暗号資産(仮想通貨)で「レバレッジ取引」を提供するなら?交換業とは異なる「第一種金融商品取引業」の壁とダブルライセンス
暗号資産(仮想通貨)で「レバレッジ取引」を提供するなら?交換業とは異なる「第一種金融商品取引業」の壁とダブルライセンス
暗号資産(仮想通貨)で「レバレッジ取引」を提供するなら?交換業とは異なる「第一種金融商品取引業」の壁とダブルライセンス
記事概要
【行政書士解説】暗号資産(仮想通貨)交換業者が、現物取引だけでなく「レバレッジ取引(証拠金取引)」を提供するには、「第一種金融商品取引業」の登録が必須です。資金決済法と金商法の違い、ダブルライセンス取得のハードル、体制整備のポイントについて解説します。
本文
はじめに:暗号資産市場の再燃と「レバレッジ」への需要
昨今の暗号資産(仮想通貨)市場の活況を受け、新たに交換業への参入を検討する事業者が増えています。
ビジネスモデルを検討する中で、収益の柱として期待されるのが、顧客が証拠金を預けて売買を行う「暗号資産証拠金取引(レバレッジ取引)」です。
しかし、ここに大きな法的な落とし穴があります。
「暗号資産交換業者(資金決済法)」の登録を取れば、レバレッジ取引もできると思っていませんか?
答えはNOです。
レバレッジ取引(暗号資産関連デリバティブ取引)を行うには、金融商品取引法に基づく「第一種金融商品取引業」の登録が別途必要になります。
1. 「現物」と「デリバティブ」で適用される法律が違う
暗号資産ビジネスは、その取引形態によって管轄する法律が明確に分かれています。
現物取引(販売所・取引所):
適用法:資金決済法
登録:暗号資産交換業者
規制対象:決済手段としての暗号資産の管理・移転
レバレッジ取引(証拠金取引・先物など):
適用法:金融商品取引法(金商法)
登録:第一種金融商品取引業
規制対象:デリバティブ取引としての投資家保護
つまり、現物とレバレッジの両方を提供して総合的なサービスを展開したい場合、「資金決済法」と「金商法」という異なる2つの法律の登録(ダブルライセンス)を取得・維持しなければならないのです。
2. 第一種金商追加のハードルは高い
すでに暗号資産交換業の登録を持っている業者であっても、第一種金商を追加取得するのは容易ではありません。金商法ならではの厳しい規制が課されるからです。
主なハードル:
最低資本金・純財産額の引き上げ: 第一種業者は5,000万円以上の資本金等が必要です(交換業は1,000万円)。
自己資本規制比率: 120%以上の維持義務が発生し、日々のリスク計算が複雑化します。
分別管理の厳格化: 顧客から預かった証拠金は、信託銀行等への「信託保全」が義務付けられます。
人的構成: デリバティブ取引に精通したコンプライアンス担当者や、厳格なリスク管理を行う部門の設置が求められます。
3. 「みなし」の期間は終了。新規参入は正規ルートのみ
法改正の過渡期には経過措置がありましたが、現在は完全に規制が適用されています。
これから参入するスタートアップ企業が、いきなり「交換業+第一種」の同時取得を目指すのは、審査の長期化(2年近くかかるケースも)やコスト面で非常にリスクが高いと言えます。
そのため、まずは交換業(現物)のみでスモールスタートするのか、あるいは最初から大手証券会社並みの体制を整えてデリバティブまで取りに行くのか、事前の事業計画(ロードマップ)の策定が極めて重要になります。
4. 高難易度のライセンス申請は専門家へ
暗号資産関連のライセンス申請は、金融庁(財務局)との折衝において、金融工学やシステムリスクへの理解も求められる最難関分野の一つです。
当事務所では、従来の証券会社設立だけでなく、こうしたWeb3・フィンテック領域における法規制の調査や、登録申請に向けたガバナンス構築の支援を行っています。
「自社のやりたいサービスはどのライセンスが必要なのか?」
「ダブルライセンスを取得するための組織図はどうあるべきか?」
複雑化する金融規制への対応にお悩みの経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。