFT対応の多くをITシステムによって実行するため、システム設計そのものが審査対象と密接に関係します。
顧客登録、本人確認、顧客リスク評価、制裁対象者等との照合、取引モニタリング、アラート管理、取引制限、顧客情報更新、記録保存などについて、システムがどのように対応するのか整理する必要があります。
システムベンダーへ開発を委託している場合でも、AML/CFT上の責任がベンダーへ移るわけではありません。
登録申請者自身が、AML/CFT上どのような機能が必要であり、その機能がどのように実装されるのかを理解していることが重要です。
eKYC、取引モニタリング、制裁リスト照合、クラウドサービス、カスタマーサポートなど、資金移動サービスでは多数の外部事業者を利用することがあります。
しかし、外部委託を行ったからといって、登録事業者としての管理責任まで外部へ移転するわけではありません。
どの業務を委託するのか、委託元と委託先の役割分担はどうなっているのか、委託先の業務品質をどのように確認するのか、障害や不正が発生した場合にどのような報告を受けるのかを明確にする必要があります。
AML/CFT業務を外部サービスへ依存する場合には、「サービスを導入した」という事実ではなく、そのサービスの有効性を自社としてどのように確認するのかまで設計することが重要です。
AML/CFTをめぐる金融行政は、基礎的な態勢を整備する段階から、その態勢の実効性を継続的に検証・高度化する段階へ移っています。
そのため、新規参入事業者についても、登録時点で規程とシステムを用意するだけではなく、サービス開始後に自社のAML/CFT態勢をどのように検証・改善するのかという視点が重要になります。
取引モニタリングの検知結果は妥当か、過剰なアラートが発生していないか、本来検知すべき取引を見逃していないか、顧客リスク評価は実際の取引実態を反映しているか、疑わしい取引の届出結果をどのように改善へつなげるのかなどを継続的に検証する仕組みが必要です。
「登録時だけ整っているAML/CFT態勢」ではなく、「登録後も自律的に改善できるAML/CFT態勢」を設計することが重要です。
AML/CFTは、コンプライアンス担当者だけに任せる業務ではありません。
経営陣が自社のマネロン等リスクを理解し、必要な人員・システム・予算を確保し、重要な方針やリスク評価について適切に関与する必要があります。
事業規模が小さいスタートアップであっても、「人数が少ないから管理しなくてよい」ということにはなりません。
むしろ、少人数であるからこそ、誰が第1線として業務を行い、誰がコンプライアンス上の確認を行い、誰が独立した検証を行うのかを具体的に整理する必要があります。
役職名を置くだけではなく、担当者の知識・経験、兼務関係、権限、報告経路まで含めた実質的な組織設計が重要です。
国内送金のみであっても、AML/CFTリスクが低いとは限りません。
第三者から入金された資金を短期間で別口座へ送金する行為、多数のアカウントを利用した資金移動、不正取得されたアカウントの利用など、サービス特性に応じた不正利用リスクを検討する必要があります。
海外送金では、国・地域リスク、送金先、送金目的、制裁対象者との関係など、国内送金より多くのリスク要素を検討する必要があります。
送金対象国が多い場合、それぞれの国・地域のリスクをどのように評価するのかも重要になります。
法人顧客を対象とする場合には、法人の存在確認だけでなく、実質的支配者、事業内容、取引目的、資金源、予定される取引規模等を踏まえた顧客管理が重要になります。
設立直後の法人、複雑な株主構成を有する法人、国外関係者が関与する法人などについては、リスクに応じた確認方法を検討する必要があります。
自社サービスを他社のアプリやプラットフォームへ組み込む場合には、顧客との接点が複数事業者にまたがるため、責任分界が特に重要です。
誰が本人確認を行うのか、誰が顧客情報を保有するのか、誰が取引モニタリングを行うのか、疑わしい取引を誰が判断するのかなどを明確にしなければなりません。
審査が長期化する案件では、個々の質問への回答そのものより、申請資料全体の整合性に問題があることがあります。
例えば、事業概要では海外送金を想定しているのに、リスク評価書では国・地域リスクの分析が十分でないケースがあります。
社内規程では24時間監視すると記載している一方、実際の人員配置では対応できないケースもあります。
取引モニタリングをシステムで行うと説明しているにもかかわらず、システム仕様書には具体的なシナリオやアラート処理機能が記載されていないこともあります。
一つの質問に対して一つの回答を追加し続けるだけでは、別の資料との矛盾が増え、結果として審査を長期化させることがあります。
重要なのは、質問の背景にある審査上の論点を把握し、関連する申請書、社内規程、業務フロー、リスク評価、システム仕様をまとめて修正することです。
当事務所では、資金移動業登録を単なる申請書作成業務として扱いません。
事業スキーム、法令要件、内部管理態勢、AML/CFT、システム、人的体制を一体として整理し、財務局との事前相談に対応できる状態まで申請プロジェクト全体を組み立てます。
予定しているサービスの資金フロー、契約関係、利用者との関係等を確認し、資金移動業への該当性や必要となる登録区分を整理します。
登録申請を開始した後に事業スキームそのものを変更することにならないよう、初期段階で法的構造を整理します。
商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性その他のリスク要素を整理し、自社のビジネスモデルに対応したリスク評価の構築を支援します。
特定事業者作成書面等と、顧客リスク評価、取引モニタリング等との整合性まで確認します。
一般的な雛形ではなく、実際の事業内容、組織、人員、システムに合わせてAML/CFT規程・業務マニュアルを設計します。
規程に書いた内容を実際に運用できるかという観点から作成することを重視します。
顧客受入れから本人確認、顧客リスク評価、継続的顧客管理までの業務フローを整理します。
高リスク顧客となった場合の追加確認や承認手続についても具体化します。
どのような取引を検知対象とするのか、どのようなシナリオ・敷居値を設定するのか、アラート発生後にどのように処理するのかを整理します。
必要に応じ、システムベンダーへ提示するAML/CFT上の業務要件の整理も支援します。
事前相談中に財務局から提示された質問事項について、単に回答文を作成するだけではなく、質問の背景にある法令・監督上の論点を分析します。
必要に応じて、回答書だけでなく、関連する規程、リスク評価書、組織図、業務フロー、システム説明資料等も同時に見直します。
長期間にわたり事前相談が継続している案件についても対応します。
これまでの質問回答、提出済み資料、財務局からの指摘事項を整理し、どこに論点が残っているのか、資料間に矛盾がないか、追加整備すべき態勢が何かを再検証します。
申請を最初からやり直すのではなく、既存資料を活かしながら審査上のボトルネックを整理することが重要です。
資金移動業登録で最も避けたいのは、申請書を作成した後に、AML/CFTやシステムの根本的な設計変更が必要になることです。
事業スキーム、AML/CFT、利用者保護、システム、人員配置を個別に設計すると、後から相互の矛盾が生じやすくなります。
特にFinTech事業では、システム開発が進んだ後にAML/CFT要件を追加すると、大幅な仕様変更や追加開発が必要になる場合があります。
登録を検討した段階から、法令・金融行政上の要件をシステム及び事業設計へ落とし込むことが、結果として最も効率的です。
正式な登録申請には標準処理期間がありますが、その前に行われる事前相談・事前確認の期間は別です。
また、補正や申請内容の変更に要する期間も考慮する必要があります。
実際の期間は、事業スキーム、申請資料の完成度、システム開発状況、AML/CFT態勢、人的体制等によって大きく異なります。
規程の作成だけでは十分ではありません。
規程に記載された内容を実際に実行できる業務フロー、担当者、システム、記録方法等が整備されている必要があります。
規程と実際の運用態勢を一体として設計することが重要です。
システムを導入しただけでAML/CFT対応が完了するわけではありません。
自社のリスクに対応したシナリオ・敷居値となっているか、アラートを適切に処理できるか、システムの有効性をどのように検証するかまで検討する必要があります。
必要となる人員・組織体制は、事業規模、サービス内容、リスク、取引量等によって異なります。
小規模な事業者では兼務を検討する場合もありますが、利益相反や牽制機能、担当者の知識・経験、実際の業務量を踏まえて適切性を検討する必要があります。
国内送金であってもAML/CFT対策は必要です。
国内取引でも、不正取得したアカウント、犯罪収益の移転、多数の口座を利用した資金移動その他のリスクがあります。
サービス特性に応じてリスクを評価する必要があります。
既に事前相談が進行している案件からでも対応可能です。
これまで提出した資料、財務局からの質問、回答履歴等を確認し、残っている論点や資料間の不整合を整理した上で対応方針を検討します。
むしろ、システム開発前の段階での検討が有効です。
本人確認、顧客リスク評価、取引フィルタリング、取引モニタリング、アラート管理等について、必要な機能を開発前に整理することで、後から大規模な仕様変更が必要になるリスクを抑えることができます。
日本で予定しているサービス内容と資金フローを確認し、日本の資金決済法その他の関連規制に基づき、必要となる登録・内部管理態勢を整理します。
海外本社のグローバルポリシーが存在する場合でも、日本法上求められるAML/CFT態勢との相違を確認し、日本法人・日本事業向けの規程や業務フローへ落とし込むことが重要です。
検討中の事業内容と現在の準備状況を添えて、ご相談ください。
KYC・本人確認・反社チェック体制構築支援|AML/CFT・犯収法対応|金融専門行政書士
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編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年9月17日