不動産特定共同事業とSTO(セキュリティ・トークン)の未来|デジタル証券で資金調達はどう変わる?
不動産特定共同事業とSTO(セキュリティ・トークン)の未来|デジタル証券で資金調達はどう変わる?
不動産特定共同事業とSTO(セキュリティ・トークン)の未来|デジタル証券で資金調達はどう変わる?
記事概要
近年、金融・不動産業界で「STO(Security Token Offering)」や「デジタル証券」という言葉を耳にする機会が増えました。
大手不動産会社や証券会社が協業して、数百億円規模の不動産STO案件を組成したというニュースも出てきています。こうした流れを受け、当事務所にも「不動産クラウドファンディングとSTOは何が違うのか?」「うちのような不動産会社でも参入できるのか?」といったご相談が増えつつあります。
今回は、最先端の資金調達手法であるSTOと、その土台となる不動産特定共同事業(不特法)の関係について、行政書士の視点から解説します。
不動産STO(セキュリティ・トークン)とは何か?
STO(Security Token Offering)とは、ブロックチェーン技術を活用して発行されるデジタル証券(セキュリティ・トークン)を用いて資金調達を行う手法です。
従来の不動産特定共同事業(不動産クラウドファンディング)との大きな違いは、「権利の記録・移転方法」と「流動性」にあります。
1. 従来の不動産クラウドファンディング
権利の管理: 事業者のサーバーや契約書で管理。
譲渡(売買): 原則として中途解約や譲渡が難しく、制限があることが多い。
法律: 主に「不動産特定共同事業法」の範疇。
2. 不動産STO(デジタル証券)
権利の管理: ブロックチェーン上でトークンとして記録・管理。
譲渡(売買): システム上で即時に権利移転が可能になり、二次流通市場(セカンダリマーケット)での売買が容易になることが期待されている。
法律: 「不動産特定共同事業法」に加え、「金融商品取引法(金商法)」の厳しい規制が適用される。
つまり、不動産を小口化して販売するという点では同じですが、STOは「より株式や債券に近い、金融商品としての性質を強めたもの」と言えます。
不動産STO参入のメリット
事業者にとって、あえてハードルの高いSTOに取り組むメリットはどこにあるのでしょうか。
新しい投資家層の開拓
従来の不動産投資家だけでなく、仮想通貨や最新テクノロジーに関心のある若年層や、海外投資家からの資金流入が期待できます。
流動性の向上(換金しやすさ)
「売りたいときに売れる」市場が整備されれば、投資家は安心して資金を投じることができます。これにより、大規模な商業施設やオフィスビルなど、巨額の資金調達もしやすくなります。
業務の効率化
配当計算や権利移転の手続きをプログラム(スマートコントラクト)で自動化することで、管理コストを削減できる可能性があります。
許可のハードルは? 不特法と金商法の壁
「よし、当社もSTOをやりたい」と考えたとき、最大の壁となるのが法規制です。
不動産STOを行う場合、通常は以下の2つの側面から許可・登録が必要になります。
不動産運用の側面(不動産特定共同事業法)
投資家から集めた資金で不動産取引を行い、収益を分配するためには、これまで通り「不動産特定共同事業の許可」が必要です。
証券販売・取扱いの側面(金融商品取引法)
トークン化された権利は、金商法上の「第一項有価証券(株式などと同じ扱い)」とみなされるケースがほとんどです。これを取り扱うには、第一種金融商品取引業(証券会社と同等)の登録など、極めて高いハードルが課されます。
そのため、現在行われている多くの事例では、「不動産会社が不特法の許可を取得して運用」を行い、「販売・募集は証券会社に委託する」というスキームが一般的です。
中小規模の事業者が目指すべきロードマップ
現状、自社単独でシステム開発から証券業の登録まで全てを行うのは、莫大なコストがかかるため現実的ではありません。しかし、将来的にSTOへの参入を見据えるのであれば、今のうちから準備できることがあります。
それは、「通常の不動産特定共同事業(電子取引業務)」の実績を積むことです。
まずはWebでの本人確認(eKYC)や、投資家管理のノウハウを蓄積し、固定のファン(投資家)を獲得する。その上で、STOプラットフォームを提供する企業や証券会社と提携し、次のステップへ進むのが堅実なルートと言えるでしょう。
まとめ:まずは行政書士にご相談ください
STOは非常に魅力的かつ先進的な分野ですが、法的な整理が複雑であり、専門家のサポートが不可欠です。
当事務所では、不動産特定共同事業の許可申請を専門としており、将来的なSTO参入を見据えた事業スキームのご相談も承っております。「まずは通常のクラファンから始めたい」「他社と提携してSTOを検討している」など、貴社のフェーズに合わせた最適なアドバイスをさせていただきます。
最新の法規制に対応したビジネスモデル構築をお考えの経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。