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本記事は、現物不動産・信託受益権・発電設備など、投資対象の違いに応じたファンド構成と行政手続を扱います。自己募集・自己運用と登録・63条特例の基本的な分岐はファンド組成と金融商品取引法の解説をご覧ください。
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本記事は、現物不動産・信託受益権・発電設備など、投資対象の違いに応じたファンド構成と行政手続を扱います。自己募集・自己運用と登録・63条特例の基本的な分岐はファンド組成と金融商品取引法の解説をご覧ください。
不動産、太陽光発電、風力発電、蓄電所その他のインフラ事業について、投資家から資金を集めて事業化する場合、最初に決めるべきなのは「どの法人を作るか」ではありません。
最初に判断すべきなのは、何を投資対象とし、誰から資金を集め、誰が募集を行い、誰が資産を運用し、どのように投資家へ利益を分配するのかという、ファンド全体の法的構造です。
不動産・再生可能エネルギー分野では、GK-TKスキーム、投資事業有限責任組合(LPS)、不動産特定共同事業、信託受益権、SPCなど複数の仕組みが候補となります。
しかし、スキームによって、金融商品取引法上の第二種金融商品取引業、投資運用業、適格機関投資家等特例業務、不動産特定共同事業法上の許可・届出など、必要となる行政手続が大きく変わります。
緒方法務事務所では、金融規制・金融許認可を専門とする行政書士として、不動産・再エネファンドについて、事業計画の初期段階からスキームを分析し、必要となる登録・許可・届出・規程整備・行政庁対応まで一体的に支援します。
ファンド組成で最も重要なのは、投資対象の法的性質を最初に確定することです。
同じ「不動産ファンド」であっても、現物不動産を直接取得するのか、不動産信託受益権を取得するのか、不動産を保有するSPCへ出資するのかによって適用法令が変わります。
同様に「再エネファンド」であっても、太陽光発電設備そのものを保有するのか、発電事業会社の株式を取得するのか、匿名組合出資を行うのかによって、金融商品取引法上の評価は異なります。
したがって、
「不動産だからGK-TK」
「ベンチャー投資だからLPS」
と機械的に決めることは適切ではありません。
投資対象、投資家属性、募集方法、運用方法、借入れの有無、出口戦略、税務、倒産隔離などを横断的に確認したうえでスキームを決定する必要があります。
GK-TKとは、合同会社(GK)と商法上の匿名組合契約(TK)を組み合わせるファンドスキームです。
通常は合同会社が事業主体・営業者となり、投資家が匿名組合員として金銭を出資します。
合同会社はその資金を利用して対象資産を取得し、賃料、売電収入、事業収入その他の収益を得て、匿名組合契約に従って投資家へ利益を分配します。
不動産信託受益権、太陽光発電設備、風力発電設備、蓄電設備その他のプロジェクト型資産を対象とするファイナンスでは、検討対象となる代表的なスキームの一つです。
GK-TKでは、投資家と事業主体の役割を分離しやすいことが大きな特徴です。
匿名組合員は原則として営業者の業務を執行する立場にはなく、事業運営は営業者であるGK側が行います。
さらに、案件によっては一般社団法人を用いた持分構造その他の仕組みを組み合わせ、オリジネーターその他の関係会社からSPCを切り離す、いわゆる倒産隔離を意識したストラクチャーが採用されます。
ノンリコースローンその他のプロジェクトファイナンスを併用する場合には、このようなSPCの独立性やキャッシュフロー管理が重要になります。
GK-TKでは、匿名組合契約に基づいて匿名組合員へ分配すべき利益について、税務上、営業者側の所得計算上の損金となる取扱いが認められる場合があります。
この点は、不動産・インフラ投資にGK-TKが利用される重要な理由の一つです。
ただし、GK-TKそのものが法人課税を完全に受けない制度という意味ではありません。
匿名組合契約の内容、利益計算、損失負担、投資家属性、源泉徴収その他の税務上の取扱いについては個別判断が必要であり、必要に応じ税理士等の専門家と連携して検討します。
LPSは、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基づいて設立される投資ファンドのための組合制度です。
ファンド運営を担当する無限責任組合員(GP)と、原則として出資額の範囲で責任を負う有限責任組合員(LP)によって構成されます。
LPS自体に法人格はありませんが、組合として登記されます。
スタートアップ投資、プライベートエクイティ、事業承継、M&Aなど、株式・新株予約権その他の企業投資では特に重要なスキームです。
「LPSは不動産には一切使えない」という理解も正確ではありません。
LPS法上認められる範囲で、不動産を信託財産とする信託受益権や、不動産に投資する匿名組合出資持分などを取得することは可能です。
一方、LPSが通常の不動産投資ファンドと同じように現物不動産を自由に取得・賃貸・売却できるわけではありません。
そのため、不動産案件でLPSを採用する場合には、LPS法だけでなく、不動産特定共同事業法、宅地建物取引業法、金融商品取引法などを横断して確認する必要があります。
投資対象となる資産そのものから継続的なキャッシュフローを得るプロジェクトでは、GK-TKが有力な候補になります。
例えば、不動産信託受益権、太陽光発電設備、風力発電設備、蓄電設備その他のインフラ資産をSPCが保有し、その収益を投資家へ分配するモデルです。
一方、特定企業の株式等を取得し、企業価値の向上後に株式売却等によってリターンを得る投資では、LPSとの親和性が高くなります。
ただし、実際のスキーム選択はこれだけでは決まりません。
最終的には、投資対象、投資期間、デット調達、投資家構成、募集方法、倒産隔離、出口戦略、管理コスト及び金融規制を総合して判断します。
投資家から出資を受け、その資金を利用して不動産の売買・交換・賃貸等を行い、そこから生じた収益を投資家へ分配する事業では、不動産特定共同事業法の適用可能性があります。
匿名組合契約を使用しているから金融商品取引法だけを確認すればよい、というものではありません。
現物不動産を対象とする場合には、まず不動産特定共同事業への該当性を検討する必要があります。
事業者自身が投資家と不動産特定共同事業契約を締結し、不動産取引を行って収益を分配する場合には、第一号事業に該当する可能性があります。
第一号事業は原則として許可制であり、宅地建物取引業免許、資本金、財産的基礎、人的構成、業務管理者、契約約款その他の許可要件を満たす必要があります。
不動産特定共同事業契約の締結について代理又は媒介を行う場合には、第二号事業の検討が必要です。
自社がファンド運営主体にならず、他社が運営する不動産ファンドの募集・契約締結に関与する場合にも、業務内容を精査しなければなりません。
不動産ファンドでは、SPCを特例事業者として利用する倒産隔離型の仕組みもあります。
この場合、SPC自身が通常の第一号事業者としてすべての機能を保有するのではなく、不動産取引業務を第三号事業者に、契約締結の代理・媒介を第四号事業者に委託することなどによって制度を構築します。
機関投資家を含むプロフェッショナルな不動産ファンドでは重要な選択肢となるため、GK-TKと不特法を別々に考えるのではなく、一体としてストラクチャーを設計する必要があります。
一定の事業規模・投資額等の条件を満たす場合には、許可制ではなく登録制となる小規模不動産特定共同事業を利用できる可能性があります。
小規模な不動産クラウドファンディングや地域不動産活用事業などでは検討対象となります。
ただし、投資家一人当たりの投資額、出資総額その他の制度上の制限があるため、将来のファンド規模まで考慮して選択することが重要です。
現物不動産そのものではなく、不動産を信託したうえで、その信託受益権をGK等が取得するスキームは、不動産証券化実務で重要な方法の一つです。
信託受益権は金融商品取引法上の有価証券として取り扱われるため、現物不動産型とは異なる金融規制が問題となります。
このため、
「不特法を使うのか」
「信託受益権型とするのか」
「どの主体が受益権を取得するのか」
「誰が投資家を募集するのか」
「誰が運用判断を行うのか」
を組成前に決定する必要があります。
太陽光発電設備や蓄電設備などが現物資産であることと、投資家から出資を受けることは別問題です。
複数の投資家から金銭を集め、その資金によって事業を行い、その利益を投資家へ分配する権利は、契約名称を問わず金融商品取引法上の集団投資スキーム持分に該当する可能性があります。
したがって、再エネ事業そのものに金融業の許可が不要であったとしても、ファンドとして投資家を募集する段階で金融商品取引法が問題となる場合があります。
匿名組合持分やLPS持分などの集団投資スキーム持分について、自ら投資家へ取得を勧誘する行為は、原則として金融商品取引法上の規制対象となります。
そのため、ファンド事業者自身が募集・私募を行う場合には、第二種金融商品取引業の登録が必要となるのか、適用除外又は特例を利用できるのかを事前に判断する必要があります。
第二種金融商品取引業は単なる届出制度ではありません。
資本金、人的構成、法令等遵守体制、内部管理体制、業務方法、各種社内規程等について登録審査を受ける必要があります。
ファンド運営者自身が投資家への募集を行わず、登録を受けた第二種金融商品取引業者へ募集・私募の取扱いを委託する方法も検討できます。
ただし、名目的に募集を委託しているだけで、実態として運営者自身が投資勧誘を行っている場合には問題となり得ます。
ウェブサイト、営業資料、面談、紹介者、SNSその他を通じた投資家への接触まで含め、実際の募集体制を設計する必要があります。
一定のプロ投資家等を対象とするファンドでは、第二種金融商品取引業や投資運用業の登録に代えて、金融商品取引法第63条の適格機関投資家等特例業務を利用できる場合があります。
一般に「63条特例」と呼ばれる制度です。
ただし、これは「適格機関投資家が1名いれば、誰でも49名まで募集できる」という制度ではありません。
適格機関投資家以外の投資家についても、法令で認められた一定の属性に該当する必要があり、その該当性について資料・記録を整備することが重要です。
63条特例では、形式的にQIIを1名入れるだけではなく、ファンド全体の投資家構成、募集方法、出資関係、運用内容等を確認する必要があります。
適格機関投資家以外の投資家数についても法定上限があり、複数ファンドを継続的に設立する場合には、実質的に一つの募集を分割していると評価されないかという観点も重要になります。
ファンドをシリーズ化する場合には、単独ファンドだけを見るのではなく、今後予定するファンドまで含めた横断的な規制管理が必要です。
63条特例は、最初の届出を提出すれば終わる制度ではありません。
届出事項の管理、変更届出、投資家属性の確認、帳簿・記録、事業報告、公表その他の継続的なコンプライアンスが必要になります。
ファンド組成時から、運用開始後に誰が何を管理するのかまで設計しておくことが重要です。
ファンド規制では、投資家から資金を集める行為と、その資金を運用する行為は別の規制として検討する必要があります。
集団投資スキームとして集めた資産を、投資判断に基づいて主として有価証券やデリバティブ等へ投資する場合には、自己運用として投資運用業の登録が問題となる場合があります。
したがって、不動産信託受益権、SPC株式、匿名組合持分その他の金融商品へ投資するファンドについては、第二種金融商品取引業だけを確認して終わりにしてはいけません。
63条特例を利用する場合にも、自己募集と自己運用の双方について適用関係を整理する必要があります。
太陽光発電、風力発電、蓄電所その他のエネルギー事業では、ファンド規制だけを整えても事業を開始できません。
設備規模や事業内容によっては、電気事業法上の発電事業に関する届出、電力広域的運営推進機関に関する手続、供給計画、系統接続、FIT・FIP制度上の手続、事業計画認定、変更認定・変更届出その他の行政手続が関係します。
また、土地利用、農地、林地、開発、環境その他の規制が問題となる案件もあります。
ファンドの「金融ストラクチャー」と、実際の発電事業を行うための「事業許認可」を並行して整理することが重要です。
ウェブサイトやオンラインシステムを利用して投資家を募集する場合には、表示、情報提供、契約締結、投資意思確認、情報管理、分別管理その他の追加的な規制を確認する必要があります。
特に不動産特定共同事業で電子取引業務を行う場合には、電子情報処理組織の管理体制、投資家への情報提供、重要事項の表示等について制度上の対応が必要となります。
不動産クラウドファンディングを計画している場合には、許可申請の後からシステムを検討するのではなく、申請前から業務フローとシステム仕様を整合させることが重要です。
取得する資産・権利、募集方法、投資判断の担当者を整理してから組成を進めます。依頼範囲はファンド組成支援、匿名組合・GK-TKの組成、63条特例の届出をご覧ください。
最も望ましいのは、投資家への説明・募集を開始する前です。
すでにSPCを設立している場合、投資家候補と交渉している場合、匿名組合契約案が存在する場合でも対応可能ですが、実際の勧誘開始後ではスキーム変更が困難になることがあります。
ご相談時には、事業概要、投資対象資産、予定調達額、想定投資家、投資期間、収益分配方法、資金使途、借入れの予定、関係会社、募集方法等が分かる資料をご提示いただくと、必要な許認可・届出を迅速に整理できます。
必ず必要とは限りません。
どのような権利を投資家へ取得させるのか、誰が募集を行うのか、投資家属性はどうなっているのかによって異なります。
匿名組合その他の集団投資スキーム持分を自ら募集する場合には第二種金融商品取引業が原則として問題となりますが、63条特例その他の制度を利用できる場合や、登録業者を利用する構成等もあります。
いいえ。GK-TKを利用しただけで不特法の適用がなくなるわけではありません。
GKが現物不動産を利用して不動産取引を行い、その収益を匿名組合員へ分配する場合には、不動産特定共同事業法の適用可能性があります。
現物不動産、信託受益権、特例事業者等のどの構造を利用するかを事前に検討する必要があります。
一律に利用できないわけではありません。
LPS法上認められる範囲で、不動産信託受益権や不動産関連の匿名組合持分等への投資は可能です。
ただし、現物不動産への投資には制約があり、投資対象、事業目的、金融規制、管理コスト等を踏まえてGK-TKその他のスキームと比較する必要があります。
それだけでは判断できません。
適格機関投資家の存在に加えて、その他の投資家の属性・人数、募集方法、ファンド構成、運用内容、欠格事由その他の要件を確認する必要があります。
「QIIを1社入れれば自由に49名募集できる」という制度ではありません。
可能ですが、ファンド単位だけでなく横断的な検証が必要です。
同一又は類似の投資対象について短期間に複数ファンドを設立し、投資家を分割して募集する場合などには、各ファンドだけを形式的に見るのではなく、募集の実態を含めて検討する必要があります。
継続的にファンドを組成する事業者は、最初の1本から将来のシリーズ展開を前提に規制管理体制を設計することが重要です。
対象資産と事業内容によって判断します。
発電設備そのものと土地・建物等の不動産は法的性質が異なるため、「再エネ案件だから不特法は絶対に関係しない」と一律に判断することはできません。
土地の保有・賃貸、施設構成、投資家への収益分配の仕組みなどを確認して判断します。
可能ですが、通常の対面募集とは別に電子取引に関する規制確認が必要です。
特に不動産特定共同事業では、電子取引業務を行う場合の情報管理、投資家への情報提供、ウェブ表示その他の体制整備が求められます。
システム開発後に法令へ合わせるのではなく、開発前に許認可要件をシステム仕様へ反映することが重要です。
不動産・再エネファンドの組成は、資金募集を始める前にご相談ください
ファンド規制は、契約名称ではなく事業の実態によって適用関係が決まります。
「匿名組合だから大丈夫」
「SPCだから許可はいらない」
「適格機関投資家を1社入れれば63条特例が使える」
「再エネ設備だから金融規制は関係ない」
といった判断で先に資金募集を開始すると、後からスキーム全体の修正が必要になることがあります。
緒方法務事務所では、不動産・再生可能エネルギー・インフラファンドについて、金融商品取引法、不動産特定共同事業法その他の行政規制を横断して検証し、ファンドの企画段階から登録・許可・届出、規程整備、行政庁対応まで支援します。
事業計画がまだ概要段階であっても構いません。
GK-TK、LPS、不動産特定共同事業、信託受益権、第二種金融商品取引業、投資運用業、適格機関投資家等特例業務のどの制度を利用すべきか分からない段階からご相談ください。
事業を実現するために必要となる行政手続を整理し、最適なファンドストラクチャーの構築を支援します。
編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年9月17日