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STO事業への参入で最も重要なのは、最初に必要な金融商品取引業の種類を正確に判定することです。
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株式・社債・ファンド持分等をトークン化するSTO事業について、権利の種類、発行者と販売者の違い、金融商品取引業の区分及びシステム管理を解説します。不動産に固有の資金調達手法は不動産STOとクラウドファンディングの比較、運用権限は不動産STOのAM・投資運用業をご覧ください。
STO事業への参入で最も重要なのは、最初に必要な金融商品取引業の種類を正確に判定することです。
「STOを行うには第二種金融商品取引業が必要」と説明されることがありますが、すべてのSTOが第二種金融商品取引業に分類されるわけではありません。
トークン化する権利の種類、発行者と販売者との関係、自己募集か第三者による募集の取扱いか、二次流通を行うか、投資家間で自由に移転できる設計かなどによって、必要となる金融規制は大きく変わります。
株式、社債その他の金融商品取引法第2条第1項に掲げられる有価証券をトークン化する場合は、原則として第一項有価証券として取り扱われます。
これらのトークン化有価証券について、他人のために売買、媒介、取次ぎ、代理、募集又は私募の取扱い等を業として行う場合には、原則として第一種金融商品取引業の検討が必要となります。
したがって、株式や社債をトークン化して流通させるSTOプラットフォームを構築する場合、単純に第二種金融商品取引業を取得すれば足りるとは限りません。
STOで特に重要となるのが、金融商品取引法上の「電子記録移転権利」です。
集団投資スキーム持分、信託受益権その他、本来は金融商品取引法第2条第2項の権利として扱われるものについて、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示するなど一定の要件を満たすと、「電子記録移転権利」に該当する可能性があります。
電子記録移転権利は、その流通性等を踏まえ、金融商品取引法上、従来の一般的なファンド持分よりも厳格な規制を受ける仕組みとなっています。
不動産ファンド、再生可能エネルギーファンド、事業投資ファンドその他の持分をトークン化する場合には、まず電子記録移転権利への該当性を検討する必要があります。
電子記録移転権利に該当する集団投資スキーム持分等について、発行者自身が投資家に対して取得勧誘を行う「自己募集」を業として行う場合には、第二種金融商品取引業が問題となります。
ここが、STOと第二種金融商品取引業の関係で特に重要な部分です。
例えば、自社又は自社グループが組成したファンドの持分をトークン化し、その発行主体自らが投資家を募集する事業モデルでは、第二種金融商品取引業の登録を前提としてスキームを検討するケースがあります。
ただし、実際の登録区分は、権利の内容、発行主体、募集主体、販売方法、トークンの移転制限、二次流通の有無等を個別に確認して判断する必要があります。
発行者自身による自己募集と、第三者が行う「募集の取扱い」等は、金融商品取引法上の位置付けが異なります。
特に電子記録移転権利について、第三者が投資家への販売、媒介その他の取扱いを行う場合には、第一種金融商品取引業に該当する可能性を検討する必要があります。
したがって、「自社でSTO商品を発行する事業」と「複数の発行会社のSTO商品を取り扱うプラットフォーム事業」では、必要となる登録が異なる可能性があります。
STOプラットフォーム事業への参入では、この違いを開発開始前に整理することが極めて重要です。
一定の厳格な移転制限等を設けた権利については、「適用除外電子記録移転権利」として電子記録移転権利から除外される場合があります。
この制度を利用できるかどうかによって、必要となる金融商品取引業の範囲や事業設計が変わる可能性があります。
ただし、単にシステム上「譲渡禁止」と表示すれば足りるものではありません。
権利を取得できる者の属性管理、権利移転についての発行者等の承諾、技術的な移転制御その他の要件を満たす必要があるため、契約とシステムの双方から設計する必要があります。
当事務所では、まず事業スキーム全体を確認し、どの金融規制が適用されるかを整理します。
具体的には、トークン化される原資産又は権利の内容、発行主体、投資家との契約関係、募集主体、販売主体、トークンの発行方法、ウォレットの管理方法、譲渡方法、二次流通の有無、投資家属性、インターネットによる募集方法、金銭の授受方法等を確認します。
そのうえで、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、電子募集業務、電子募集取扱業務、投資運用業その他の金融規制との関係を整理します。
STO事業では、登録申請書を作成する前の「業規制判定」が、実務上極めて重要です。
電子記録移転権利の自己募集等を行うため第二種金融商品取引業への参入を検討する場合、形式的に資本金を用意するだけでは登録できません。
法人として通常の第二種金融商品取引業を行う場合、最低資本金に関する要件がありますが、それ以上に重要となるのが、金融商品取引業を適確に遂行できる人的構成及び業務管理体制です。
経営者だけでなく、営業部門、コンプライアンス部門、内部管理部門、内部監査その他の機能について、事業規模及び業務内容に応じた体制を構築する必要があります。
STOを取り扱う場合には、さらにシステム、サイバーセキュリティ、トークン管理、秘密鍵管理、外部委託先管理等に関する実質的な審査への対応が重要になります。
通常のファンド型第二種金融商品取引業とSTO関連業務との大きな違いの一つが、システムリスクです。
電子記録移転有価証券表示権利等は、ブロックチェーンその他の電子情報処理組織を利用して権利を記録・移転するため、システム障害、サイバー攻撃、不正アクセス、秘密鍵の漏えい又は紛失、誤送信、トークン流出等のリスクを前提とした管理態勢が必要です。
単にシステム会社から「安全なブロックチェーンです」という説明を受けているだけでは十分とはいえません。
金融商品取引業者自身が、システム構成、権限管理、障害対応、バックアップ、ログ管理、脆弱性管理、インシデント対応、復旧手順、外部委託先管理等について理解し、自ら管理できる態勢を整備することが重要です。
トークンの管理に秘密鍵等を利用する場合、その管理方法も重要な審査対象となります。
秘密鍵にアクセスできる者、権限付与及び取消しの方法、複数人による承認、保管環境、バックアップ、紛失時の対応、トークン流出時の対応等について具体的な管理方法を定める必要があります。
外部のカストディ事業者やシステムベンダーへ管理を委託する場合であっても、金融商品取引業者側の管理責任がなくなるわけではありません。
委託先の選定、契約、モニタリング、監査、障害発生時の連絡体制その他の委託先管理態勢を整備する必要があります。
STOは非対面かつデジタルで取引が行われることが多いため、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策も重要です。
投資家の本人確認だけでなく、顧客属性、取引目的、資金源、実質的支配者、取引状況等を踏まえたリスク評価が必要となります。
また、トークンを外部ウォレットへ移転できるスキームでは、通常のファンド募集とは異なるリスクも考慮する必要があります。
事業スキームに応じて、顧客管理、取引モニタリング、疑わしい取引への対応、制裁対象者等の確認を含む社内態勢を設計します。
STOでは、原資産に関する投資リスクに加えて、トークン特有のリスクについても投資家へ適切に説明する必要があります。
ブロックチェーンの仕組み、権利の移転方法、対抗要件、ウォレットの管理、システム障害、サイバー攻撃、秘密鍵、トークン流出、流動性、売却制限等について、商品設計に応じた説明が必要となります。
また、投資家の資産状況や投資経験だけでなく、STO及びデジタル証券の仕組みやリスクを理解できるかという観点も重要です。
そのため、契約締結前交付書面等の作成と同時に、投資家の適合性を確認するための社内基準・手続の整備が必要となります。
自社ウェブサイトやオンラインプラットフォームを利用して投資家を募集する場合には、電子的な募集に関する規制も検討する必要があります。
ウェブサイト上の表示内容、投資家への情報提供、申込み手続、本人確認、契約締結前交付書面等の提供方法、システム管理、広告・勧誘管理等を一体として設計しなければなりません。
そのため、STOでは金融商品取引業登録とWebサービス開発を別々に進めるのではなく、金融規制を前提にシステム要件を確定させることが重要です。
STO事業で非常に多い問題が、システム完成後に金融規制上の問題が判明するケースです。
例えば、自由なウォレット間移転を前提としてシステムを開発した後で、投資家属性管理や移転制限が必要であることが判明すると、システム全体の再設計が必要になる可能性があります。
また、自社は単なるシステム提供会社のつもりであっても、実際の業務内容によっては金融商品の勧誘、媒介その他の金融商品取引業に該当する可能性があります。
STO事業では、「システム→法律」の順番ではなく、「事業スキーム→金融規制→システム要件」の順番で設計することが重要です。
第1段階では、予定しているSTO事業の全体像を整理します。
トークン化する権利、発行主体、募集主体、販売主体、投資家、資金の流れ、トークンの移転方法、システム事業者、カストディ、二次流通等を確認し、事業スキームを可視化します。
第2段階では、金融商品取引法上の登録要否を整理します。
電子記録移転権利への該当性、適用除外の可能性、自己募集か募集の取扱いか、第一種・第二種金融商品取引業その他の登録との関係を検討します。
第3段階では、金融庁・管轄財務局との事前相談に向けた資料を整備します。
事業概要、スキーム図、組織体制、人的構成、収支計画、システム概要、業務フロー等を整理し、当局へ説明できる状態にします。
第4段階では、登録要件を満たす組織及び内部管理態勢を構築します。
コンプライアンス、内部監査、AML/CFT、顧客管理、適合性管理、広告審査、苦情・紛争対応、システムリスク管理、情報セキュリティ、外部委託先管理等を具体化します。
第5段階では、登録申請書、概要書、社内規程、業務方法その他の申請資料を整備します。
書類相互の整合性を確認しながら、財務局との質疑、追加資料提出、補正等へ継続して対応します。
A.一律には判断できません。
電子記録移転権利に該当するファンド持分等を発行者自身が自己募集する場合には第二種金融商品取引業が問題となりますが、株式・社債等のトークン化や、第三者による電子記録移転権利の販売・媒介等では第一種金融商品取引業が問題となる場合があります。
実際の事業内容を確認して登録区分を判定する必要があります。
A.集団投資スキーム持分や信託受益権等の一定の権利について、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示するなど、法令上の要件を満たしたものです。
典型的には、ファンド持分等をブロックチェーン上でトークン化するケースが問題となります。
A.同じではありません。
STOで発行されるトークンが金融商品取引法上の有価証券又は電子記録移転権利に該当する場合、その中心的な規制は金融商品取引法となります。
単にブロックチェーン上で発行されるという技術的な共通点だけで、暗号資産と同じ規制になるわけではありません。
A.既存登録の内容だけで直ちに開始できるとは限りません。
既存の業務内容、登録事項、業務方法、社内規程、人的構成、電子募集業務の有無、電子記録移転有価証券表示権利等を取り扱うためのシステムリスク管理態勢等を確認する必要があります。
必要に応じて変更届出、業務方法の見直し、社内規程の追加その他の対応を検討します。
A.不要にはなりません。
システムを外部委託する場合でも、金融商品取引業者自身がシステムリスクを把握し、委託先を適切に選定・管理・監督する体制が必要です。
契約を締結しているだけでなく、障害、サイバー攻撃、情報漏えい、トークン流出等が発生した場合の対応まで検討することが重要です。
A.むしろ、事業計画の段階での検討をおすすめします。
STOでは事業スキームによって必要となる金融商品取引業登録やシステム要件が変わります。
開発後に規制上の問題が判明すると大幅な仕様変更が必要になる可能性があるため、初期段階から金融規制を事業設計へ反映させることが重要です。
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編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
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ページ更新日:2026年9月15日