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暗号資産の「現物取引」と「レバレッジ取引」は、同じ暗号資産を取り扱うサービスであっても、必要となる金融規制が異なります。
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暗号資産の「現物取引」と「レバレッジ取引」は、同じ暗号資産を取り扱うサービスであっても、必要となる金融規制が異なります。
ビットコイン、イーサリアムその他の暗号資産を対象として、顧客が証拠金を差し入れ、その証拠金を超える想定元本の取引を行うレバレッジ取引、CFDその他のデリバティブ取引を提供する場合、単に暗号資産交換業の登録を受ければよいわけではありません。
典型的な暗号資産関連店頭デリバティブ取引を業として行う場合には、金融商品取引法上の第一種金融商品取引業が問題となります。
さらに、現物取引を同時に取り扱う場合や、顧客から暗号資産そのものを証拠金として預かる場合には、資金決済法上の暗号資産交換業も関係する可能性があります。
暗号資産ビジネスでは、「どの登録を取得するか」より前に、「予定しているサービスのどの行為が、どの金融規制に該当するのか」を正確に分解することが重要です。
緒方法務事務所では、暗号資産・FinTech・金融商品取引業に関する事業スキームの整理から、登録要否の検討、所管財務局との事前相談、登録申請書類及び社内規程の作成、登録後を見据えた業務管理体制の構築まで支援しています。
暗号資産の現物取引とデリバティブ取引は、法的には別の取引として整理する必要があります。
現行制度において、暗号資産と法定通貨との売買、暗号資産同士の交換、その媒介・取次ぎ・代理や一定の暗号資産管理を業として行う場合には、資金決済法上の暗号資産交換業が問題となります。
これに対し、暗号資産の価格等を基礎として差金決済を行うレバレッジ取引、CFDその他の店頭デリバティブ取引は、金融商品取引法による規制の対象となります。
したがって、「暗号資産交換業者であればレバレッジ取引も当然に提供できる」という関係にはありません。
既に暗号資産交換業の登録を受けている事業者が新たにレバレッジ取引へ進出する場合にも、予定する取引スキームに対応した金融商品取引業の登録・変更手続及び業務管理体制の追加整備を検討する必要があります。
事業者自身が顧客の相手方となって暗号資産の店頭デリバティブ取引を継続的に提供する場合、原則として第一種金融商品取引業の登録が問題となります。
いわゆる暗号資産CFD、証拠金取引、差金決済型レバレッジ取引などが典型例です。
ただし、「暗号資産を対象とする取引だから必ず第一種金融商品取引業」と単純に判断できるわけではありません。
取引所取引なのか店頭取引なのか、自社が取引当事者となるのか媒介・取次ぎを行うのか、顧客から金銭又は暗号資産を預かるのか、海外事業者との間でどのようなカバー取引を行うのかなどによって、必要となる業登録や規制内容が変わります。
登録申請を開始する前に、取引フロー、契約関係、資金・暗号資産の流れ、システム構成まで含めた業規制判定を行うことが重要です。
現行制度の下で、暗号資産の現物取引と暗号資産関連店頭デリバティブ取引の双方を自社で提供する場合、暗号資産交換業と第一種金融商品取引業の双方が問題となります。
これは単に登録が二つになるというだけではありません。
資金決済法系の暗号資産管理・ウォレット管理・サイバーセキュリティ態勢と、金融商品取引法系の自己資本規制、証拠金管理、取引リスク管理、適合性管理、広告審査、デリバティブ取引に関する顧客説明等を、一つの事業者の中で整合的に機能させなければならないからです。
ダブルライセンスでは「二つの申請書を作る」のではなく、「二つの金融規制を一つの組織・システムの中で成立させる」という発想が必要です。
レバレッジ取引だけを行い、暗号資産の現物売買は行わない場合でも、暗号資産交換業が一切関係しないとは限りません。
顧客が差し入れる証拠金の全部又は一部について、ビットコインその他の暗号資産を代用証拠金として受け入れ、その暗号資産を事業者が顧客のために管理する場合には、「他人のために暗号資産を管理する行為」として暗号資産交換業の登録が必要となる可能性があります。
そのため、暗号資産デリバティブ事業のライセンス設計では、取引そのものだけではなく、証拠金として何を受け入れ、誰がどのウォレットで管理し、顧客財産がどのように移動するかまで確認する必要があります。
現行制度では、個人顧客を相手方とする暗号資産関連デリバティブ取引について、原則としてレバレッジ2倍を前提とした証拠金規制が設けられています。
これは、暗号資産の価格変動が大きく、短期間の価格変動によって顧客に大きな損失が生じる可能性があることを踏まえた投資者保護規制です。
したがって、海外取引所で一般的に提供されている高倍率のレバレッジを、そのまま日本の個人顧客向けサービスとして提供できるわけではありません。
法人顧客については、個人顧客と同じ一律の倍率ではなく、暗号資産の価格変動を基礎として必要証拠金率を算定する仕組みが採用されています。
このため、法人向けサービスを提供する事業者には、対象となる暗号資産ごとの価格変動、証拠金率、ポジション、顧客エクスポージャー等を継続的に管理できる態勢が必要となります。
暗号資産は短時間で価格が急変することがあるため、ロスカットルールを設定していても、必ず予定した価格で決済できるとは限りません。
そのため、ロスカット水準の設定だけでなく、価格配信、注文執行、約定管理、流動性、カバー取引、異常相場時の対応、取引停止基準などを総合的に設計する必要があります。
顧客に対しても、証拠金を上回る損失が生じる可能性を含め、取引のリスクを適切に説明できる態勢が求められます。
一般的な第一種金融商品取引業では、原則として5,000万円以上の資本金及び5,000万円以上の純財産額が必要となります。
しかし、登録時に5,000万円を用意すればよいという意味ではありません。
事業開始後のシステム費用、人件費、外部専門家費用、マーケットリスク、カウンターパーティーリスクその他のリスクを考慮し、継続的に財務健全性を維持できる事業計画が必要です。
第一種金融商品取引業者には、自己資本規制比率を120%以上に維持する規制があります。
登録審査では、単なる資本金額だけでなく、事業開始後も各種リスクを適切に計測し、自己資本規制比率を継続的に算出・管理できる経理・リスク管理態勢が重要となります。
暗号資産デリバティブでは価格変動リスクが大きいため、財務部門とリスク管理部門の態勢は特に重要です。
第一種金融商品取引業では、金融商品取引業を適確に遂行できる法人組織とガバナンス体制が求められます。
取締役会、監査機能、経営管理、コンプライアンス、リスク管理、内部監査などについて、単に組織図上の部署を設置するだけでは足りません。
各部門の権限、独立性、報告経路、牽制関係を規程及び実際の業務運営の双方で説明できる状態にする必要があります。
登録審査では、金融商品取引業を適確に遂行するための十分な知識及び経験を有する役員・使用人が確保されているかが確認されます。
特に暗号資産デリバティブでは、金融商品取引法だけでなく、デリバティブ取引、証拠金管理、マーケットリスク、カバー取引、暗号資産、ウォレット、サイバーセキュリティ、AML/CFTなどについて理解する人材が必要となります。
名目的に担当者を配置するのではなく、職歴、実務経験、担当業務及び責任範囲を具体的に説明できることが重要です。
暗号資産関連店頭デリバティブ取引では、顧客から預託を受ける証拠金について、事業者自身の財産と明確に区分した管理態勢が必要です。
顧客証拠金については、法令に従った信託その他の保全スキームを構築し、必要額と信託残高等を継続的に照合できなければなりません。
したがって、申請準備段階から信託銀行その他の関係機関との調整を進め、実際に運用可能な資産保全フローを構築することが必要です。
暗号資産デリバティブを提供する場合には、対象とする暗号資産について、その特性とリスクを事前に審査する態勢が求められます。
価格形成、流動性、発行・管理の仕組み、基盤となるブロックチェーン、価格操作リスク、マネー・ローンダリング等への利用可能性、技術的リスクなどを確認し、取扱いの適否を組織的に判断する必要があります。
また、新たな暗号資産を取引対象に追加した後も、継続的にリスクをモニタリングする態勢が必要です。
顧客の注文を受けた事業者がどのように市場リスクを処理するのかは、暗号資産デリバティブ事業の重要な審査項目です。
顧客ポジションを社内で相殺するのか、外部の取引所や金融機関等とのカバー取引を行うのか、カバー先が停止・破綻した場合にどう対応するのかなどを具体的に設計する必要があります。
特定の海外取引所や流動性提供者だけに依存するスキームの場合には、カウンターパーティーリスクや事業継続リスクについても検討が必要です。
注文受付、価格配信、証拠金計算、ロスカット、約定、ポジション管理、顧客管理などをシステムで処理する以上、そのシステムの安全性と安定性は登録審査上の重要事項です。
システム障害、サイバー攻撃、不正アクセス、秘密鍵流出、価格配信停止、注文集中、外部API障害などを想定したリスク評価が必要となります。
また、障害発生時の連絡体制、復旧手順、バックアップ、事業継続計画、外部委託先管理及びインシデント管理についても、実務で運用できる状態まで整備する必要があります。
暗号資産は国境を越えて移転できるため、AML/CFT管理は重要な業務管理項目となります。
顧客の本人確認だけでなく、顧客属性、取引目的、資金源、取引状況、疑わしい取引、反社会的勢力、経済制裁対象者等を継続的に確認できる態勢が必要です。
暗号資産そのものを取り扱うスキームでは、ブロックチェーン上の取引履歴やウォレットリスクへの対応についても検討が必要となります。
暗号資産レバレッジ取引は高い価格変動リスクを伴う金融取引であるため、広告及び勧誘には厳格な管理が求められます。
利益が得られる可能性だけを強調した広告や、暗号資産のリスクを過小に見せる表示は避けなければなりません。
また、顧客の知識、経験、財産の状況及び取引目的等を踏まえ、当該顧客に暗号資産デリバティブ取引を提供することが適切かを判断する適合性管理の仕組みも必要です。
顧客の注文や取引状況について、不公正な価格形成や市場操作等につながる取引が行われていないか確認できる態勢が必要です。
異常な注文、急激な取引量の増加、不自然な価格変動その他の事象を検知した場合に、調査、取引制限、経営陣への報告等を行える仕組みを整備することが重要です。
2026年には、暗号資産規制を大幅に見直す金融商品取引法及び資金決済法の改正法が成立・公布されました。
改正法では、暗号資産取引に係る規制の中心を資金決済法から金融商品取引法へ移し、暗号資産を有価証券とは異なる金融商品として位置付ける制度へ移行することが予定されています。
従来の暗号資産交換業についても、改正後は金融商品取引法上の「暗号資産取引業」を中心とした規制体系へ再編され、第一種金融商品取引業に相当する規制が導入される方向となっています。
重要なのは、改正法が成立したからといって、直ちに現行の暗号資産交換業制度が消滅したわけではないことです。
主要な改正規定については、公布の日から起算して1年を超えない範囲内で政令により施行される仕組みとなっています。
したがって、新規参入事業者は、現在適用される資金決済法・金融商品取引法上の制度だけでなく、改正法施行後も継続して使用できる組織、システム、規程及び事業スキームを設計することが重要です。
これから暗号資産事業へ参入する企業にとっては、「現行制度で登録を受けること」だけを目標とするのではなく、制度移行を見据えた登録戦略が必要となります。
最初に行うべきことは申請書の作成ではなく、事業スキームの法的整理です。
取扱暗号資産、現物取引の有無、デリバティブ取引の方式、顧客属性、証拠金、ウォレット、カバー取引、資金移動、システム及び外部委託関係を確認し、必要となる登録・届出を整理します。
現在の会社組織と登録要件との差を明確にします。
資本金・純財産、役員構成、コンプライアンス、リスク管理、内部監査、システム管理、AML/CFT、顧客資産管理などを確認し、不足する体制を登録申請前に整備します。
金融商品取引業登録は、完成した申請書を突然提出して終了する手続ではありません。
予定するビジネスモデル、取扱商品、収益構造、組織、システム、リスク管理等について資料を整理し、所管財務局等との事前相談を進めながら申請内容を具体化します。
実際の業務フローと申請書・規程の内容を一致させることが重要です。
登録申請書だけでなく、業務方法、組織体制、顧客管理、コンプライアンス、リスク管理、内部監査、情報管理、システムリスク、AML/CFT、苦情処理、外部委託管理その他の規程・マニュアルを整備します。
形式的に規程を作成するのではなく、各規程が実際の業務フローと整合している必要があります。
登録審査では、事業内容や管理態勢について多数の確認事項が生じることがあります。
質問への回答内容と既に提出している申請書、事業計画、組織図及び規程との整合性を保ちながら対応することが重要です。
申請準備の初期段階から資料体系を統一しておくことで、後工程の負担を抑えることができます。
暗号資産デリバティブの登録実務では、申請書を作成する前の設計が登録手続全体を左右します。
緒方法務事務所では、暗号資産・金融商品取引業・FinTech分野の行政手続について、予定事業のヒアリングから、適用法令及び必要ライセンスの整理、組織体制案の検討、事前相談資料、登録申請書、業務方法書、社内規程・マニュアル等の作成まで一貫して支援します。
既に暗号資産交換業を営んでいる企業がデリバティブ事業を追加する場合には、既存体制を活用しながら金融商品取引法上必要となる体制を追加する必要があります。
既存のコンプライアンス、AML/CFT、システム管理、内部監査等をそのまま流用できるとは限らないため、第一種金融商品取引業として必要となる機能とのギャップ分析が重要です。
外国で暗号資産又はデリバティブ事業のライセンスを取得していることだけを理由として、日本居住者向けに自由にサービスを提供できるわけではありません。
日本向けウェブサイト、広告、勧誘、口座開設、顧客サポート、契約主体、注文執行及び資産管理などを確認し、日本の金融規制上必要となる対応を事前に整理することが重要です。
原則として、それだけでは足りません。
典型的な暗号資産関連店頭デリバティブ取引を業として提供する場合には、金融商品取引法上の第一種金融商品取引業が問題となります。
必ずしもそうとは限りません。
現物売買を提供しなくても、顧客から暗号資産を代用証拠金として預かり管理するスキームでは、暗号資産交換業の登録が必要となる可能性があります。
現行の日本の規制では、個人顧客向け暗号資産デリバティブについて原則2倍のレバレッジ規制が適用されます。
海外事業者が海外で高倍率のサービスを提供していることと、日本国内で同じサービスを提供できることは別問題です。
一般的な第一種金融商品取引業では、原則として資本金5,000万円以上、純財産額5,000万円以上が必要です。
さらに自己資本規制比率、事業開始後の運転資金、システム費用、人件費その他の費用を考慮する必要があるため、「5,000万円を用意すれば登録できる」という制度ではありません。
事業スキームによっては双方を並行して検討することは可能ですが、相当程度の準備が必要です。
組織、人員、システム、財産管理及び規程を二つの規制体系に適合させる必要があるため、登録申請前のロードマップ設計が非常に重要となります。
システムやカバー取引先が海外にあることだけで、日本の金融規制が適用されなくなるわけではありません。
誰が日本の顧客と契約するのか、誰が勧誘するのか、誰が注文を受けるのかなど、実際の事業スキームから登録要否を判断する必要があります。
変わります。
改正法では、暗号資産取引規制の中心を資金決済法から金融商品取引法へ移管する大幅な制度再編が予定されています。
新規参入を検討する場合には、現行制度だけでなく、改正法施行後の制度まで見据えた事業設計が重要です。
むしろ、ライセンス申請前の事業設計段階で確認することが有効です。
暗号資産・金融サービスでは、システムを完成させた後に登録要件との不整合が判明すると、大幅な設計変更が必要になることがあります。
取引フローやシステム仕様を確定する前に、必要ライセンスと主要な規制要件を整理することをお勧めします。
検討中の事業内容と現在の準備状況を添えて、ご相談ください。
編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年10月16日