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ゲーム内の「コイン」「ジェム」「ポイント」や、ライブ配信サービスの「投げ銭」は、単なるアプリ上の機能とは限りません。
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ゲーム内の「コイン」「ジェム」「ポイント」や、ライブ配信サービスの「投げ銭」は、単なるアプリ上の機能とは限りません。
利用者が代金を支払い、その対価として付与された電子的な価値を後から商品やサービスの購入に使用できる仕組みは、資金決済法上の「前払式支払手段」に該当する可能性があります。
さらに、その価値を他の事業者でも使用できる、他の利用者へ移転できる、現金等へ換金できるといった機能を追加すると、第三者型前払式支払手段、資金移動業、電子決済手段、暗号資産その他の金融規制まで検討対象が広がることがあります。
重要なのは「コイン」「ポイント」「投げ銭」といった名称ではなく、そのサービスが実際にどのような経済的機能を持っているかです。
アプリやWebサービスをローンチしてから規制該当性を検討するのではなく、課金・決済機能を設計する段階で資金決済法上の位置付けを整理することが重要です。
利用者から先に対価を受け取り、その対価に応じた価値を記録し、その価値を後日の商品購入やサービス利用に充てる仕組みは、前払式支払手段に該当する可能性があります。
典型的なのは、利用者が1,000円を支払って1,000コインを購入し、そのコインを使用してゲーム内アイテムやデジタルコンテンツを取得するようなサービスです。
スマートフォンアプリの場合には、コインの残高がカードそのものに記録されるのではなく、事業者のサーバー上のユーザーアカウントに記録されることが一般的です。
このようなサーバー管理型の仕組みについても、資金決済法上の前払式支払手段となり得ます。
App StoreやGoogle Playなどのアプリ内課金を利用しているからといって、資金決済法の検討が不要になるわけではありません。
決済代行事業者やアプリストアが代金の収納を行っていても、誰がコイン等を発行し、誰がそのコインによる商品・サービス提供義務を負っているのかを別途検討する必要があります。
発行したコインやポイントを、原則として発行者自身が提供する商品やサービスの購入にだけ使用できる場合には、「自家型前払式支払手段」に該当する可能性があります。
自社ゲーム内だけで使用できるゲーム内通貨、自社動画サービス内でコンテンツを購入するためのポイント、自社オンラインサービスの有料機能を購入するためのコインなどが代表的な例です。
ただし、形式上は自社サービス内であっても、実際の商品・サービス提供主体や決済関係に第三者が介在している場合には、契約関係まで確認した上で判断する必要があります。
コインやポイントを、発行者以外の加盟店や事業者の商品・サービスの支払いにも利用できる場合には、「第三者型前払式支払手段」に該当する可能性があります。
自家型と第三者型では参入規制が大きく異なります。
自家型については一定の未使用残高を超えた段階で届出が問題となるのに対し、第三者型については原則として発行前の登録が必要となります。
そのため、マーケットプレイス、複数店舗型アプリ、プラットフォーム型サービスなどでは、サービス開始前に利用先と契約関係を詳細に確認する必要があります。
ライブ配信サービス等の「投げ銭」は、すべて同じ規制になるわけではありません。
例えば、利用者があらかじめコインを購入し、そのコインを使って運営会社が提供するデジタルギフトや演出を購入し、運営会社が別の契約に基づいて配信者へ報酬を支払う仕組みであれば、利用者側のコインについて前払式支払手段として整理できる場合があります。
一方、利用者が保有する価値そのものを配信者へ移転し、配信者がその価値を金銭として受け取ることができる仕組みになると、分析は異なります。
「コインを使ってギフトを購入する」のか、「利用者から配信者へ価値を送金する」のかは、金融規制上きわめて重要な違いです。
後者については、前払式支払手段だけでなく、為替取引や資金移動業に該当しないかを検討しなければなりません。
名称を「ギフト」「応援ポイント」「チップ」などに変更しても、実際の資金移動の構造が変わらなければ法的評価は変わりません。
自家型前払式支払手段では、通常、毎年3月31日と9月30日の基準日における基準日未使用残高が1,000万円を超えるかどうかが重要になります。
基準額を超えた場合には、所管財務局に対する発行届出など、資金決済法上の手続が必要となります。
アプリ事業では短期間で利用者が増えることがあるため、ローンチ時点では未使用残高が少額であっても安心はできません。
売上高ではなく、「利用者が購入したものの、まだ使用していない残高」を管理する必要があることがポイントです。
月間課金額、発行額、消費額、失効額などから基準日未使用残高を継続的に把握できる管理体制をあらかじめ構築しておくことが重要です。
法定の基準を超える前払式支払手段については、利用者保護のため、基準日未使用残高の一定部分について資産保全措置が必要になります。
基本となる考え方は、基準日未使用残高の2分の1以上に相当する額について、発行保証金の供託その他法令上認められた方法による保全を行うというものです。
この制度があるため、アプリ上のコイン残高は単に「先に受け取った売上」として自由に使用できる資金ではありません。
事業計画を策定するときには、広告費や開発費だけでなく、未使用残高の増加によって必要となる保全資金についてもキャッシュフローへ織り込む必要があります。
ゲームやアプリでは、「購入コイン」と「ログインボーナス」などが同じ名称で付与されることがあります。
現金その他の対価を受けて発行した有償分と、キャンペーンやログインボーナスなどとして無償で付与した分では、資金決済法上の取扱いが異なります。
しかし、単に社内で「これは無料ポイントのつもりだった」と考えているだけでは十分ではありません。
無償発行分を発行額・回収額・未使用残高から除外して管理するためには、有償分と無償分を利用者への情報提供上明確に区別でき、さらに帳簿書類上も区分管理できる仕組みを整備することが重要です。
したがって、データベース上で「ユーザー総保有コイン数」だけを記録する設計は避け、有償残高と無償残高を区分して記録できる仕組みとすることが適切です。
また、利用時に有償分と無償分のどちらから先に消費するのかについても、システムロジックと利用規約を一致させておく必要があります。
一定の短期利用型の前払式支払手段については、資金決済法上の適用除外が設けられています。
代表的なのが、発行の日から6か月以内に限り使用できる前払式支払手段です。
そのため、サービス設計上、有効期限を設けることによって資金決済法上の負担を調整できる場合があります。
もっとも、利用規約に形式的に「6か月」と記載すればよいというものではありません。
実際のシステム上も期限到来後に使用できないこと、残高管理や更新の仕組みが適用除外の趣旨と整合していることなどを含めて検討する必要があります。
規制回避だけを目的として形式的な期限設定を行うのではなく、事業モデル全体から適用関係を検証することが重要です。
近年のウォレット型サービスでは、利用者間でポイントや残高を移転できる機能が設けられることがあります。
電子的に残高を移転できる仕組みのうち一定のものについては、通常の前払式支払手段よりも高いマネー・ローンダリング等のリスクがあることから、追加の規制が設けられています。
商品設計によっては、「高額電子移転可能型前払式支払手段」として、業務実施計画、取引時確認、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策などの規制を検討する必要があります。
また、残高の移転という形式を取りながら、経済的には利用者から別の利用者へ資金を送る仕組みとなっている場合には、資金移動業に該当する可能性についても検討が必要です。
P2P送金、換金、出金、ユーザー間残高移転などの機能は、サービス公開後に追加するのではなく、追加前に必ず金融規制上の検証を行うべき機能です。
アプリ上で「コイン」「トークン」という名称を使っているからといって、直ちに暗号資産になるわけではありません。
通常のゲーム内コインやアプリ内ポイントで、発行者等が提供する商品やサービスの支払いにのみ使用できるものは、まず前払式支払手段の該当性を検討することになります。
これに対し、不特定の者との間で流通し、外部ウォレットへ移転できるトークンや、発行者の関与なく第三者間で自由に移転できる仕組みなどでは、暗号資産や電子決済手段の規制を検討する必要が生じます。
法定通貨の価値と連動するデジタル資産については、電子決済手段に関する規制も重要です。
ブロックチェーンを採用しているかどうかだけではなく、換金性、移転性、利用可能先、発行・償還構造などを総合的に判断します。
前払式支払手段は、商品やサービスの代金を前払いするための決済手段であり、銀行口座や送金口座とは制度目的が異なります。
そのため、利用者の希望に応じて自由に現金へ払い戻せるような商品設計には注意が必要です。
自由な換金と他人への価値移転を組み合わせると、実質的に送金サービスと同じ機能を持つ可能性があります。
サービス設計段階では、「購入」「利用」「移転」「換金」「失効」「払戻し」のそれぞれについて、どのような処理を許容するのかを整理しておく必要があります。
アプリやゲームを終了する場合も、資金決済法への対応が必要になることがあります。
資金決済法の対象となる前払式支払手段の発行業務を廃止する場合には、未使用の前払式支払手段について法定の払戻手続を実施しなければならない場合があります。
そのため、「サービスを終了するので、残ったコインはすべて失効します」と利用規約に定めておけば当然に処理できるわけではありません。
利用者への公告・周知、払戻しの申出受付、残高確認、実際の払戻しなどを計画的に行う必要があります。
サービス終了は技術部門だけで決定するのではなく、金融法務上の終了手続まで含めて設計する必要があります。
資金決済法への対応不足は、単なる届出漏れとして終わらないことがあります。
ベンチャーキャピタルからの資金調達、M&A、IPO準備などでは、決済機能について法務デューデリジェンスが行われます。
課金サービスを長期間運営しているにもかかわらず前払式支払手段の該当性を検討していない、基準日未使用残高を算出できない、有償・無償残高を区分していない、必要な届出・登録や保全措置を行っていないといった状態は、重大なコンプライアンス上の論点となります。
特にIPOを予定している企業では、過去の不備を上場審査の直前に発見するよりも、サービス開始時から金融規制上の証跡を残しておくことが重要です。
最初に確認するのは、誰がコインやポイントを発行しているのかです。
アプリ運営会社、プラットフォーム会社、加盟店、決済会社などの契約関係を整理し、利用者に対して価値を発行している主体を特定します。
次に、発行した価値を誰の商品・サービスの購入に使用できるのかを確認します。
自社だけで使用できるのか、第三者の店舗やクリエイター等にも使用できるのかによって、自家型と第三者型の判断が変わります。
利用者から利用者への移転、クリエイターへの移転、銀行口座への出金などが可能かを確認します。
ここに送金性がある場合には、前払式支払手段だけで判断を終えないことが重要です。
課金で取得した残高と無償付与残高をシステム上区別し、利用規約・会計処理・管理帳簿との整合性を確保します。
ローンチ時の数字だけでなく、ユーザー増加後の未使用残高を予測します。
1,000万円基準をいつ超える可能性があるのかを事前に把握しておくことで、届出や資産保全を計画的に準備できます。
当事務所では、アプリ、ゲーム、FinTech、Webサービス等の決済スキームについて、サービス設計段階から資金決済法上の整理を行います。
単に申請書や届出書を作成するだけではなく、コインの発行主体、利用可能先、課金方法、換金・移転機能、有償・無償残高、サービス終了時の処理まで確認し、事業スキーム全体から必要な許認可・届出を検討します。
自家型前払式支払手段の発行届出、第三者型前払式支払手段の登録、資金移動業その他の金融規制が関係する場合には、それぞれの制度との境界を整理した上で手続きを進めます。
既にサービスを運営しており、これまで資金決済法への対応を行っていない場合についても、現在の残高・過去の発行状況・利用規約・システム仕様を確認した上で、必要な対応を整理します。
無償で付与したものについては、有償発行分とは異なる取扱いが可能です。
ただし、有償分と無償分を明確に区別でき、帳簿書類上も区分管理できる状態にしておくことが重要です。
有償分と無償分を同一残高として管理している場合には、無償分を基準日未使用残高等から当然に除外できるとは限りません。
自家型については1,000万円という基準が重要ですが、規制該当性そのものの検討が不要になるわけではありません。
今後基準額を超える可能性、利用規約、残高管理、サービス終了時の対応などを含め、あらかじめ管理体制を整えておくことが重要です。
また、第三者型の場合は1,000万円以下だから登録不要という制度ではありません。
一定の要件を満たす短期利用型の前払式支払手段には適用除外があります。
ただし、利用規約上の表示だけではなく、実際のシステムや運用がその期限設定と一致している必要があります。
個別のサービス設計を確認した上で適用除外の可否を判断することが適切です。
必ずしもそうではありません。
ユーザーがコインでデジタルギフト等を購入し、運営会社が別途クリエイターに報酬を支払う仕組みと、ユーザーからクリエイターへ資金価値そのものを移転する仕組みでは法的評価が異なります。
実際の資金フローと契約関係を確認する必要があります。
決済をアプリストアや決済代行会社に委託していることだけでは、資金決済法上の問題はなくなりません。
誰がコイン等を発行し、誰が利用者に対して商品・サービスを提供する義務を負っているかによって判断します。
対応可能ですが、早期の確認が重要です。
現在の利用規約、サービス仕様、過去の発行額、未使用残高、有償・無償の管理方法などを確認し、必要な届出・登録・管理体制の是正を検討します。
アプリ・ゲーム・投げ銭サービスの資金決済法対応をご相談ください
決済サービスの金融規制は、サービス名称ではなく「実際に誰から資金を受け取り、どのような価値を発行し、その価値が誰に対して、どのように利用・移転・換金できるのか」によって判断されます。
特に、ゲーム内通貨、アプリ内コイン、投げ銭、ポイント、ウォレット、クリエイター報酬などを組み合わせたサービスでは、一部の機能変更によって必要な金融規制が変わることがあります。
緒方法務事務所では、資金決済法をはじめとする金融規制・金融許認可の実務経験を踏まえ、サービス設計段階の規制調査から、財務局への届出・登録手続、規程・利用規約等の整備まで一貫して対応します。
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編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年9月16日