自社ポイント発行時の「供託金」負担を減らすには?現金納付を回避する「発行保証金保全契約」の活用術【資金決済法】
自社ポイント発行時の「供託金」負担を減らすには?現金納付を回避する「発行保証金保全契約」の活用術【資金決済法】
自社ポイント発行時の「供託金」負担を減らすには?現金納付を回避する「発行保証金保全契約」の活用術【資金決済法】
はじめに:ポイント事業の隠れたコスト「供託金」
自社サービスのユーザー囲い込みやキャッシュフロー改善のために、プリペイドカードやコイン、ポイントアプリ(前払式支払手段)を導入する企業が増えています。
前払いで代金を頂けるビジネスモデルは魅力的ですが、売上が伸びてきた段階で突然重くのしかかるのが「発行保証金(供託金)」の存在です。
「法律を守るために、手元の運転資金から数千万円を法務局に預けなければならない」
そんな事態になれば、せっかくのキャッシュフローメリットが消えてしまいます。今回は、資金決済法で認められている「現金を供託せずに義務を果たす方法(代替措置)」について解説します。
1. そもそも「1,000万円の壁」とは?
資金決済法では、利用者保護のために以下のルールを定めています。
基準日(毎年3月末・9月末)の時点で、
未使用残高(ユーザーがまだ使っていないポイントの総額)が、
1,000万円を超えている場合、
その未使用残高の2分の1(50%)以上の額を、
最寄りの法務局に「発行保証金」として供託しなければならない。
例えば、未使用残高が2,000万円ある場合、その半分の1,000万円を法務局に預け入れる必要があります。このお金は、事業をやめるまで原則として戻ってきません。スタートアップや中小企業にとって、虎の子の現金を塩漬けにされるのは死活問題です。
2. 現金供託を回避する2つの方法
実は、必ずしも「現金」を積む必要はありません。資金決済法では、現金の代わりに以下の契約を結ぶことで供託義務を果たしたとみなす制度があります。
① 発行保証金保全契約(銀行保証)
これが最も一般的な回避策です。
銀行などの金融機関と「もし当社が破綻したら、銀行が代わりに供託金を支払ってください」という保証契約を結びます。
メリット: 実際に現金を供託する必要がないため、手元のキャッシュが減りません。
コスト: 銀行に対して保証料(手数料)を支払う必要があります。
注意点: 銀行による与信審査があります。財務状況によっては契約を断られる、あるいは担保を求められるケースがあります。
② 発行保証金信託契約(信託銀行)
信託銀行等と契約し、必要な資金を信託財産として分別管理する方法です。
メリット: 倒産隔離機能(会社の他の借金と区別される)があるため、利用者の安心感につながります。
コスト: 信託報酬がかかります。
注意点: 保全契約とは異なり、実際に資金を信託銀行へ移す必要があるため、キャッシュフロー改善効果は保全契約より薄い場合があります(※契約内容によります)。
3. 実務上のポイントと導入のハードル
「じゃあ、すぐに保全契約を結ぼう」と思っても、一筋縄ではいかないのが現実です。
銀行交渉の難易度
メガバンクや地銀にとって、発行保証金保全契約はあまり一般的な商品ではなく、支店担当者が手続きを知らないことも多々あります。また、スタートアップ企業の場合、十分な信用がないとして断られるケースも少なくありません。
届出のタイミング
保全契約を結んだ場合、財務局長等への届出が必要です。基準日(3月末・9月末)を過ぎてからの手続きには厳格な期限があり、遅れると法違反になります。
金額のコントロール
まずは「未使用残高が1,000万円を超えないようにコントロールする」のが最善策です。ポイントの有効期限を短く設定したり、キャンペーンの付与額を調整したりすることで、供託義務の発生自体を防ぐ戦略も検討すべきです。
4. 金融特化の行政書士にご相談ください
発行保証金の問題は、会計士や税理士でも詳しくない場合が多いニッチな分野です。
当事務所では、以下のようなサポートを行っています。
供託義務が発生するかのシミュレーション
保全契約(銀行保証)への切り替え手続きサポート
発行保証金に関する届出書類の作成(供託届出書、保全契約届出書など)
財務局からの照会対応
「今のペースでポイントを発行すると、次の3月末で1,000万円を超えてしまいそうだ」「銀行に保全契約の相談をしたいが、どう説明すればいいかわからない」という事業者様は、期限が迫る前に早めにご相談ください。