金融庁・関東財務局・東京財務事務所の
「役割分担」
金融庁・関東財務局・東京財務事務所の
「役割分担」
【金融専門行政書士が解説】金融庁・関東財務局・東京財務事務所の「役割分担」とは? ライセンス取得前に知っておくべき行政の管轄マップ
■(序章)
金融ビジネスへの新規参入をご検討中の皆様、こんにちは。金融法務を専門とする行政書士です。
フィンテックの台頭や投資ニーズの高まりを受け、新たに金融ライセンスの取得を目指す事業者様が増えています。
しかし、いざ準備を始めると、最初の段階で多くの方が戸惑うのが「行政の管轄」の複雑さです。
「金融庁に相談に行けばいいのか、それとも財務局なのか?」
「登録申請書はどこに提出するのか?」
「事業開始後の検査は誰が来るのか?」
ニュースなどで耳にするのは「金融庁」という言葉ばかりですが、実務の現場では、本庁である「金融庁」、地方支分部局である「関東財務局」、さらにはその下部組織である「東京財務事務所」が、それぞれの権限と役割分担に基づいて業務を行っています。この「誰が担当なのか(=管轄)」を正しく理解していないと、相談先のたらい回しに遭ったり、手続きの全体像が見えずにスケジュールが遅延したりする原因となりかねません。
そこで本記事では、金融ライセンス取得を目指す皆様がスムーズに第一歩を踏み出せるよう、金融行政における以下の6つの主要業務について、3つの行政機関がどのように役割を分担しているのかを徹底解説します。
金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
法令解釈の「照会対応・明確化」 (No-Action Letter & Innovation Hub)
金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
行政処分の「決定と執行」(Administrative Actions)
私が日々の実務で接している「現場の肌感覚」も交えながら、教科書的な説明にとどまらない行政対応のポイントを整理しました。これからどの扉を叩くべきか、その道筋をクリアにしていきましょう。
1. 金融行政を司る各機関の役割と関係性
金融ライセンスの手続きを進める上で、まず整理しておくべきは「財務省・金融庁・日本銀行」という3つの巨大組織の違い、そして「金融庁と財務局」の上下・協力関係です。
財務省・金融庁・日本銀行の違い
これら3つは、日本の経済・金融を支える「三本の柱」ですが、その役割は明確に分かれています。
まず財務省は、国の予算編成(税金の使い道)や税制の企画、国債の発行、税関業務などを担う「国家財政の要」です。かつては金融行政も財務省(旧大蔵省)が担っていましたが、現在は分離されています。
次に金融庁は、銀行・証券・保険などの金融機関を監督し、投資家保護や金融システムの安定を図る「ルールの番人」です。事業者の皆様が「ライセンスを取得したい」と考える際、そのルールを決め、監督しているのがこの金融庁です。
そして日本銀行は、政府機関ではなく「中央銀行」という独立した法人です。通貨価値の安定(物価の安定)や、金融機関同士の決済システムの運営を担います。日銀も金融機関への「考査(調査)」を行いますが、これはあくまで「契約に基づく調査」であり、金融庁が行う法律に基づく「検査」とは性質が異なります。
財務省と金融庁はどちらが「上」か
組織図の上では、金融庁は内閣府の外局として独立していますが、伝統的な行政機構の序列や、予算・定員を管理する財務省の権限の大きさを背景に「財務省の方が格上」と見なされる傾向がありました。しかし、金融監督の専門性においては金融庁が完全に独立した権限を持っており、どちらが上というよりも、「国の財布(財政)を預かる財務省」と「市場のルール(金融監督)を預かる金融庁」という、異なるミッションを持つ対等な機関として理解するのが実務的です。
2. 金融庁と関東財務局、東京財務事務所の関係
次に、実務で最も重要となる「本庁(金融庁)」と「地方(財務局)」の関係について解説します。
金融庁と関東財務局の違い
金融庁は霞が関に置かれた「司令塔」です。主に法律の制定や改正、日本全体の金融政策の企画・立案を行います。また、メガバンクや大手証券会社など、日本経済に多大な影響を与える大規模な金融機関を直接監督します。
対して関東財務局は、金融庁から権限を委託された「現場の執行機関」です。多くの地域金融機関や、中小規模の金融商品取引業者、暗号資産交換業者などの登録・監督実務は、この関東財務局が窓口となります。つまり、一般的な新規参入の相談や申請において、皆様が実際に足を運び、審査を受ける相手のほとんどは、金融庁ではなく関東財務局ということになります。
関東財務局と東京財務事務所の違い
関東財務局は、関東甲信越の1都10県を管轄する巨大な組織です。その内部に、各地域を細かく担当する「財務事務所」が設置されています。
関東財務局(本局)はさいたま市に所在し、金融ライセンスの審査や監督の主たる権限を持っています。一方で東京財務事務所は、本郷(文京区)に所在する関東財務局の下部組織です。
両者の関係において、金融実務上注意すべき点は「業務の棲み分け」です。一般的に、金融商品取引業などの「ライセンスの登録審査」や「監督業務」の多くは、関東財務局の本局(さいたま市)が担当します。東京財務事務所は、主に国有財産の管理や地域経済の調査、あるいは貸金業の登録といった特定の業務を担うことが多く、「金融ライセンスなら何でも東京財務事務所に行けばよい」というわけではない点に注意が必要です。
どの業態で参入するかによって、さいたまの本局に向かうべきか、あるいは都内の事務所で事足りるのかが分かれます。この管轄の見極めこそが、スムーズなライセンス取得の第一歩となります。
銀行業参入の「地図」を手に入れる ― 金融庁・関東財務局・東京財務事務所の役割分担と審査の勘所
(序章)
銀行業の免許取得――。
それは、数ある金融ライセンスの中でも最もハードルが高く、極めて厳格な公益性が求められる「最高峰」への挑戦です。
多くの事業者が、新規参入や異業種からの銀行業設立を志す際、まず頭に浮かべるのは「金融庁(霞が関)」の存在でしょう。しかし、実際に皆さんが申請書ドラフトを携え、膝を突き合わせて折衝を行う相手は、必ずしも金融庁本庁の担当官とは限りません。
特に、東京都内に本店を置く地域銀行、信用金庫、あるいは労働金庫といった金融機関の設立・改組や、参入後の持続的な監督体制を考慮する場合、実務の最前線となるのは、さいたま新都心にある「関東財務局」、そして都内の金融機関を直接の管轄に置く文京区湯島の「東京財務事務所」です。
「誰がルールを作り(企画)、誰が審査・監督の現場を担い、誰が検査を行うのか」
この行政の「役割分担」と「指揮命令系統」を正確に把握することは、単なる知識ではありません。それは、膨大な時間と労力を要する許認可プロセスにおいて、窓口の取り違えによる「手戻り」を防ぎ、最短ルートでゴールを目指すための必須の「経営戦略」です。
本記事では、金融法務を専門とする行政書士の視点から、銀行法等に基づく権限が金融庁・財務局・財務事務所の間でどのように配分されているのか、その複雑なメカニズムを解き明かします。行政の組織図を読み解き、適切な「対話の相手」を特定することが、貴社の銀行業参入プロジェクトを成功させる第一歩となります。
銀行業における金融庁・関東財務局・東京財務事務所の担当部署と役割分担
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
~法改正情報の早期キャッチアップとルールの策定~
本領域は、主に金融庁本庁の「総合政策局」が司令塔となり、全国一律のルールを策定します。関東財務局や東京財務事務所は、企画権限自体は持ちませんが、現場の声を吸い上げるフィードバック機能を担います。
法案・政令・内閣府令の作成
担当部署: 金融庁 総合政策局 総務課(信用制度参事官室)
役割詳細: 銀行法、金融機能強化法などの改正案を起案します。CBDC(中央銀行デジタル通貨)やBaaS、ステーブルコイン等の新しい決済インフラに対応する規制の枠組みを検討・作成します。
パブリックコメントの実施と監督指針の策定
担当部署: 金融庁 監督局 総務課・銀行第一課・第二課
役割詳細: 銀行法施行規則や「主要行等向けの総合的な監督指針」「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の改正時に意見公募を実施します。自己資本比率規制(バーゼル規制)の解釈や、不祥事発生時の報告基準などはここで決定されます。
国際金融規制対応
担当部署: 金融庁 総合政策局 国際課
役割詳細: バーゼル銀行監督委員会(BCBS)等の国際会議において、グローバル基準の策定に関与し、国内制度への落とし込みを行います。
現場情報のフィードバック
担当部署: 関東財務局 理財部 / 東京財務事務所 理財第1課
役割詳細: 地域金融機関の経営実態や地方経済の状況を本庁へ報告し、制度設計の基礎資料を提供します。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
~市場の公正性確保とインサイダー監視~
上場している銀行や、市場部門を持つ銀行の市場規律については、金融庁の審議会等の一つである「証券取引等監視委員会(SESC)」と、その委任を受けた財務局が担当します。
取引審査(相場監視)
担当部署: 証券取引等監視委員会 事務局 市場分析審査課
役割詳細: 日々の市場取引データを監視し、銀行株を巡るインサイダー取引や相場操縦の疑いを抽出します。
市場操作・開示違反の検査
担当部署: 証券取引等監視委員会 事務局 証券検査課 / 関東財務局 証券取引等監視官室
役割詳細: 銀行の市場部門等に対し、金融商品取引法に基づく検査を行います。上場銀行が提出する有価証券報告書の虚偽記載(粉飾決算等)の調査も含まれます。
犯則調査(強制調査)
担当部署: 証券取引等監視委員会 事務局 特別調査課
役割詳細: 裁判所の令状に基づく強制捜査を行い、検察庁への告発を目指します。大規模な金融犯罪を阻止する「市場の番人」としての役割です。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (Inquiry & Innovation)
~新規ビジネスの適法性確認と規制の明確化~
銀行による新事業参入やFinTech活用など、個別案件の適法性確認は、案件の規模や対象金融機関によって、本庁・財務局・財務事務所の間で窓口が分かれます。
FinTechサポートデスク(新規ビジネス相談)
担当部署: 金融庁 総合政策局 イノベーション推進室
役割詳細: 銀行API、ブロックチェーン、AI活用など、既存の銀行法で想定されていないビジネスモデルが規制対象になるかどうかの総合窓口です。
ノーアクションレター(法令適用事前確認手続)
担当部署: 金融庁 監督局 銀行第一課・第二課(対象法令の所管部署)
役割詳細: 銀行等が計画している具体的なビジネスが法令等に抵触しないか、正式な照会に対して書面で回答します。回答内容は原則として公表され、業界全体の指針となります。
個別案件の法令照会・実務相談
担当部署: 関東財務局 理財部 / 東京財務事務所 理財第1課
役割詳細: 主に地域銀行や信用金庫、信用組合からの具体的な実務上の法令解釈(他業禁止の範囲、役員の兼職許可等)に関する相談に応じます。都内に本店を置く金融機関の場合、東京財務事務所の理財第1課が最も身近な相談窓口となります。
一般的な法令照会(金融庁ウェブサイト経由)
担当部署: 金融庁 監督局 総務課(金融会社室等)
役割詳細: 広く一般からの法令解釈の質問に対し、各担当部署と調整の上で回答を整理します。
4. 金融ライセンスの「新規免許・認可審査」(Licensing & Screening)
~実務への影響: 銀行業の免許取得および認可申請~
銀行業の免許は、金融関連法規の中でも最高峰に位置する「内閣総理大臣免許」です。その審査実務は、対象となる金融機関の規模や業態によって、金融庁本庁と関東財務局・東京財務事務所の間で明確に切り分けられています。
事前相談・概要書検討
担当部署(地域銀行・信金): 東京財務事務所 理財第1課
担当部署(信用組合・労働金庫): 東京財務事務所 理財第2課
役割詳細: 事業計画の妥当性、主要株主の適格性、人的構成(コンプライアンス態勢およびリスク管理態勢)が銀行法等の免許基準に適合しているかを確認する「予備審査」のフェーズです。銀行免許の場合、この段階で数ヶ月から年単位の緊密な折衝が行われます。
免許・認可申請書の受理審査
担当部署: 同上(および関東財務局 理財部)
役割詳細: 本申請後の形式審査および実質審査を行います。申請書のみならず、定款、業務方法書、社内規程類の文言に至るまで、行政官との間で精緻な修正が繰り返される実務上の主戦場です。
登録拒否要件(欠格事由)の確認
担当部署: 同上(必要に応じて警察庁等との連携)
役割詳細: 申請者や役員が欠格事由に該当しないか、暴力団排除(反社会的勢力との関係遮断)を含め厳格に調査します。マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)の態勢構築は、審査の最重要項目の一つです。
実務上のポイント
メガバンク、信託銀行、ネット銀行等の「主要行」は、金融庁 監督局 銀行第一課・第二課が直接審査を担います。
都内に本店を置く「地域金融機関」の場合、窓口は東京財務事務所となりますが、免許の最終的な意思決定にあたっては、上部組織である関東財務局および金融庁本庁との間で高度な政策的調整が行われます。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」(Supervision & Monitoring)
~実務への影響: 定期報告と経営健全性の監視~
免許取得後、日常的な経営状況の監視を行う「オフサイト・モニタリング」は、財務局・財務事務所の主たる任務です。
オフサイト・モニタリング(報告徴求・ヒアリング)
担当部署: 東京財務事務所 理財第1課(地域銀行・信金)/ 理財第2課(信組・労金)
役割詳細: 四半期・半期ごとの決算データや「業務報告書」を精査します。定期的なヒアリングを通じて、不良債権の状況、自己資本比率の推移、市場リスク量、ガバナンスの実効性を継続的に監視します。
各種認可・届出の審査
担当部署: 同上
役割詳細: 営業所の設置・廃止、資本金の減少、他業兼営の承認、子会社対象会社の保有、役員の選任・退任など、銀行法に基づく膨大な認可・届出実務を処理します。
不祥事対応・事故報告
担当部署: 同上(重大事案は関東財務局 理財部および金融庁本庁へ報告)
役割詳細: 役職員による不祥事件や大規模なシステム障害が発生した際、銀行法に基づく「報告徴求(24条報告)」を行い、原因分析と改善策の策定を指導します。
6. 既存業者の「立入検査」(On-site Inspection)
~実務への影響: 経営管理態勢の深度ある検証~
現在は「検査局」が廃止され、監督部門と検査部門が連携して動く「オン・オフ一体的な監督体制」へ移行しています。
一般検査(定期検査・随時検査)
担当部署: 関東財務局 理財部(金融証券検査官)/ 東京財務事務所 理財第1課・第2課
役割詳細: 銀行の営業拠点や本部に立ち入り、融資の自己査定、法令遵守態勢、顧客保護等管理態勢、システム管理態勢などを実地で検証します。財務事務所の担当官が検査チームの一翼を担うことも一般的です。
高度・専門的な検査(テーマ別検査)
担当部署: 金融庁 総合政策局(リスク分析総括課等)/ 関東財務局 理財部
役割詳細: サイバーセキュリティ、マネー・ローンダリング対策、市場リスク管理など、高度な専門性を要する領域については、本庁や本局の専門チームが派遣され、深度ある検証を実施します。
実務上のポイント
検査の主眼は、単なる「法令違反の摘発」から、経営管理(ガバナンス)や「3線管理」が有効に機能しているかという「対話を通じた改善」へとシフトしています。
7. 「行政処分」の発動と役割分担(Administrative Actions)
~実務への影響: 業務停止命令や免許取消し~
重大な法令違反や経営の健全性が著しく損なわれた場合、行政処分が下されます。処分はその重さに応じて、発出権限者が分かれています。
聴聞(Hearing)・弁明の機会の付与
担当部署: 関東財務局 理財部 / 金融庁 監督局
役割詳細: 業務停止命令や免許取消しなどの不利益処分を下す前に、行政手続法に基づき、銀行側に反論や証拠提出の機会を与えます。
行政処分の発出
主要行等に対する処分: 金融庁長官
監督局 銀行第一課・第二課が起案し、金融庁長官名で発出されます。
地域金融機関(都内)に対する処分: 関東財務局長
金融庁長官から権限委任を受けた関東財務局長名で発出されます。業務改善命令、業務の一部停止命令などがこれに該当します。
改善報告書の受理・フォローアップ
担当部署: 東京財務事務所 理財第1課・第2課
役割詳細: 処分に基づき提出された「業務改善計画」の進捗状況を、月次報告やヒアリング等を通じて現場レベルで厳格に管理・監視し続けます。
銀行代理業の「誰が担当?」──金融庁・関東財務局・東京財務事務所
の役割分担と実務の要諦
(序章)
「画期的なFinTechサービスを立ち上げたいが、そもそも役所の『どこ』に相談に行けばいいのか分からない」
「金融庁と財務局、そして財務事務所。それぞれの役割の違いや力関係はどうなっているのか?」
金融ビジネスへの新規参入を検討される事業者様から、私が最も多く受ける相談の一つが、この「行政組織の複雑さ」に関するものです。
銀行代理業や電子決済等代行業、そして金融サービス仲介業──。これらのライセンスを取得し、安定した運営を行うためには、法令の理解はもちろんのこと、「誰が」許認可の鍵を握り、「どの部署が」日々の監督を行うのかという、行政の「顔」を正しく把握しておくことが極めて重要です。
一般的に「金融庁」と一括りにされがちですが、実務の現場は階層構造になっています。ルールの企画立案を担う霞が関の「金融庁」、広域的な権限を持つさいたま新都心の「関東財務局」、そして東京都内の事業者の最前線窓口となる「東京財務事務所」。
特に、銀行代理業等のニューカマーにとって、**東京財務事務所の「理財総括課」**が実質的な審査・監督のメインプレイヤーとなる事実は、意外と知られていません。
本記事では、金融ライセンスの実務に精通した行政書士の視点から、法令の企画から検査・監督に至るまでの行政フローを6つのフェーズに分解し、それぞれの担当部署と役割を徹底解説します。
申請書の提出先を間違えて時間を浪費しないために、そして担当官との折衝をスムーズに進めるための「羅針盤」として、ぜひ本記事をお役立てください。
銀行代理業の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の「役割分担」
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
この領域は、銀行法等の法改正情報の早期キャッチアップと、銀行代理業に関する監督指針などのルール策定を担うフェーズです。主に「金融庁 総合政策局」および「監督局」が所管します。
担当部署と役割詳細
金融庁 総合政策局 総務課(法令等、企画等)
銀行法、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(旧:金融サービスの提供に関する法律)等の改正案を起案します。銀行機能のアンバンドリング、API連携、金融サービス仲介業との制度的差異の調整など、規制の枠組み自体を設計します。
金融庁 監督局 銀行第一課・銀行第二課(制度担当)
銀行および銀行代理業者に対する具体的な「主要行等向けの総合的な監督指針」や「事務ガイドライン」の策定・改訂を主導します。銀行代理業者が遵守すべき体制整備(委託先管理、顧客説明、苦情処理等)の具体的基準はここで決定されます。
金融庁 総合政策局 総務課(行政相談・パブリックコメント担当)
新たな規制導入や指針改正の際、業界からの意見公募(パブリックコメント)を取りまとめ、その回答(考え方)を公表します。これにより、法令の文言だけでは判別しにくい「実務上の解釈」が明確化されます。
2. 市場の「監視・法執行」 (Surveillance & Enforcement)
この領域は、銀行代理業者の業務運営が法令に準拠しているかをチェックし、不適切な運営に対して行政処分等を行うフェーズです。主に「金融庁 監督局」および「各地方財務局(関東財務局等)」が実務を担います。
担当部署と役割詳細
金融庁 監督局 銀行第一課・銀行第二課(監督担当)
メガバンクやネット専業銀行等の銀行主計局を直接監督する立場から、その傘下にある銀行代理業者全体のコンプライアンス状況を監視します。重大な法令違反が疑われる場合、業務改善命令等の行政処分の判断を行います。
関東財務局 理財部 金融監督第1課・第2課(または各地域担当課)
地域金融機関を所属銀行とする銀行代理業者や、主たる事務所が管轄内にある銀行代理業者の登録審査、および日常的な監督(オフサイト・モニタリング)を行います。
金融庁 総合政策局 検査局(または証券取引等監視委員会 事務局 総務課)
銀行代理業者が投資性商品(外貨預金や仕組預金等)の勧誘を行う際、不適正な勧誘行為や虚偽の説明が行われていないか、立入検査(オンサイト・モニタリング)を実施します。金融サービス仲介業を兼業している場合は、証券取引等監視委員会との連携対象となります。
東京財務事務所 金融条数課
関東財務局の地方支部として、東京都内に本拠を置く小規模な銀行代理業者の登録事務や、地域密着型の監視・情報収集を担当します。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (Inquiry & Innovation)
この領域は、新規の銀行代理ビジネスの適法性を確認し、制度上のグレーゾーンを解消するフェーズです。主に「金融庁 総合政策局」と「監督局」が窓口となります。
担当部署と役割詳細
金融庁 総合政策局 フィンテック参事官室(FinTechサポートデスク)
銀行代理業とテクノロジーを組み合わせた新しいビジネスモデル(埋め込み型金融等)が、銀行法上の「媒介」に該当するか、あるいは登録が必要な範囲か等について、初期段階の相談を受け付けます。
金融庁 監督局 銀行第一課・銀行第二課(法令照会担当)
「ノーアクションレター制度(法令適用事前確認手続)」に基づき、具体的な事業計画に対する銀行法の適用有無について、正式な文書回答を作成・公表します。
金融庁 総合政策局 総務課(金融相談室)
「一般利用者や業者からの一般的な法令解釈」に関する問い合わせに応じます。個別の銀行代理業実務に踏み込む内容は、監督局の各担当課と調整の上で回答がなされます。
関東財務局 理財部(金融・証券相談窓口)
管轄下の銀行代理業者が、日常業務における法令解釈や事務ガイドラインの運用方法について確認したい場合の地域窓口です。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
この領域は、銀行代理業の参入におけるゲートキーパー対応であり、登録申請書の作成・提出・審査が行われるフェーズです。東京都内に本店を置く事業者については、主に「東京財務事務所」が窓口となりますが、審査権限や主担当は所属銀行の規模や性質により分かれています。
担当部署と役割詳細
東京財務事務所 理財第1課
【主な対象:銀行代理業、電子決済等代行業、金融サービス仲介業】
東京都内に本店を置く事業者の登録審査の実務を担います。特に銀行代理業においては、所属銀行(委託元)との委託契約の内容、業務遂行に必要な体制(法令遵守体制、顧客情報管理等)、役職員の適格性などを詳細に審査します。
関東財務局 理財部 金融監督第1課・第2課
所属銀行が地域金融機関(地方銀行等)である場合や、広域展開を行う大規模な代理業者の場合、本局である関東財務局が直接審査を主導・最終判断することがあります。東京財務事務所は、本局の判断を仰ぐための調査・ヒアリングを実務として行います。
(参考)東京財務事務所 理財第5課 / 第8課
理財第5課: 資金移動業、暗号資産交換業、前払式支払手段、電子決済手段等取引業を所管。
理財第8課: 金融商品取引業(二種・助言・運用)、金融商品仲介業を所管。
※銀行代理業者がこれらの業態を兼業する場合、課を跨いだ横断的な調整が必要となります。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
この領域は、登録完了後の銀行代理業者が、継続的に銀行法等の法令を遵守して業務を行っているかを監視するフェーズです。現在は、監督と検査を一体的に行う「監督・検査一体化」の枠組みで運用されています。
担当部署と役割詳細
東京財務事務所 理財第1課
銀行代理業者の日常的な監督を直接担当します。
オフサイト・モニタリング: 事業報告書や四半期報告の受理・分析、不祥事発生時の届出対応を行います。
定例ヒアリング: 経営状況や苦情発生状況について定期的な面談を実施し、リスクの兆候を把握します。
東京財務事務所 理財総括課
東京財務事務所全体の業務調整に加え、「金融経済教育」の推進を担います。銀行代理業者が顧客向けに実施するセミナーや広報活動において、中立的な金融リテラシー向上の観点から連携・指導を行う窓口となります。
関東財務局 理財部(金融監督各課)
複数の財務局にまたがる拠点を有する大規模な銀行代理業者や、所属銀行の経営に直結する重要な代理業務(銀行窓口の全面委託等)を行う業者に対し、より高度なリスク管理体制のモニタリングを行います。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
この領域は、監督部署が直接事業者のオフィスに立ち入り、実態を把握するフェーズです。法令遵守状況だけでなく、ガバナンスや顧客保護の適切性を深く検証します。
担当部署と役割詳細
東京財務事務所 理財第1課(監督・検査担当官)
通常、日常のモニタリングを担当している「監督担当者」が中心となり、銀行代理業者への立入検査を実施します。検査では、顧客への説明資料、意向把握の記録、再委託先の管理状況、苦情処理記録、システム管理体制などが精査されます。
関東財務局 理財部(金融監督官・検査官)
システム障害の頻発や大規模な個人情報漏洩、組織的な不正行為が疑われる事案など、高度な専門性や人力が求められる場合に、関東財務局(本局)から専門の検査官が派遣され、東京財務事務所と合同で、あるいは本局単独で深度ある立入検査を行います。
金融庁 監督局(銀行各課)
メガバンクや主要行を所属銀行とする大規模な銀行代理業務において、銀行本体の健全性や信頼性を揺るがす重大な事案が発生した場合、金融庁本庁が直接立入検査を指揮、または実施することがあります。
7. 行政処分の「役割分担と発動」 (Administrative Actions)
この領域は、検査やモニタリングの結果、重大な法令違反や業務運営の著しい不備が認められた際に行政上の制裁(業務改善命令、業務停止命令、登録取消し等)を下すフェーズです。
担当部署と役割詳細
東京財務事務所 理財第1課(事実関係の認定・証拠固め)
現場での検査や報告徴求を通じて、処分に値する事実関係(法令違反の事実)を特定し、証拠となる資料を取りまとめます。処分の原案となる「起案書」を作成し、上局である関東財務局へ報告・協議します。
関東財務局 理財部(審査・法規調整)
東京財務事務所から提出された事案について、他事例との公平性や処分の妥当性を審査します。法規課(またはこれに準ずる部署)と調整し、行政処分としての法的整合性を担保します。
関東財務局長(発令権者)
銀行法等に基づき、金融庁長官から委任された権限により、関東財務局長の名において行政処分を発令します。
行政手続法に基づく対応: 業務停止命令や登録取消しなどの重い処分を下す前には、関東財務局の聴聞官等による「聴聞」や「弁明の機会の付与」の手続きを経て、最終的な処分内容が決定されます。
【信託業参入】申請前に知っておくべき「行政の役割分担」と「審査の急所」
~金融庁・関東財務局の担当部署を完全解説~
(序章)
近年、不動産小口化商品やフィンテック(セキュリティ・トークン等)の活用スキームとして、「信託」の機能が改めて注目されています。それに伴い、「管理型信託業」や「運用型信託会社」のライセンス取得に関するご相談も急増しています。
しかし、いざ参入を検討し始めると、多くの事業者様が最初の壁に突き当たります。
「そもそも、どこに行けば話を聞いてもらえるのか?」
「金融庁の本庁なのか、財務局なのか、それとも都内の財務事務所なのか?」
金融ライセンスの取得実務は、単に書類を提出して終わりではありません。「誰が(どの部署が)」「何を(どの法律・観点を)」審査するのかという行政側のメカニズムを正確に把握していなければ、事前相談の段階で門前払いを受けることさえあります。
特に注意が必要なのは、信託業の管轄は、一般的な「第二種金融商品取引業」などとは窓口が異なるという点です。ここを誤解したまま準備を進めると、無駄な工数が発生するだけでなく、審査官とのコミュニケーションにズレが生じ、登録までの道のりが大幅に遅れる原因となります。
本記事では、金融専門の行政書士である私が、信託業者の皆様が相対することになる「金融庁・関東財務局」の担当部署と、その具体的な役割について徹底解説します。
「企画(ルール作り)」、「登録(審査)」、「監督(モニタリング)」という行政の3つの顔を理解し、最短ルートでのライセンス取得と安定した事業運営を目指しましょう。
信託業者(管理型・運用型)の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の「役割分担」
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
~信託制度の設計と監督指針の策定~
本領域は、主に金融庁本庁が所管します。銀行併営信託(信託銀行等)および信託会社(運用型・管理型)に共通するルールを策定します。
法案・政令・内閣府令の作成
担当部署:総合政策局 企画課、監督局 銀行第一課(信託担当)および銀行第二課
信託業法、銀行法、およびそれらに付随する内閣府令の改正を主導します。運用型信託会社や信託銀行は「銀行第一課・第二課」が、制度全般の企画は「企画課」が担当し、暗号資産信託やセキュリティ・トークン(ST)信託等の新たなスキームに対する法的枠組みを構築します。
監督指針・検査マニュアル相当の策定
担当部署:監督局 各課
実務上の解釈指針となる「信託会社等向けの総合的な監督指針」の策定・改定を行います。分別管理の徹底や、受益者保護のための忠実義務、受託者責任の解釈基準はここで決定されます。
国際規制・FATF対応
担当部署:総合政策局 国際課、マネロン等対策企画室
バーゼルⅢ等の銀行規制との整合性や、FATF(金融活動作業部会)勧告に基づく「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の信託実務への反映を担います。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
~信託受益権の流通と受託者責任の監視~
本領域は、金融庁の外部局である証券取引等監視委員会(SESC)と、その委任を受けた関東財務局(証券取引等監視官)が連携して担当します。
信託受益権の販売監視(第二種金融商品取引業)
担当部署:証券取引等監視委員会 市場分析審査課、関東財務局 証券取引等監視官
信託会社が兼務する「第二種金融商品取引業」として行う信託受益権の募集・売出しについて、不適切な勧誘や虚偽の説明がないか、市場の公正性を監視します。
信託財産の運用監視
担当部署:証券取引等監視委員会 取引調査課
運用型信託会社が信託財産を用いて有価証券取引を行う際、インサイダー取引や相場操縦等の不正が行われていないか、証券市場の観点から抽出・調査します。
開示検査および犯則事件の調査
担当部署:証券取引等監視委員会 開示検査課、特別調査課
有価証券報告書等の虚偽記載に加え、悪質な無登録営業や法令違反が疑われる信託業者に対し、裁判所の令状に基づく強制調査を行い、刑事告発に向けた証拠収集を実施します。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (No-Action Letter & Innovation Hub)
~実務上の適法性確認と個別監督~
この領域では、金融庁(本庁)が全体の統一解釈を行い、関東財務局・東京財務事務所が個別業者の登録・監督窓口としての実務を担います。
FinTech サポートデスク(新規スキーム相談)
担当部署:総合政策局 総合政策課(フィンテック参事官室)
新たなデジタル技術を用いた信託スキームなど、既存の枠組みに当てはまらないイノベーション案件の一次相談を受け付けます。
ノーアクションレター(法令適用事前確認手続)
担当部署:監督局 銀行第一課(信託銀行等)、銀行第二課(信託会社等)
信託業法や銀行法に関する具体的な事業計画に基づき、法令違反の有無を公式に回答します。本庁が受理し、全国共通の解釈として公表されます。
個別業者への指導・監督および一般的な照会
担当部署:東京財務事務所 監督理財第2課、関東財務局 理財部 金融監督第3課
管理型信託会社および信託契約代理店、信用組合等の監督・照会対応は、実務的に東京財務事務所 監督理財第2課(東京都内に本店を置く業者等の場合)が担当します。登録申請の受理、日常的な業務報告の審査、法令解釈に関する一般的な質問への回答、および立入検査の実施主体となります。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
~実務への影響: ビジネス開始のゲートキーパー対応~
申請書の提出先および事前相談の窓口は、信託業の種別や本店の所在地によって明確に分かれています。行政書士や弁護士が実務上、最も密接に協議を行う領域です。
事前相談・概要書検討(予備審査)
担当部署:東京財務事務所 監督理財第2課(管理型・代理店)、関東財務局 理財部 金融監督第3課(運用型)
東京都内に本店を置く管理型信託会社および信託契約代理店の登録審査は、東京財務事務所 監督理財第2課が担当します。一方、運用型信託会社については、本局である関東財務局(さいたま)金融監督第3課が直接担当します。事業スキームの適法性、態勢整備、人的構成(信託業務の知識経験)の精査が行われます。
登録申請書の受理・審査
担当部署:上記各担当部署
本申請後の形式審査および実質審査を行います。申請書類の補正(修正)対応や、業務方法書の詳細な詰めが行われるメインのプロセスとなります。
登録拒否要件の確認
担当部署:上記各担当部署
欠格事由の有無、役員の資質、警察庁への反社照会等を実施し、信託業法上の登録要件を満たしているかを厳格に調査します。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
~実務への影響: 定期報告と法令遵守状況の監視~
登録完了後、日常的な監督を通じて業者の健全性をチェックします。監督担当部署が検査も主導する「オン・オフ一体」の監督体制がとられています。
オフサイト・モニタリング(報告徴求・ヒアリング)
担当部署:東京財務事務所 監督理財第2課(管理型・代理店)、関東財務局 理財部 金融監督第3課(運用型)
事業年度ごとの「事業報告書」や「信託財産状況報告書」の審査、事故発生時の届出対応を行います。定期的なヒアリングを通じて、分別管理の徹底状況や受託者責任の履行状況を監視します。
変更登録・届出の審査
担当部署:上記各担当部署
商号、資本金、役員の変更、あるいは「信託業務の種類の追加」など、登録後の各種変更手続きの審査・受理を担当します。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
~実務への影響: 事業継続を左右する最大の山場~
現在は監督部門が主体となり、必要に応じて証券取引等監視委員会等と連携しながら検査が実施されます。
一般検査(定期検査)
担当部署:東京財務事務所 監督理財第2課、または関東財務局 理財部(検査担当)
原則として事前通知の上でオフィスに立ち入り、信託帳簿、分別管理の通帳・システム、意思決定プロセス(議事録等)を精査します。日頃の監督担当者が検査官として同行するケースが多く、実務の連続性が重視されます。
深度ある検査(特別検査)
担当部署:関東財務局 理財部(金融監督官・証券検査官)等
重大な不祥事や複雑なスキーム、マネロン対策(AML/CFT)の不備が疑われる場合、本局の専門チームによる集中的な検査が行われることがあります。
実務上のポイント
登録時に提出した「業務方法書」通りの運用がなされているかが最大の焦点となります。特に「固有財産との分別管理」の不備は、信託業において最も厳しく指摘される事項です。
7. 行政処分と「役割分担」 (Administrative Actions & Roles)
~監督・検査の結果に基づくペナルティの発動~
法令違反や公序良俗に反する事案が発覚した場合の処分プロセスは、行政権限の委任構造に基づき以下の通り分担されます。
行政処分の起案・事実認定
担当部署:東京財務事務所 監督理財第2課(管理型・代理店)、関東財務局 理財部 金融監督第3課(運用型)
検査・モニタリングの結果に基づき、業務改善命令や業務停止命令の原案を作成します。日頃の監督を通じて蓄積された証拠資料が処分の基礎となります。
処分の決定・発令
担当部署:関東財務局長(本局)または金融庁長官
管理型信託会社や代理店の処分権限は財務局長に委任されていますが、重大な事案や運用型信託会社に関する処分については、金融庁本庁(監督局)と密接に協議した上で決定・発令されます。
役割分担のまとめ
金融庁本庁: 信託制度全体の企画・立案、監督指針の策定、および運用型信託会社や銀行併営信託の重要事項の判断。
関東財務局(さいたま): 運用型信託会社の登録・監督、および管内の管理型信託会社・代理店に対する監督権限の総括。
東京財務事務所(文京区): 東京都内に本店を置く管理型信託会社および信託契約代理店に関する「登録・監督・検査」の実務を担う直接の窓口(監督理財第2課)。
【第一種金融商品取引業】申請窓口は「金融庁」だけではない?
専門行政書士が解き明かす、3つの行政機関(本庁・関東財務局・東京事務所)
の管轄マップ
(序章)
証券会社、FX業者、あるいは最先端の株式投資型クラウドファンディング――。
金融ビジネスの「本丸」とも言える第一種金融商品取引業(第一種業)への参入をご検討中の皆様、こんにちは。金融法務を専門とする行政書士です。
第一種業は、顧客から資産を預かり、流動性の高い有価証券を取り扱う「市場のゲートキーパー」としての役割を担うため、金融ライセンスの中でも特に厳格な審査と監督が求められます。
この高いハードルを越えるために、まず皆様が直面するのが「誰が私の会社の担当なのか?」という行政管轄の壁です。
一般的に「金融庁」とひと括りにされがちですが、第一種業の実務現場では、霞が関の「金融庁(本庁)」、さいたま新都心の「関東財務局(本局)」、そして湯島の「東京財務事務所」という3つの組織が、パズルのように業務を分担しています。
例えば、同じ第一種業の登録申請でも、一般的な証券会社であれば「さいたま新都心」へ向かう必要がありますが、特定の小規模なモデル(少額電子募集取扱業者など)であれば「湯島」が窓口になるケースもあります。また、日常の監督は財務事務所が行う一方で、重大な事案が発生すれば本庁の証券取引等監視委員会(SESC)が直接乗り出してくることもあります。
この「管轄の地図」を持っていないと、事前相談の段階で窓口を間違えて時間を浪費したり、事業開始後の検査対応で予期せぬ指摘を受けたりすることになりかねません。
そこで本記事では、第一種金融商品取引業を目指す皆様が、行政対応で迷子にならないよう、以下の6つのフェーズにおける行政の役割分担を徹底解説します。
金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
法令解釈の「照会対応」 (No-Action Letter)
金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
行政処分の「決定と執行」(Administrative Actions)
特に、「さいたま」と「湯島」の役割分担や、近年主流となっている「オン・オフ一体(監督と検査の融合)」のトレンドなど、教科書には載っていない現場の実務情報も交えて整理しました。
第一種業という大きな挑戦を成功させるための羅針盤として、ぜひ本記事をお役立てください。
【実務補足】よりスムーズな行政対応のために:専門行政書士からのアドバイス
本記事では行政機関の基本的な役割分担を解説しますが、実際の現場では法令の文言以上に「実務上の慣習」が重要になる局面があります。ライセンス取得を確実に成功させるために、以下の3つの最新動向も押さえておきましょう。
1. 企画・立案部署の「司令塔」を理解する
金融行政のルール作りを行う「企画・立案」の主軸は、金融庁(本庁)の総合政策局です。
実務上、法案作成の司令塔となるのは「総合政策局 総務課」や「企画法制課」といった部署になることが多く、パブリックコメントの取りまとめもここが中心となります。
事業者が新しいビジネスモデルを検討する際、単に「法があるから守る」だけでなく、「当局がどのような意図(政策目標)でそのルールを作ったのか」という背景を汲み取ることが、交渉を有利に進める鍵となります。
2. 登録窓口を決定するのは「事業規模」だけではない
第一種業の登録相談において、さいたま(関東財務局 本局)か湯島(東京財務事務所)かの振り分けは、資本金などの規模だけでなく、「取り扱う業務の法的性質」が大きな判断基準となります。
東京財務事務所(湯島): 「第一種少額電子募集取扱業者(株式投資型クラウドファンディング)」など、特例的な枠組みの業務。
関東財務局(さいたま): FX、証券仲介、デリバティブなど、金商法上の原則的な第一種業務。
「自分の事業がどの法的カテゴリーに属するか」を正確に定義した上で、最初の電話連絡を行うことが、たらい回しを防ぐ最短ルートです。
3. 「オンサイト・モニタリング」への変化とチーム編成
近年の金融行政改革(2018年〜)により、従来の「検査局による立入検査」という枠組みは廃止されました。現在は、日頃から対話を行う監督部署が直接現場を確認する「オンサイト・モニタリング」という形態が主流です。
ここで注意すべきは、窓口である東京財務事務所(湯島)の担当者だけでなく、案件の重要度に応じて関東財務局(さいたま)の検査専門官と合同チームを組んで来訪するケースがある点です。
「いつもの担当者だから」と油断せず、本局の視点も意識したガバナンス体制を構築しておくことが、検査(オンサイト・モニタリング)を無事に乗り切るポイントです。
第一種金融商品取引業の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の「役割分担」
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
この分野は金融庁本庁の独占業務です。
法案・政令・内閣府令の策定
担当部署: 総合政策局 企画課、監督局 証券課
詳細: 「証券課」は一種業の監督指針や、自己資本規制比率の算定ルール(金商業等府令)の実質的な起案担当です。また、デリバティブ取引の証拠金規制などの国際合意に基づくルール作りもここで行われます。
パブリックコメントの実施
担当部署: 各担当課(実務的には監督局 証券課など)
詳細: 秘書課は窓口管理を行いますが、寄せられた意見に対する「回答(考え方)」を作成し、制度の解釈を確定させるのは、その法令を所管する証券課などの実務部署です。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
一種業者は「市場のゲートキーパー」として、自社が違反をしないだけでなく、顧客の不公正取引を防止する義務があるため、監視の目は非常に厳しくなります。
取引審査(相場監視)
担当部署: SESC 市場監視課
詳細: 一種業者が取引所に提出する売買データの分析に加え、一種業者の内部管理体制(不公正取引防止態勢)が機能しているかをチェックします。
開示検査
担当部署: SESC 開示検査課
詳細: 主幹事証券会社(一種業者)が行った引受時のデューデリジェンス(適正確認)に不備があり、結果として虚偽記載が見逃された場合、一種業者側も調査対象となります。
犯則調査
担当部署: SESC 特別調査課
詳細: 伝播型インサイダー取引や、一種業者の役職員が関与する悪質な相場操縦などが対象となります。
3. 法令解釈の「照会対応」 (No-Action Letter)
ノーアクションレター(法令適用事前確認手続)
担当部署: 金融庁 監督局 証券課(または総務企画局 総務課 法務室)
詳細: 一種業者が「新しいスキームの有価証券販売」や「複雑なデリバティブ」を行う際、金商法に抵触しないかを照会します。回答は本庁で行われますが、関東財務局を通じて相談が上がるケースも多くあります。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
一種業は「資本金の額」「自己資本規制比率」「主要株主の属性」「システム管理体制」など、二種業とは比較にならないほど審査項目が多く、慎重に判断されます。
本庁審査(金融庁 監督局 証券課)
対象: 主要証券会社、ネット証券大手、外資系証券など「金融庁長官の直接指揮下」にある業者。
本局審査(関東財務局 理財部 証券監督第1課~第3課:さいたま)
対象: 原則的なすべての一種業者。
詳細: 実務のハブです。高度な専門性を要するシステムリスクや、複雑なデリバティブを扱う業者は、原則として「さいたま」が審査を完結させます。
事務所審査(東京財務事務所 理財第6課:湯島)
対象: 第一種少額電子募集取扱業者(株式型CF)や、業務範囲を限定した小規模業者。
詳細: 特例的な一種業については湯島が窓口となります。ただし、最終的な「登録番号」の発行(局長決裁)は関東財務局長名義で行われます。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
「オン・オフ一体」の方針に基づき、日常的な監視と立入検査が連動します。
大手・準大手(関東財務局 理財部 証券監督第1課~第3課)
詳細: 自己資本規制比率が120%を割り込みそうな場合の「早期警戒措置」の発動や、大手特有の複雑なリスク(市場リスク・カウンターパーティリスク)の監視を行います。
中小規模(東京財務事務所 理財第6課)
詳細: 東京都内に本店を置く多くの一種業者がここに含まれます。月次の自己資本規制比率の届出、不祥事(事故)届出の受理、苦情処理体制のヒアリングなど、実務的な距離が最も近い部署です。
実務上の注意点
資本金や業態規模により、「湯島」から「さいたま」へ担当が移管(またはその逆)されることがあります。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
「検査」と「監督」の壁がなくなったことが、第一種業者にとって最大の留意点です。
一般検査(東京財務事務所 理財第6課、または関東財務局 検査部)
詳細: 監督担当官(日頃ヒアリングに来る担当者)が検査官として立ち入るケースが増えています。特に「分別管理の不備」は即座に行政処分に直結するため、非常に厳格です。
大規模・不公正取引疑義(証券取引等監視委員会:SESC)
詳細: SESCによる検査は、法令違反の「摘発」を主眼に置きます。一種業者が顧客に対して不適切な勧誘を組織的に行っている場合や、相場操縦を黙認している場合などは、本庁(SESC)が直接乗り出します。
7.行政処分の「決定と執行」(Administrative Actions)
第一種金融商品取引業者(以下「一種業者」)に対する行政処分は、市場や投資家に与える影響が極めて大きいため、法令に基づく権限委任の仕組みにより、処分の内容ごとに決定主体および実務担当部署が明確に分担されています。
まず、登録取消や業務停止といった重大な処分については、最終的な権限行使者は金融庁長官(場合によっては財務局長)とされています。実務上は、財務局が事案の調査・検討を行い処分案を作成したうえで、金融庁本庁(監督局・証券課)と協議し、最終決定がなされます。これらの処分は、事業継続に直接影響を及ぼす「ライセンス剥奪」に相当するため、中央官庁レベルで慎重に判断される点が特徴です。
次に、業務改善命令は、一種業者に対する行政処分の中では比較的一般的な類型であり、主として内部管理体制や業務運営の是正・強化を求めるものです。この場合、権限は金融庁長官から委任されており、関東財務局長が主体となって発出します。実務は、関東財務局の証券監督課や東京事務所第6課が担当し、地域レベルで迅速かつ実態に即した対応が行われます。
さらに、課徴金納付命令については、金融庁長官が最終的な決定権限を有します。インサイダー取引への関与や開示義務違反など、市場の公正性を損なう行為に対する金銭的制裁として位置づけられており、証券取引等監視委員会(SESC)が調査・勧告を行い、その後、金融庁の審判官手続を経て本庁において決定されます。
このように、一種業者に対する行政処分は、処分の重さや性質に応じて、財務局レベルと金融庁本庁レベルの権限が使い分けられており、適正性と慎重性を確保する制度設計がなされています。
第二種業金融商品取引業ビジネスへのパスポートを手にするために
― 規制当局の「顔」と「役割」を理解する
(序章)
第二種金融商品取引業(ファンド販売や信託受益権売買など)への参入をご検討中の皆様、こんにちは。金融法務を専門とする行政書士です。
皆様がこれから足を踏み入れようとしている金融の世界は、許認可という「パスポート」を持つ者だけがビジネスを許される、厳格かつ規律ある市場です。このパスポートを取得し、維持し続けるために避けて通れないのが、「金融庁」「財務局」「財務事務所」という規制当局との対話です。
しかし、多くの事業者様から最初によくいただくのは、次のような戸惑いの声です。
「結局、我々は『誰』と話をすればいいのですか?」
「金融庁と財務局、何が違うのですか?」
実のところ、これらを行政という一言でまとめて「お上」と捉えてしまうと、金融ビジネスの立ち上げはうまくいきません。なぜなら、彼らは同じ組織のようでいて、担当するフェーズ(局面)によって全く異なる「顔」と「役割」を持っているからです。
新しいビジネスのルールを作りたいなら「霞が関(本庁)」を見なければなりません。
実際に免許を取り、日々の営業を認めてもらうには「現場(財務事務所)」の担当官との信頼関係が不可欠です。
そして、ルールを破れば「市場の番人(監視委)」が容赦なく介入してきます。
これから皆様が身につけるべき「金融センス」の第一歩は、この行政の多層構造を理解し、適切な相手と適切な言葉でコミュニケーションを取る力です。
本資料では、皆様が直面するであろう「5つのフェーズ」に合わせて、それぞれの行政機関がどのような役割を担い、誰がカウンターパート(交渉相手)になるのかを実務的な視点で整理しました。
このマップを頭に入れておくことで、ライセンス取得の折衝時や、取得後の検査対応において、皆様の打つべき手は格段にクリアになるはずです。それでは、金融行政の舞台裏を紐解いていきましょう。
第二種金融商品取引業の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の「役割分担」
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
二種業に関連する法整備は、ファンドビジネスの透明化や投資家保護の観点から行われます。
法案・政令・内閣府令の作成
担当部署: 企画市場局 企業開示課(または監督局 証券課)
二種業の視点: 二種業者が扱う「集団投資スキーム(ファンド)」の開示ルールや、SNS等を利用した勧誘規制のドラフトが行われます。特に、プロ向けファンド(特例業務)の規制強化など、二種業の周辺領域との境界線に関するルール作りが重要です。
パブリックコメントの実施
担当部署: 企画市場局(実務は各制度担当課)
二種業の視点: 監督指針(第二種金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針)の改正案に対し、業界団体(第二種金融商品取引業協会等)と連携して意見集約が行われます。
国際的な枠組みとの整合性
担当部署: 総合政策局 国際課
二種業の視点: マネー・ローンダリング対策(FATF対応)などの国際基準を、資本力の限られる中小の二種業者にどう適用させるかといった方針が検討されます。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
二種業者は「非上場」のファンドを扱うことが多いため、市場監視よりも「検査(On-site Inspection)」による摘発が主眼となります。
取引審査(相場監視)
担当部署: 証券取引等監視委員会(SESC) 市場監視課
二種業の視点: 二種業者が扱う商品は非上場が多いため、市場監視課の対象になることは稀です。ただし、J-REITの募集や上場株を組み込んだファンドの勧誘において、不適切な売買関与がないかが注視されます。
開示検査
担当部署: SESC 開示検査課
二種業の視点: 有価証券届出書を提出して公募を行う大型ファンドや、ソーシャルレンディング等の開示書類に虚偽がないかを検査します。
犯則調査(強制調査)
担当部署: SESC 特別調査課
二種業の視点: 投資詐欺的なスキームを二種業者が仲介していた場合や、顧客資産の組織的な流用など、刑事罰に相当する悪質な事案に対し、ガサ入れを行います。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (Inquiry & Innovation)
新しい金融スキーム(STO、環境債ファンド等)の適法性を確認する場です。
FinTechサポートデスク
担当部署: 総合政策局 フィンテック参事官室
二種業の視点: セキュリティトークン(デジタル証券)を二種業として扱う際の、システム要件や権利移転の法的解釈の相談窓口となります。
ノーアクションレター / 一般的な法令照会
担当部署: 監督局 証券課(二種・投資助言担当)
二種業の視点: 「このスキームは金商法の二種業に該当するか」という該当性判断の回答を行います。
実務上の重要点: 二種業の場合、本庁への正式なレターを出す前に、関東財務局(理財部)への事前相談が実質的な審査・解釈の確定プロセスとなることが一般的です。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
二種業は、一種業に比べて資本金要件等は緩やかですが、その分「ビジネスモデルの適法性」と「内部管理体制の実効性」が厳しく問われます。
事前相談・概要書検討(東京財務事務所 理財第8課)
二種業の登録において最も重要なフェーズです。担当官は、単に書類の有無を確認するだけでなく、「ファンドの裏付け資産の評価は妥当か」「勧誘対象はプロかアマか」といったビジネスの根幹に踏み込みます。特に、不動産証券化(信託受益権)やソーシャルレンディングなどのスキームでは、コンプライアンス担当者の知見が業務内容に見合っているかが重点的に審査されます。
登録申請書の受理・審査(東京財務事務所 理財第8課 & 関東財務局 理財部)
実務上のドラフト修正はすべて湯島(理財第8課)で行われます。形式審査が完了すると、書類はさいたま(関東財務局本局)へ送られ、局長決裁に向けた最終確認が行われます。この際、本局側から「特定の条文解釈」について再確認を求められることもあり、湯島とさいたまの連携が審査期間を左右します。
登録拒否要件の確認(関東財務局 理財部 & 警察庁・証券関係団体)
二種業者は「誠実公正義務」が強く求められるため、役員や主要株主の欠格事由の確認は極めて厳格です。関東財務局本局が主体となり、警察庁への反社照会や、他業種(貸金業や宅建業等)での行政処分歴の有無をデータベースで照合します。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
「オン・オフ一体」運用の下、日常的な情報の蓄積が「検査」や「処分」のトリガーとなります。
オフサイト・モニタリング(東京財務事務所 理財第8課)
東京都内に本店を置く二種業者の主担当です。年に一度提出される「事業報告書」により、財務の健全性やファンドの運用実績をチェックします。また、適宜実施されるヒアリングでは、直近の勧誘資料(パンフレットやウェブサイト)の提示を求められ、不適切な広告表示がないか等の「監督上の指導」が口頭で行われます。
変更登録・届出の審査(東京財務事務所 理財第8課)
役員変更や本店移転だけでなく、二種業者が「電子募集取扱業務(ネットでの勧誘)」を新たに開始する場合などは、変更登録が必要となります。これは実質的に新規登録に近い審査となるため、理財第8課による深度ある体制確認が行われます。
事故報告・不祥事対応(東京財務事務所 & 関東財務局 証券監督各課)
システム障害や役職員による横領などの不祥事が発生した際、最初の報告先は理財第8課です。ただし、投資家保護に重大な支障があるケースでは、即座に関東財務局(さいたま)に情報が共有され、本局主導の監督体制に移行します。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
二種業における立入検査は、登録の維持をかけた最大のイベントです。
一般検査(東京財務事務所 理財第8課)
日常の監督業務を通じて「体制に懸念がある」と判断された業者に対し、監督担当官が検査官として乗り込みます。チェックの主眼は「顧客資産の分別管理」です。ファンド資金が業者の固有資産と混蔵されていないか、通帳や振込履歴を一件ずつ照合するような緻密な検査が行われます。
金商法事案・広域事案の検査(証券取引等監視委員会(SESC) 証券検査課)
二種業者であっても、被害規模が大きいファンド案件や、全国的に投資勧誘を行っている業者については、金融庁の外部局であるSESCが直接動きます。SESCは強制調査に近い権限(任意ではあるが実質的な強制力)を持ち、悪質な虚偽表示や無登録業者への名義貸しなどを徹底的に洗い出します。
実務上の着眼点
検査の現場では「業務方法書」の遵守状況が厳しく見られます。例えば、「社内規程ではコンプライアンス会議を月1回開くことになっているが、議事録が半年分ない」といった運用実態の欠如は、即座に「内部管理体制の不備」として指摘事項となります。
7. 行政処分の「役割分担と執行プロセス」 (Administrative Actions)
二種業者に対する行政処分は、発見された違反の重大性に応じて、東京財務事務所、関東財務局、金融庁本庁が密接に連携して決定します。
まず、処分の判断に向けた「証拠の積み上げ」は、立入検査やヒアリングを行った東京財務事務所(理財第8課)または証券取引等監視委員会が担います。ここで作成された検査結果報告書に基づき、関東財務局(理財部 証券監督各課)が処分の原案をドラフトします。業務改善命令のような標準的な処分については、財務局長の権限で発出されます。
一方で、登録取消や業務停止命令といった、事業者の存続に関わる極めて重い処分については、金融庁本庁(監督局 証券課)との事前協議が不可欠です。本庁は全国的な処分の均衡(公平性)を保つ観点から検討を行い、最終的な処分の方向性を決定します。
実際の執行手続きにおいては、関東財務局が「行政手続法」に基づき、対象業者に対して「弁明の機会の付与(聴聞)」を行います。業者の言い分を聞いた上で、最終的に関東財務局長名義で処分通知書が交付され、同時に金融庁および各財務局のウェブサイトでその内容が公表されます。このように、現場に近い事務所が「実態把握」を行い、本局が「法的構成(処分案)」を練り、本庁が「最終判断」を下すという三層構造になっています。
投資運用業の「許認可」と「監督」の最前線:金融庁・関東財務局・
東京財務事務所の役割分担とは
(序章)
投資運用業などの金融ビジネスへの参入を検討される際、多くの経営者様が最初に直面する「見えない壁」。
それは、「結局のところ、我々のビジネスを審査・監督するのは誰なのか?」という疑問です。
ニュースで耳にする「金融庁(霞が関)」、登録申請の主戦場となる「関東財務局(さいたま)」、そして身近な相談窓口である「東京財務事務所(湯島)」。これらは全て「金融当局」と一括りにされがちですが、実務においては明確な役割分担(レイヤー)が存在します。
特に注意が必要なのは、「どのライセンスを狙うか」によって向き合うべき相手が変わるという点です。例えば、投資信託やファンド運用を行う「投資運用業」であれば、たとえ本店が都内であっても、審査の主導権は「さいたま(関東財務局本局)」が握っています。一方で、第二種業や投資助言業であれば「湯島(東京財務事務所)」が最前線となります。
この「行政の地図」を持たずにライセンス取得に挑むことは、羅針盤なしで航海に出るようなものです。本記事では、私たち行政書士が日々折衝を行っている現場の視点から、政策立案からライセンス審査、そして登録後の検査に至るまでの「行政対応の全貌」を体系的に解説します。
本記事で得られる「視点」
これから読み進めていただく解説は、単なる組織概要ではありません。御社の事業フェーズに合わせて、以下の「誰と向き合うべきか」を理解するためのガイドマップです。
ルールを変えたい時(Policy Making):
霞が関の「金融庁(本庁)」がプレイヤーです。法改正や新しいビジネスモデルの解釈はここで決まります。
免許を取りたい時(Licensing):
業種により「関東財務局(さいたま)」か「東京財務事務所(湯島)」かが分かれます。彼らが「ゲートキーパー」として、御社の適格性を審査します。
不正を疑われた時(Enforcement):
「証券取引等監視委員会(SESC)」や本局の検査官が登場します。ここは、プロとして絶対に足を踏み入れてはならない領域です。
これからご説明する6つのフェーズを通じ、金融行政という巨大なシステムの「勘所」を掴んでください。どの部署がどのような視点で御社を見ているのかを知ることは、円滑なライセンス取得と、その後の安定した事業運営への第一歩となります。
投資運用業者の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の「役割分担」
本記事では、金融商品取引業者(投資運用業者等)が関与する行政対応について、政策立案からライセンス審査、監督・検査に至るまでの各フェーズを担当する部署とその役割を詳述します。
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
投資運用業に関しては、法令だけでなく「監督指針」や「資産運用業高度化プログレスレポート」といった実務指針の影響力が極めて大きいのが特徴です。
法案・政令・内閣府令の作成
担当部署: 企画市場局 企業開示課 / 市場課(旧 総合政策局から企画機能が整理されています)
投資運用業の視点: 単なる規制の作成だけでなく、投資信託の運用報告書の電子化や、ESG投資に関する開示基準(グリーンウォッシュ防止)など、運用の透明性を高めるためのルール作りがここで行われます。
「資産運用立国」に関連する政策立案
担当部署: 資産運用高度化室(監督局 証券課内)
投資運用業の視点: 2024年以降の重要施策である「資産運用業の参入促進」や、新規参入(EMG:新興運用会社)への支援策などの戦略策定は、企画課と連携しつつ監督局が主導するケースが増えています。
パブリックコメントの実施
担当部署: 企画市場局 各担当課
投資運用業の視点: 「投資運用業等向けの総合的な監督指針」の改正は、実務への影響が極めて大きいため、日本投資顧問業協会や投資信託協会との事前調整を経て、ここで重要解釈が確定します。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
投資運用業者は「投資家の資産を預かり、自らの判断で動かす」ため、自己勘定取引(一種)以上に「利益相反」が最大の監視テーマとなります。
取引審査(相場監視)
担当部署: 証券取引等監視委員会(SESC) 市場監視課
投資運用業の視点: 運用担当者(ファンドマネージャー)によるインサイダー取引だけでなく、特定のファンドに利益を付け替える「不公正な取引割り当て」など、運用者特有の不正を監視します。
投資運用業への検査
担当部署: SESC 証券検査課(または証券検査第2課)
投資運用業の視点: 投資運用業者は、SESCの「証券検査」の重点対象です。特に、忠実義務違反(顧客より自社を優先していないか)や、外部委託先の管理態勢が厳格に検査されます。
開示検査
担当部署: SESC 開示検査課
投資運用業の視点: 公募投資信託の「臨時報告書」や「有価証券届出書」の虚偽記載、あるいは「運用報告書」の内容と実態の乖離をチェックします。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (No-Action Letter & Innovation Hub)
投資運用業では、新しい運用手法(AI運用、デジタル資産運用等)が次々に生まれるため、照会対応が非常に活発です。
FinTechサポートデスク(新規ビジネス相談)
担当部署: 総合政策局 フィンテック参事官室
投資運用業の視点: AIを活用したアルゴリズム運用や、セキュリティトークン(STO)を組み込んだ投資信託の組成など、テクノロジーが絡む新ビジネスの窓口となります。
ノーアクションレター(法令適用事前確認手続)
担当部署: 監督局 証券課
投資運用業の視点: 「この運用手数料体系は金商法上の利益相反に当たらないか」「外部委託の範囲が投資運用業の再委託制限に抵触しないか」といった、運用実務に直結する照会を扱います。
一般的な法令照会(金融会社室)
担当部署: 監督局 総務課(金融会社室)
投資運用業の視点: 投資運用業への新規参入を検討する海外マネジャーなどが、日本のライセンス要件(人的構成等)を確認する際の一般的な窓口となります。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
投資運用業は「善管注意義務」を負うため、人的構成(運用実績やコンプライアンス経験)の審査が極めて厳格です。
事前相談・概要書検討:
担当部署: 投資一任やプロ向け運用(適格機関投資家等向け運用業)などの場合、窓口は東京財務事務所 理財第7課(助言・運用担当)となります。
詳細: 単なる書類の不備チェックではなく、運用担当者の「トラックレコード(過去の運用実績)」が具体的かつ客観的に証明できるかが問われます。また、投資信託委託業(公募投信)を伴う場合は、最初から金融庁本庁(監督局 証券課)が直接審査に介入する「本庁直轄案件」となります。
登録申請書の受理審査:
担当部署: 関東財務局 理財部 証券監督第3課・第4課(および東京財務事務所 理財第7課)
詳細: ドラフト修正のやり取りは湯島で行われますが、投資運用業の「業務方法書」は非常に重く、利益相反防止策(自己取引の禁止や忠実義務の遵守体制)について、さいたま本局の専門官による「リーガルチェック」が並行して走ります。
実務上のポイント:
投資運用業の場合、「資本金5,000万円以上」「純資産額5,000万円以上」という財務要件に加え、「専任のコンプライアンス・オフィサー」の独立性が厳しく問われます。他部署との兼務が原則認められないため、組織図の段階で非常に細かく突っ込まれます。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
「資産運用立国」の潮流を受け、現在は単なる法令遵守だけでなく「運用の高度化」を求める対話が重視されています。
オフサイト・モニタリング(報告徴求・ヒアリング):
担当部署: 東京財務事務所 理財第7課(実務窓口)および関東財務局 証券監督部門
詳細: 投資運用業者は「運用報告書」の提出義務があり、その内容と実際の運用指図が乖離していないかチェックされます。特に「関係法人との取引(利益相反)」や「ソフトドラー(売買手数料に伴う過剰なサービス提供)」がないか、定期的なヒアリングで詳細な説明を求められます。
変更登録・届出の審査:
詳細: 投資一任契約に付随して、新たに「投信運用」を追加する場合などは変更登録となりますが、これは新規登録に準ずる極めて重い審査(事実上の再審査)となります。
リスク・ベース・アプローチ:
預かり資産残高(AUM)が急増している業者や、特定の個人に権限が集中している業者は「ハイリスク」と見なされ、通常より頻繁なヒアリング対象となります。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
投資運用業の検査は、顧客資産の流用を伏せぐため、非常に専門的な「資産照合」が行われます。
一般検査(定期検査):
実施主体: 関東財務局 検査部(または東京財務事務所 理財第7課)
詳細: 投資運用業の場合、専門的な「証券検査官」がチームを組んで入ります。チェック項目は「忠実義務」と「分別管理」です。信託銀行等の保管受託銀行からの残高証明書と、社内の帳簿が1円単位で一致しているか、運用指図の根拠(投資判断のプロセス)が記録されているかが徹底的に洗われます。
金商法事案の検査(証券取引等監視委員会:SESC):
実施主体: SESC 証券検査課
詳細: 投資運用業における最大の不祥事である「損失補填」や「特定の顧客への利益提供」が疑われる場合、SESCが全権限を持って立入検査を行います。投資運用業者が「ゲートキーパー」として機能せず、自ら市場を歪めたと判断されると、即座に告発や勧告に向けた動きが加速します。
7. 行政処分の「役割分担と執行プロセス」 (Administrative Actions)
投資運用業における行政処分は、投資家から委託された「他人の金」を扱う責任の重さから、そのプロセスは極めて慎重かつ重層的に構築されています。
まず、不祥事や法令違反の端緒を掴むのは、日常のモニタリングを行う東京財務事務所(理財第7課)や、立入検査を実施した関東財務局(検査部)、あるいは証券取引等監視委員会です。特に、顧客資産の流用や重大な忠実義務違反(自己または第三者の利益を優先する行為)が発見された場合、直ちに事実関係の整理が行われ、関東財務局(理財部)において処分の原案が作成されます。
処分の執行権限については、業務改善命令のような体制整備を促すものであれば、金融庁長官から権限委任を受けた関東財務局長の名義で行われます。しかし、投資家保護のために不可欠な「業務停止命令」や、市場からの退場を意味する「登録取消し」といった重い処分については、金融庁本庁(監督局 証券課)が主導権を握ります。本庁は、全国的な処分の基準との整合性を検証し、必要に応じて法務部門とも協議を行いながら、行政処分の最終判断を下します。
最終的に処分が下される際は、対象業者に対して「弁明の機会」が与えられ、そのプロセスを経て確定した処分内容が官報や公式サイトで公表されます。投資運用業の場合、処分が公表されると投資家からの解約が殺到(ラン・オン・ザ・バンク)し、事業継続が困難になるケースが多いため、当局は処分と並行して「顧客資産の円滑な返還や他社への承継」についても、業者に対して強力な指導を行う役割を担います。
投資助言・代理業参入を目指す事業者様へ――「金融庁・財務局・財務事務所」の“
誰”があなたのカウンターパートなのか?
(序章)
「投資助言・代理業として独立したい」「金融ビジネスを適法に拡大したい」
そう考えたとき、多くの方が最初に思い浮かべる規制当局は「金融庁」ではないでしょうか。ニュースや新聞で目にする「金融庁」は、日本の金融行政の司令塔であり、強力な権限を持っています。しかし、実際に皆さまがビジネスを始める際、あるいは日々の業務で膝を突き合わせて議論する相手が、必ずしも霞が関の「金融庁本庁」の職員とは限りません。
実は、金融商品取引業の実務には、「金融庁(本庁)」「関東財務局(さいたま新都心)」「東京財務事務所(湯島)」 という3つの行政機関が複雑に関わっており、それぞれの役割分担(レイヤー)が存在します。この「行政の地図」を持たずに手続きを進めることは、登山地図を持たずに山に入るようなものです。「誰がルールを作り、誰が審査をし、誰が検査に来るのか」を理解していなければ、円滑な登録手続きも、その後の安定した業務運営も望めません。
特に東京都内に本店を置く事業者様にとっては、許認可の審査や日常の監督を行う「東京財務事務所(湯島)」こそが、実務上の最重要カウンターパートとなります。
本記事では、金融ライセンス手続きの現場に立つ行政書士が、投資助言・代理業の業務サイクルに合わせて「どの官庁・部署が何を担当しているのか」を体系的に解説します。教科書的な組織図ではなく、「実務で誰と話すことになるのか」という視点で整理しましたので、これからの事業計画やコンプライアンス体制の構築にぜひお役立てください。
投資助言・代理業者の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の「役割分担」
本記事では、投資助言・代理業等の金融商品取引業の実務において、どの官庁・部署がどのような役割を担っているのか、資料に基づき体系的に解説します。特に東京都内に本店を置く事業者を想定し、実務上のカウンターパートとなる具体的な担当部署を明記しています。
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
投資助言業に関連するルール作りは、主に投資家保護と資産運用立国の推進という両面から行われます。
法案・政令・内閣府令の作成
担当部署: 企画市場局 企業開示課 / 市場課(2024年以降、企画機能はこの新局へ集約されています)
投資助言業の視点: 「SNS等を利用した投資助言」や「アフィリエイト広告」を巡る規制、また投資助言業者が受け取る「成功報酬」の算定基準など、実務に直結する府令のドラフトが行われます。
パブリックコメントの実施
担当部署: 企画市場局 各制度担当課
投資助言業の視点: 監督指針(金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針)の改正時など、投資助言業者にとっての「遵守すべき実務基準」がここで確定します。特に「助言と単なる情報提供の境界」などのQ&Aも重要です。
国際金融規制対応
担当部署: 総合政策局 国際課
投資助言業の視点: グローバルな投資顧問会社が日本で活動する際の「参入障壁の緩和」や、国際的なESG投資基準の導入方針などが検討されます。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
投資助言業者は「相場を操る意図を持った助言」を行っていないかが注視されます。
取引審査(相場監視)
担当部署: 証券取引等監視委員会(SESC) 市場監視課
投資助言業の視点: 特定の銘柄について「買い」を助言する直前に、助言者自身がその銘柄を買っておく「フロント・ランニング」や、SNSを悪用した風説の流布、相場操縦への関与がないかを監視します。
開示検査
担当部署: SESC 開示検査課
投資助言業の視点: 投資助言業者が発行する投資情報誌や有料メルマガ、レポート等において、誇大広告(「必ず儲かる」等の断定的な判断の提供)や重要な情報の欠落がないかをチェックします。
犯則調査(強制調査)
担当部署: SESC 特別調査課
投資助言業の視点: 無登録で投資助言を行っている業者や、組織的な投資詐欺に投資助言業のライセンスが悪用されている事案など、刑事罰を視野に入れた重大案件を担当します。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (No-Action Letter & Innovation Hub)
投資助言業は、テクノロジー(AI・自動助言ツール)との親和性が高いため、この領域の相談が非常に活発です。
FinTechサポートデスク(新規ビジネス相談)
担当部署: 総合政策局 フィンテック参事官室
投資助言業の視点: 「AIによる自動銘柄選定ツール」が投資助言業に該当するのか、あるいは単なる「ソフトウェア販売」に留まるのかといった、業規制の「入口」に関する相談を扱います。
ノーアクションレター(法令適用事前確認手続)
担当部署: 監督局 証券課(投資助言・運用担当)
投資助言業の視点: 「特定の条件下での助言報酬の受け取り方が金商法に抵触しないか」など、具体的なビジネスモデルの合法性を正式に確認する際に利用されます。
一般的な法令照会
担当部署: 監督局 総務課(金融会社室)
投資助言業の視点: 登録申請を検討中の企業が、「人的構成」や「営業保証金」の預託方法など、一般的な解釈を確認する際の窓口となります。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
投資助言業は、金商法の中で最も参入しやすい業態である一方、投資詐欺への悪用を防ぐため、近年は「人的構成」と「ビジネスモデル」の審査が非常に厳格化しています。
事前相談・概要書検討(東京財務事務所 理財第7課)
投資助言業の登録審査において、最も時間が割かれるのは「助言の定義」の確認です。AIを活用したツール配布なのか、SNSでの個別指導なのか、そのビジネスモデルが金商法上の「助言」に該当するかを精査します。また、コンプライアンス担当者が「助言の質を監督できる十分な知識」を有しているかもヒアリングの焦点となります。
登録申請書の受理・審査(理財第7課 & 関東財務局)
投資助言業特有の「契約締結前交付書面」の雛形が厳しくチェックされます。報酬体系(固定・成功報酬)が明確か、クーリングオフの規定が正しく記載されているかがポイントです。
営業保証金の供託確認
登録完了後、営業を開始する前に「500万円」の営業保証金を供託(または供託に代わる契約の締結)し、その届出を東京財務事務所に行う必要があります。このプロセスを経て初めて「登録業者」として活動可能になります。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
投資助言業の監督は、主に「広告」と「契約トラブル」の監視に重点が置かれます。
オフサイト・モニタリング(東京財務事務所 理財第7課)
業者がウェブサイトやSNS、YouTube等で行っている勧誘活動を随時チェックします。特に「株価2倍確定」といった断定的な判断の提供や、過去の成功例だけを強調する「誇大広告」は、ヒアリングや改善指導の対象となります。
変更登録・届出の審査(理財第7課)
投資助言業者の多くは小規模な組織であるため、役員(特にコンプライアンス担当役員)の変更届出が頻繁に発生します。後任者が前任者と同等以上の能力・経験を有しているかが確認のポイントです。
苦情・紛争解決体制の監視
証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)等に寄せられる苦情件数や内容が当局に共有されます。トラブルが急増している業者に対しては、理財第7課から臨時のヒアリングが行われます。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
投資助言業の検査は、一種や二種のような「財務数値」よりも、提供された「情報の根拠」と「書面の交付状況」を精査します。
一般検査(東京財務事務所 理財第7課:監督担当官)
「オン・オフ一体」運用の下、日頃モニタリングを担当している官がオフィスへ入ります。具体的には、「助言の帳簿(いつ、誰に、どんな根拠で、何を助言したか)」の記録を抽出検査し、契約締結前交付書面が漏れなく交付されているかを突合します。
金商法事案の検査(証券取引等監視委員会:SESC)
投資助言業を隠れ蓑にした「相場操縦(風説の流布)」や、組織的な無登録業者との提携などが疑われる場合、SESCが直接検査に入ります。特にSNSでの煽り行為が市場に影響を及ぼしているケースでは、SESCの市場監視機能と連携した検査が行われます。
実務上の着眼点
多くの業者が「業務方法書(社内規程)」を雛形通りに作成していますが、検査では「実際にその規程通りに広告審査が行われた記録(チェックリスト等)」があるか、形式的ではない運用実態が厳しく問われます。
7. 行政処分の「役割分担と執行プロセス」 (Administrative Actions)
投資助言・代理業者に対する行政処分は、発見された違反の性質に基づき、現場を管轄する事務所、処分の原案を作成する財務局、そして最終的な判断を統括する金融庁が連携して進めます。
まず、処分の原因となる事実関係の確定(証拠固め)は、日常的なモニタリングや立入検査を行う東京財務事務所(理財第7課)、または重大案件であれば証券取引等監視委員会が担当します。ここで収集された「誇大広告の証拠」や「重要事項の不実表示」に基づき、関東財務局(理財部 証券監督部門)が行政処分の原案を作成します。投資助言業において最も頻繁に発出される「業務改善命令」については、金融庁長官から権限委任を受けた関東財務局長の名義で執行されます。
一方で、悪質な勧誘行為や虚偽の登録などが発覚し、より重い処分である「業務停止命令」や「登録取消し」を検討する場合、実務の主戦場は金融庁本庁(監督局 証券課)に移ります。本庁は、他業態や全国の処分事例とのバランス、投資家保護への影響を総合的に判断し、処分の最終的な量刑を決定します。
実際の執行にあたっては、関東財務局が対象業者に対して「弁明の機会(聴聞)」を付与し、反論や改善の意志を確認するプロセスを設けます。最終的に、関東財務局長名義で「行政処分通知書」が交付され、その内容は速やかに公式サイトで公表されます。投資助言業は「信用」が最大のアセットであるため、この公表は事実上の営業継続を困難にするほどの大きな社会的制裁としての意味を持ちます。
【プロ向けファンド適格機関投資家等特例業務】金融庁・関東財務局
・東京財務事務所の「誰が何を担当するのか」完全ガイド
(序章)
こんにちは。金融商品取引法(金商法)専門の行政書士です。
現在、ファンド組成や投資事業の立ち上げを検討されている皆様の中には、「適格機関投資家等特例業務(少人数私募)」というスキームにたどり着いた方が多いのではないでしょうか。第二種金融商品取引業の「登録」に比べてハードルが低いとされるこの「届出」制度ですが、「届出だから簡単だ」「役所に書類を出せば終わり」と考えていると、思わぬ落とし穴にはまります。
なぜなら、皆様が対峙することになる「金融当局」は一枚岩ではなく、「ルールを作る本庁」「窓口となる財務事務所」「実態を監視する財務局・委員会」と、役割が複雑に分かれているからです。
私が日々、申請の現場で担当官と折衝を行う中で痛感するのは、「相手(担当部署)の役割を正しく理解していないと、審査や事後監督で話が噛み合わない」ということです。
「新しいファンドの相談はどこにすればいいのか?」
「届出書類は誰が審査するのか?」
「サービス開始後、誰が検査に来るのか?」
これらの問いに対する答えは、実は一般の第二種業者とは少し異なります。特に特例業務の場合、窓口は東京(湯島)でも、実質的な監督権限はさいたま新都心(関東財務局本局)が握っているケースが多いなど、管轄のねじれが存在します。
本記事では、皆様がこれから足を踏み入れる金融行政の世界地図を、業務のフェーズ(1〜7)に合わせて整理しました。
ご提示いただいた資料にある「ゲートキーパー」としての審査部門から、最も恐れるべき「犯則調査」の部隊まで。現場の行政書士だからこそ知る、適格機関投資家等特例業務における「真のカウンターパート」を解き明かしていきます。
それでは、ビジネスのライフサイクルに沿って、各担当部署の顔ぶれを見ていきましょう。
適格機関投資家等特例業務届出業者の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の担当部署
本記事では、適格機関投資家等特例業務(以下、特例業務)を行う届出業者が関与する行政機関の担当部署について、業務フロー順(1〜7)に解説します。登録が必要な第二種金融商品取引業とは異なり、特例業務特有の管轄部署が存在するため注意が必要です。
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
〜法改正情報の早期キャッチアップと制度の骨組み策定〜
本領域は、主に金融庁本庁の「企画市場局」が所管します。特例業務業者が遵守すべき法律やルールの「大枠」はここで決まります。
担当部署:金融庁本庁・企画市場局 市場課(市場企画管理官室)
役割: 金融商品取引法(金商法)の改正や、特例業務に関する政令・内閣府令の策定・改訂を行う制度設計の核心部署です。プロ向けファンドの範囲(適格機関投資家の定義)や、一般投資家の出資制限等のルールはここで起案されます。
業者視点: 法律だけでなく、実務上の指針となる「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の策定も行います。この指針の改正案をチェックすることで、将来的な当局の指導方針を予測することが可能です。
担当部署:金融庁本庁・総合政策局 秘書課(管理・公表担当)
役割: 業界からのパブリックコメント(意見公募)の受付・公表を統括します。
業者視点: 届出様式の変更や行為規制の厳格化に際し、業界団体を通じて、あるいは直接意見を表明する際の窓口となります。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
〜市場の公正性確保と不正事案の摘発〜
本領域は、金融庁の外部局である「証券取引等監視委員会(SESC)」と、その指揮を受ける「地方財務局(関東財務局等)」が連携して担当します。
担当部署:証券取引等監視委員会 事務局 証券検査課
役割: 特例業務業者に対する検査の企画・立案を行います。特に、多数の一般投資家(特例一般投資家)が関与するファンドや、社会的問題となっているスキームの検査を主導します。
担当部署:関東財務局 証券取引等監視官
役割: 特例業務業者にとっての実動部隊です。SESCの指揮の下、実際に業者の事務所へ立ち入り、帳簿書類の検査(オンサイト検査)を実施します。
業者視点: 分別管理の不備、名義貸し、虚偽の届出などが発覚した場合、ここでの検査結果が行政処分へと直結します。
担当部署:証券取引等監視委員会 事務局 特別調査課
役割: 裁判所の令状に基づく強制調査(いわゆるガサ入れ)を行い、悪質な金商法違反(無登録営業や詐欺行為)について検察庁への刑事告発を目指します。
3. 法令解釈の「照会対応・届出実務」 (Filing & Consultation)
〜日常的な届出・相談と新規ビジネスの適法性確認〜
特例業務業者にとって最も接点が多い「日常の窓口」は財務局であり、高度な判断が必要な場合のみ本庁が対応します。
担当部署:関東財務局 理財部 証券監督第3課(または東京財務事務所 証券・金融検査課)
役割: 特例業務業者の直接の監督窓口です。
業者視点: 新規の届出(第20号様式)、変更届出、毎期の事業報告書の提出先はすべてここです。実務上の疑問点や、届出書等の記載方法についての相談を行う「一次窓口」となります。
担当部署:金融庁本庁 監督局 証券課
役割: 監督行政の総本山です。財務局で判断が難しい「法令解釈」の最終判断や、ノーアクションレター(法令適用事前確認手続)の正式回答書を作成します。
業者視点: 極めて特殊なスキームを組成する場合、財務局経由でこの部署の解釈を仰ぐことになります。
担当部署:金融庁本庁 総合政策局 フィンテック参事官室(FinTechサポートデスク)
役割: セキュリティトークン(ST)やDAOを活用したファンドなど、先端技術を用いた新規ビジネスが特例業務の枠組みで実施可能か等の相談窓口です。
4. 金融ライセンスの「新規登録・届出」(Licensing & Notification)
〜実務への影響: 形式審査の厳格化と「受理=適法」ではない点への注意〜
特例業務は「届出」制度ですが、昨今の投資家保護の観点から、記載事項の不備(特に欠格事由や適格機関投資家の実体)については非常に厳格にチェックされます。
担当部署(東京財務事務所 理財第8課):
東京都内に本店を置く業者の「受付窓口」: 東京都内の事業者の届出書(様式第20号等)の直接の提出先です。担当官による対面(または郵送・電子的方法)での形式審査が行われます。
補足: 以前に比べ、届出書の受理前における事前相談(形式的な記載内容の確認)のウェイトが高まっており、書類が完全に整わない限り「受理」されない運用が定着しています。
担当部署(関東財務局 理財部 証券監督第3課):
管轄および海外業者の直接対応: 埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県に本店を置く業者、および海外業者の届出を直接担当します。
実質的な審査基準の策定: 東京財務事務所が受理した届出データは全て本局(さいたま)に集約されます。特例業務の「公表」リストの管理や、受理の可否に関わる重要判断の協議先は、常にこの第3課となります。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」(Supervision & Monitoring)
〜実務への影響: 「届けて終わり」ではない、継続的な当局との接点〜
特例業務届出業者に対する監督機能は、関東財務局(本局)に完全に集約されています。東京財務事務所は、原則として受理後の日常的なモニタリングには関与しません。
担当部署(関東財務局 理財部 証券監督第3課):
事業報告書の集中精査: 毎年提出される事業報告書に基づき、オフサイト・モニタリングを実施します。特に「一般投資家の人数(49人以下)」「適格機関投資家の継続性」「分別管理の有無」をデータベース上で峻別し、異常値があれば即座にチェックが入ります。
報告徴求命令(法第63条の6): 疑義が生じた際、公式な文書による報告(プログレスレポートや証憑の提出)を求める主体です。
担当部署(関東財務局 理財部 統括証券監査官):
重大案件の検討: 証券監督第3課と連携し、法令違反の疑いが濃厚な案件について、行政処分に向けた調査や証拠固めのリーディングを行います。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
〜実務への影響: 法令遵守の「実態」を丸裸にするプロセス〜
特例業務届出者への検査は、登録業者(二種業等)に比べ、投資家保護上のリスクが高いと判断された場合に集中的に実施される傾向にあります。
担当部署(証券取引等監視委員会(SESC)事務局 証券検査課):
大規模・悪質案件の検査: 広域的な被害が想定される案件や、悪質なスキーム(ポンジ・スキーム疑い等)の検査を主導します。
担当部署(関東財務局 理財部 証券検査官):
地域密着型・機動的検査: SESCの指揮下、または財務局独自の判断により、特例業務届出者への立入検査を実施します。
実務上のポイント:
「第13条書面(契約前書面)」および「第14条書面(契約締結時書面)」の交付状況は、必ずチェックされます。
また、広告等における「利回り保証」や「断定的判断の提供」の有無についても、メール履歴やパンフレットを基に徹底的に精査されます。
7. 行政処分 (Administrative Sanctions)
〜役割分担:勧告、処分の検討、そして発出〜
特例業務届出業者に対する行政処分のプロセスでは、金融庁、証券取引等監視委員会(SESC)、関東財務局が密接に連携しますが、実際の処分権限の多くは金融庁長官から財務局長へ委任されています。
まず、証券取引等監視委員会(SESC)が立入検査の結果、重大な法令違反を認めた場合、金融庁長官および財務局長に対して「行政処分を行うよう勧告」を出します。この勧告が処分の事実上のトリガーとなります。
次に、処分の内容(業務改善命令、業務停止命令、あるいは業務廃止命令)を具体的に検討するのは、関東財務局(理財部)です。関東財務局は、SESCからの勧告内容を精査し、聴聞(業者側の弁明を聞く手続)等の法的プロセスを経て、最終的な処分案を作成します。なお、社会的な影響が極めて大きい事案や、前例のない法的解釈を伴う事案については、金融庁(企画市場局・監督局)と密接に協議を行い、全国的な監督方針との整合性が図られます。
最終的に、特例業務届出業者に対する「行政処分(法第63条の5に基づく命令)」の行政文書は、関東財務局長の名義で発出されます。東京都内に本店がある業者であっても、処分を下すのは窓口である東京財務事務所長ではなく、任命権や監督権限を有する関東財務局長であるという点が、組織上の重要な役割分担です。処分の事実は、金融庁および関東財務局のウェブサイトで速やかに公表され、市場からの退場や社会的信用の失墜という極めて重い結果をもたらします。
海外投資家等特例業務金融ライセンス取得の最初の壁、「誰が担当なのか?」
をクリアにする
(序章)~金融庁・関東財務局・東京財務事務所の役割分担と実務の歩き方~
これから金融商品取引業、とりわけ昨今注目を集める「海外投資家等特例業務(Article 63-9)」での参入をご検討中の事業者様にとって、最初のハードルとなるのが「金融行政の複雑な組織構造」です。
「金融庁に相談すればいいのではないか?」
「届出書はどこに持っていけばいいのか?」
実は、金融行政は巨大な組織であり、それぞれの役割が細分化されています。特に、皆様が日々向き合うことになる現場の窓口は、霞が関の「金融庁本庁」ではなく、「関東財務局(さいたま新都心)」や、その出先機関である「東京財務事務所(湯島)」であることが大半です。
しかし、いざ手続きを進めようとしても、ウェブサイト上の組織図だけでは「どの部署が、自分のビジネスの何を審査するのか」が見えてきません。特にこの「海外投資家等特例業務」は、通常のライセンスとは異なる専管部署(証券監督第2課や理財第7課など)が担当しており、窓口を間違えるだけで相談がスムーズに進まないことも珍しくありません。
本記事では、数多くの金融ライセンス申請を支援してきた行政書士の視点から、法令の企画立案から日々の監視、そして万が一の行政処分に至るまで、「誰が、どの権限で、何を担当しているのか」を実務の流れに沿って徹底解説します。
審査官が何を重視しているのか、その「視点」を知るためには、相手の「所属と役割」を正しく理解することが最短のルートです。本記事が、皆様の金融ビジネス参入における確かな「羅針盤」となれば幸いです。
海外投資家等特例業務届出業者の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の担当部署
本記事では、海外投資家等特例業務(金融商品取引法第63条の9)を行う事業者にとって、金融行政の各機関がどのような役割を担っているかを、業務の流れに沿って解説します。
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
担当部署:金融庁 企画市場局(および総合政策局)
企画市場局 参事官室等: 海外投資家等特例業務の創設(2021年施行)や、その後の制度見直しを立案します。例えば、届出要件の緩和や、投資家範囲の定義などはここで決まります。
総合政策局 国際課: 海外当局との調整窓口です。海外特例業者の多くは海外に母体があるため、IOSCO等の国際基準が日本の国内法にどう反映されるかを管理します。
ポイント: 届出業者としては、法改正の動向を追う際、企画市場局が公表する「金融審議会」の報告書をチェックすることが、将来の規制予測に繋がります。
2. 現場の「監督・届出事務」 (Supervision)
担当部署:関東財務局 理財部 / 東京財務事務所 理財第7課・第8課
東京財務事務所 理財第7課: 東京都内に主たる事務所を置く「海外投資家等特例業務届出業者」の直接の窓口です。新規の届出受理、変更届(住所変更や役員変更など)のチェック、毎年の事業報告書の受理を担当します。
関東財務局(本局)証券監督第3課: 日本国内に事務所を持たず、海外から直接届出を行う業者の窓口となります。
役割の詳細: 「監督指針」に基づき、業者が適切に勧誘を行っているか、分別管理がなされているか等について、必要に応じて「報告徴求命令」を発出します。いわゆる「日常的なモニタリング」の主役です。
3. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
担当部署:証券取引等監視委員会 (SESC)
検査部門(証券検査官): 財務局の監督部門とは異なり、数年に一度(あるいは問題発生時)に「臨検検査」にやってきます。海外特例業者の場合、運用の実態があるか、届出た投資家以外の者に勧誘していないか等を厳しくチェックします。
市場分析審査課: ファンドを通じた株価操縦やインサイダー取引がないか、市場データを分析しています。
3.1. 法令解釈・参入支援 (Inquiry & Support)
担当部署:金融庁 拠点開設サポートオフィス / 監督局 証券課
新規参入や新しいビジネスモデルの適法性を確認する窓口です。
拠点開設サポートオフィス (Financial Market Entry Office):
海外の資産運用業者が日本に進出する際、英語で相談・届出ができるワンストップ窓口です。金融庁と関東財務局が共同で運営しており、海外特例業者が最初に接触すべき部署です。
監督局 証券課:
金商法全体の監督方針を策定します。個別の業者の指導は財務局が行いますが、業界全体の解釈を統一する「監督指針」の作成や、重要なノーアクションレターへの回答作成(実質的な判断)はここが行います。
4. 金融ライセンスの「新規届出・審査」(Notification & Screening)
~ビジネス開始のゲートキーパー対応~
本業務は形式上「届出」ですが、海外マネーの呼び込みと投資家保護を両立させるため、実質的には登録に近い厳格な「事前確認」が行われます。
ワンストップ窓口(拠点開設サポートオフィス):
海外の資産運用業者が新規参入する場合、まず接触するのは金融庁と関東財務局が共同設置した「拠点開設サポートオフィス(Financial Market Entry Office)」です。ここでは英語による事前相談・届出が可能です。
担当部署の特定:
東京都内に拠点がある場合: 東京財務事務所 理財第7課
海外拠点のみ(国内事務所なし)の場合: 関東財務局 証券監督第2課
実務上のポイント: 海外特例業務では「主要な投資家が海外投資家であること」や「国内居住者が関与する場合の限定的な要件」など、属性確認が極めてテクニカルです。届出書のドラフト段階で、投資家(LP)の構成図や契約書の雛形をベースに、要件を満たしているか「理財第7課(またはサポートオフィス)」と執拗に調整を行うプロセスが、実質的な「審査」となります。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」(Supervision & Monitoring)
~定期報告と法令遵守状況の監視~
届出後のモニタリングは、審査を担当した部署が引き続き担当する「一気通貫」の体制がとられています。
オフサイト・モニタリング(日常の監視):
毎事業年度終了後3ヶ月以内に提出する「事業報告書」に基づき、東京財務事務所 理財第7課(または本局2課)が分析を行います。海外特例業者の場合、特に「分別管理の実施状況」や「海外投資家への情報開示」が適切か、電話や面談、書面照会を通じてチェックされます。
変更届出の重要性:
海外の親会社(届出者)の役員変更や、ファンドの追加・償還に伴う変更届出も、同部署が受理します。海外の役員変更は現地の登記との兼ね合いで遅れがちですが、日本の金商法上の期限(原則2週間以内)を遵守させるべく、厳しい指導が行われます。
事故届・不祥事対応:
サイバー攻撃による情報漏洩や、運用上のミス(コンプライアンス違反)が発生した際の第一報を入れる先もここです。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
~事業継続を左右する最大の山場~
海外特例業務届出業者に対しては、「監督部門による検査」と「SESCによる検査」の二段構えとなります。
監督部門による検査(モニタリング):
東京財務事務所 理財第7課(または本局2課)の担当官が、日常の監督の延長としてオフィスに立ち入ります。これは「業者の実態を深く知る」ための対話重視の検査ですが、不適切な実態が見つかれば行政処分に繋がります。
証券取引等監視委員会(SESC)による検査:
より重大な懸念がある場合や、大規模なファンドを運営している場合、SESCの証券検査官が検査に入ります。海外特例業者の場合、海外の親会社との資産の混蔵がないか、名目上の届出になっていないか(実体があるか)が厳しく問われます。
実務上のポイント:
特に「海外投資家等」の定義を外れた勧誘が行われていないか、金融商品取引契約の締結前交付書面の整備状況など、日本のローカルルールへの適応状況が主要なチェックポイントとなります。
7. 金融庁・関東財務局・東京財務事務所の「行政処分」(Administrative Actions)
~誰が処分を決定し、誰が命令を下すのか~
処分プロセスは、「認定・勧告」と「執行」で役割が分かれています。
勧告(SESC):
立入検査で重大な違反が見つかった場合、証券取引等監視委員会(SESC)が金融庁長官(および財務局長)に対して行政処分を行うよう「勧告」を出します。
処分の決定・執行(関東財務局):
勧告に基づき、実際の「業務停止命令」や「業務改善命令」などの行政処分を行うのは、関東財務局長です。
聴聞・弁明の手続き: 処分を下す前の法的な手続きは、関東財務局 理財部(証券監督第2課など)が事務を執り行います。
処分の公表:
処分内容は関東財務局および金融庁のウェブサイトで公表されます。海外特例業者の場合、処分の事実が海外の規制当局(SECやFCA等)へ共有されるリスクもあり、グローバルなレピュテーションに直結します。
改善報告のフォローアップ:
処分後の改善報告書の提出先は、再び東京財務事務所 理財第7課となり、再発防止策が定着するまで月次での報告を求められるなど、厳しい監視下に置かれます。
資金移動業の審査は誰が担当?金融庁・関東財務局・東京財務事務所の
「3層構造」と役割分担
(序章)
これから資金移動業のライセンス取得をご検討中の事業者の皆様、こんにちは。金融法務を専門とする行政書士です。
FinTechビジネスの急速な拡大に伴い、「送金機能」を持つサービスを立ち上げたいというご相談が急増しています。
しかし、いざ参入を検討し始めた際、多くの経営者様や担当者様が最初に直面し、そして誤解しやすい壁があります。
それは、「結局、誰が審査をして、誰が許認可を出すのか?」という行政の管轄問題です。
「金融事業だから、霞が関の金融庁に行けばいい」と思っていませんか?
実は、東京都内に本店を置く企業の場合、実務の最前線となるのは金融庁本庁ではなく、湯島にある「東京財務事務所」です。さらに、形式上の権限はさいたま新都心の「関東財務局」が持ち、ルールの策定は霞が関の「金融庁」が行うという、非常に複雑な「三層構造」になっています。
この役割分担を正しく理解していないと、「誰に何を相談すべきか」を間違え、申請プロセスが長期化したり、的外れな対策で時間を浪費したりすることになりかねません。
本記事では、数多くの申請実務に携わってきた行政書士の視点から、教科書的な組織図ではなく、「審査を突破するために知っておくべき、行政機関のリアルな役割分担」について解説します。どの部署が皆様のビジネスの「生殺与奪の権」を握っているのか、その内情を紐解いていきましょう。
資金移動業者の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の担当部署
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
総合政策局 企画課(信用制度参事官室):
FTSPの視点: 資金決済法の「法律」および「政令・内閣府令」の起案者です。現在は「一律のレギュレーション」から、送金金額に応じた「1種・2種・3種」の区分管理や、ステーブルコイン(電子決済手段等取扱業)との棲み分けなど、ビジネスモデルの根幹を規定するルールを策定します。
監督局 総務課(または該当各課):
FTSPの視点: 法律をどう運用するかを定めた「事務ガイドライン(資金移動業者向け)」の改訂を担当します。業者にとっては、法律そのものよりも、このガイドラインの解釈変更の方が日々のオペレーションに直結します。
総合政策局 国際課:
FTSPの視点: トラベルルール(送金時の顧客情報通知)など、FATF基準に基づく国際的な規制を国内に持ち込む際の調整役です。海外送金を取り扱う業者にとっては、最も注視すべき部署です。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
総合政策局 リスク分析総括課(資金決済モニタリング室):
FTSPの視点: 業者から提出される「疑わしい取引の届出」の統計分析や、業界全体のマネロンリスク評価(国別評価書など)を作成します。
関東財務局 理財部 金融監督官(および金融検査官):
FTSPの視点: 実務上の「監視・執行」の主役です。定期的なオフサイト・モニタリング(ヒアリング)や、数年に一度のオンサイト検査(立ち入り検査)を実施します。法令違反が発見された場合の「業務改善命令」などの行政処分は、財務局が金融庁の権限委任を受けて(あるいは共同で)執行します。
証券取引等監視委員会 (SESC):
FTSPの視点: 資金移動業者が「実質的に投資(有価証券の売買)」と見なされるスキーム(例:運用益を分配するようなウォレット)を無登録で行った場合には、市場の公正性を守る観点から調査対象となります。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (Inquiry & Innovation)
総合政策局 フィンテック参事官室(FinTechサポートデスク):
FTSPの視点: 「この新しい送金サービスは、そもそも資金移動業の登録が必要か?」という入口の相談先です。まだ登録を受けていないスタートアップにとっての主戦場です。
監督局 決済等金融会社室(旧:金融会社室):
FTSPの視点: 既に登録済みの業者が、新特約の追加やシステム変更を行う際の、法令解釈の最終確認先です。ノーアクションレターの回答もここが作成します。
関東財務局 理財部(登録担当課):
FTSPの視点: 最も重要な実務上のパートナーです。登録申請書の事前照会(実質的な審査)はここで行われます。金融庁本庁が「一般論」を回答するのに対し、財務局は「その業者の個別具体的な運用」が法令に適合しているかを判断します。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
東京財務事務所 理財第5課(実質的な審査主体):
FTSPの視点: 審査官との「事前相談(通称:予備審査)」が最重要です。単に書類を出すだけでなく、ビジネスモデルを口頭で説明し、「供託金(履行保証金)の準備ができるか」「AML/CFTの体制は十分か」を厳しく問われます。審査官によって重視するポイントが異なるため、担当官とのコミュニケーションが登録までの期間(通常1年〜1.5年)を左右します。
関東財務局 理財部(金融監督第6課):
FTSPの視点: 登録証の発出元です。また、マネーロンダリング対策に関して、警察庁への「欠格事由照会」など、他省庁との連携窓口となります。東京事務所で審査が通っても、ここでの最終決裁で追加質問が来ることも稀にあります。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
東京財務事務所 理財第5課:
FTSPの視点: 毎年および四半期ごとの「報告書(資金移動業務に関する報告書など)」の提出先です。特に「履行保証金の算定」に誤りがあると致命的(法令違反に直結)なため、計算根拠を細かくチェックされます。
事故報告: システム障害やサイバー攻撃、個人情報漏洩が発生した場合、まず電話で第一報を入れる先もここです。初動の対応(報告の迅速さ)が後の処分判断に大きく影響します。
関東財務局 理財部:
FTSPの視点: 業界全体の動向把握。例えば、新しい詐欺手法が流行した場合などに、「注意喚起」の発信元となります。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
東京財務事務所(検査・監督一体チーム):
FTSPの視点: 以前は「検査局」という別組織が来ていましたが、現在は日頃の報告を受けている担当者が直接オフィスに来るケースが多いです。そのため、「普段の報告内容と、実際の現場運営に乖離がないか」が最大の焦点となります。
業務方法書の遵守: 登録時に提出した「業務方法書(社内規程)」が法律と同等の重みを持ちます。「規程に『1日1回チェックする』と書いてあるのに、実際は週1回だった」という運用不備が最も典型的な指摘事項です。
関東財務局(検査総括課等):
FTSPの視点: 組織的な不正や、大規模なガバナンス欠如が疑われる場合、さいたま本局から経験豊富な検査官が加わります。これが来ると「業務停止命令」も視野に入った厳しい検査になります。
7. 行政処分 (Administrative Actions)
東京財務事務所:
FTSPの視点: 処分に向けた「証拠集め」の場です。事業者に対して「弁明の機会(ヒアリング)」を設定し、事実関係の確認を行います。
関東財務局:
FTSPの視点: 処分の「量刑」を決める主体です。他社事例と比較して「業務改善命令」にするか、より重い「業務停止命令」にするかの最終判断を下します。処分のプレスリリースは関東財務局のウェブサイトに掲載されます。
金融庁 総合政策局:
FTSPの視点: 全国の財務局で処分の基準がバラバラにならないよう、裏側で調整を行います。特に「第1種資金移動業」などの社会的影響が大きい業者の処分は、金融庁が主導権を握ります。
第三者型発行者を目指す事業者へ。金融庁・財務局・財務事務所の
「誰が何をするのか」を完全解剖
(序章)
Web3やフィンテックの急速な進展に伴い、ステーブルコイン(電子決済手段)の発行ビジネスなど、新たな金融領域への参入を検討される企業様が増えています。しかし、いざ事業化に向けて動き出した際、多くの経営者様や担当者様が最初に直面するのが、「結局、誰に何を相談すればよいのか」という、行政組織の複雑な壁です。
「新しいビジネスモデルだから、霞が関の金融庁本庁に相談に行くべきか?」
「実際の審査はどこで行われ、誰が許可のハンコを押すのか?」
この「宛先」を読み違えると、たらい回しにされたり、形式的な予備相談だけで数ヶ月を浪費してしまったりすることも珍しくありません。
日本の金融行政には、ルールの設計図を描く「本庁(金融庁)」、広域を管轄する「財務局(関東財務局)」、そして実務の最前線を担う「財務事務所(東京財務事務所)」という、明確かつ厳格な「役割分担(レイヤー)」が存在します。
特に、東京都内に拠点を構える事業者様にとって、実質的な審査の決定権を持つ「現場の担当部署(キーマン)」を正確に把握することは、ライセンス取得の最短ルートを歩むための必須条件と言えます。
本記事では、数々の金融ライセンス申請を支援してきた行政書士の視点から、第三者型発行者等の登録を目指す事業者が絶対に知っておくべき、当局の「機能」と「役割分担」について解説します。行政の構造(ブラックボックス)を正しく理解し、戦略的な折衝を行うための羅針盤としてご活用ください。
第三者型発行者(電子決済手段発行者等)における金融庁・財務局の担当業務と役割分担
電子決済手段(ステーブルコイン)の発行などを行う「第三者型発行者」等の資金決済法関連ビジネスにおいて、規制当局の役割は複層的です。ルールの策定を担う「金融庁(本庁)」、独立した監視権限を持つ「証券取引等監視委員会」、そして日々の登録審査や監督を行う「関東財務局・東京財務事務所」の役割を正しく理解することが、円滑な実務の第一歩となります。
以下に、業務フェーズごとの具体的な担当部署と役割を解説します。
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
~法改正情報の早期キャッチアップとルールの策定~
新しいビジネスモデルに対する法整備は金融庁本庁が担いますが、第三者型発行者が注視すべきは「資金決済法」の改正と、それに伴う「内閣府令」および「事務ガイドライン」の改訂です。
法案・政令・内閣府令の作成:
担当:総合政策局 企画課(および決済担当参事官室)
詳細: 第三者型発行者に直接関わる資金決済法(前払式支払手段)の制度設計を行います。近年では「高額電子移転可能型」の導入など、AML/CFT対策(マネロン対策)に伴うルール策定がここで行われます。
パブリックコメントの実施:
担当:総合政策局 企画課(実務担当)/秘書課(公表窓口)
詳細: 秘書課はあくまで公表の管理窓口です。実務上、業界団体(日本資金決済業協会等)を通じて出される意見に対し、「考え方(パブコメ回答集)」を執筆するのは「企画課」や「決済担当参事官室」の専門官です。この回答集は「事務ガイドライン」の解釈を補完するため、実務担当者にとってのバイブルとなります。
国際金融規制対応:
担当:総合政策局 国際課
詳細: FATF(金融活動作業部会)による対日相互審査の結果を受けた規制強化(AML/CFT等)の窓口となります。第三者型発行者も、国際基準に基づく本人確認(KYC)の厳格化などの影響をここで受けます。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
~実務的な監督・検査の主役は「財務局」~
「証券取引等監視委員会(SESC)」は主に「金商法(証券)」を対象とするため、前払式支払手段(決済)のみを扱う第三者型発行者の場合、主たる監督権限は「財務局」にあります。
日常的なモニタリング・監督:
担当:関東財務局 理財部 金融監督官(金融監督第6課等)
詳細: 第三者型発行者が最も頻繁に接する部署です。四半期ごとの発行報告書(未決済残高の報告等)の受理、供託(発行保証金)の管理、不祥事発生時の届出対応など、「登録」後の継続的な監督を担います。
立入検査:
担当:金融庁 監督局 証券・決済検査官室 / 関東財務局 財務部・理財部(検査担当部署)
詳細: 数年に一度行われる現場での「検査」です。以前の検査局は廃止され、現在は監督局内の検査部門や各財務局が連携して実施します。分別管理の状況や、システムリスク管理態勢が厳しくチェックされます。
証券取引等監視委員会(SESC)の役割:
詳細: 第三者型発行者が「セキュリティトークン(ST)」などの有価証券性を有するスキームを兼業する場合にのみ、SESCの監視対象となります。一般的なプリペイドカードやポイント事業のみであれば、上述の財務局による監督がメインです。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (No-Action Letter & Innovation Hub)
~新規ビジネスの適法性確認と規制のサンドボックス~
ここでの主役は、金融庁本庁の「決済システム課」と、最前線の「財務事務所」です。
FinTechサポートデスク(新規ビジネス相談):
担当:総合政策局 総務課(フィンテック参事官室)
詳細: 登録前や新サービス検討時の「最初の壁」です。ビジネスモデルが「前払式支払手段」に該当するのか、「銀行業」や「資金移動業」の免許が必要なのかといった区分けについて、非公式な相談に乗ってくれます。
ノーアクションレター(法令適用事前確認手続):
担当:監督局 決済システム課
詳細: 第三者型発行者(資金決済法)に関する正式な照会先です。ここで出される回答は公表され、業界全体のルール形成に寄与します。
登録申請および一般的な照会:
担当:東京財務事務所(理財第5課など) / 関東財務局 理財部
詳細: 東京都内に本店を置く企業が「第三者型発行者」の登録申請を行う際の直接の窓口は「東京財務事務所」(または関東財務局理財部)になります。登録要件(資産要件や体制整備)の審査を行い、最終的に「関東財務局長」の名で登録されます。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
~実務への影響:ビジネス開始のゲートキーパー対応~
担当部署の詳細:
東京財務事務所 理財第5課: 前払式支払手段(第三者型)の登録窓口です。実務上は、同課内の「決済担当」の係が主担当となります。
審査の重点ポイント:
システムリスク管理態勢: 近年、最も審査が厳格化している領域です。外部委託先(システム開発会社等)の管理態勢や、サイバーセキュリティ対策が事務ガイドラインに適合しているか、詳細な説明資料を求められます。
AML/CFT態勢(マネロン対策): スキーム(例:他店でも使える高額チャージ可能な電子マネー等)によっては、資金移動業並みの本人確認(KYC)や疑わしい取引の届出態勢が整っているか厳しくチェックされます。
発行保証金の供託スキーム: 未決済残高の2分の1以上を供託する仕組み(または発行保証金保全契約)が、経理処理を含めて確実に実行できるかが精査されます。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
~実務への影響:定期報告と法令遵守状況の監視~
担当部署: 東京財務事務所 理財第5課
モニタリングの実務内容:
四半期報告(発行報告書): 第三者型発行者特有の義務として、3月、6月、9月、12月の各末日時点の未使用残高を報告します。これに基づき「供託不足」が生じていないかがリアルタイムで監視されます。
オフサイト・モニタリング(ヒアリング): 年1回程度、財務状況やビジネスモデルの変化についてヒアリングが行われます。特に「加盟店管理(アクワイアリング業務)」を伴う場合、加盟店に対する調査・指導体制が維持されているかが問われます。
認定資金決済業協会との連携: 「一般社団法人日本資金決済業協会」を通じた自主規制遵守状況も、財務局の監督判断に影響を与えます。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
~実務への影響:事業継続を左右する最大の山場~
担当部署(実施主体): 東京財務事務所 理財第5課(検査担当)
実務上の留意点:
オン・オフ一体の弊害と利点: 日頃の監督担当(5課)が検査官を兼ねるため、過去の相談内容や提出済みの報告書との「整合性」が厳しく見られます。「以前のヒアリングでの回答と、実際の帳簿が違う」という指摘が最も致命的です。
外部委託先への調査: 第三者型発行者がシステムの運用を外部に丸投げしている場合、委託先に対しても(間接的に)厳しい資料提出要求がなされることがあります。
資産の分別管理(最も重要): ユーザーからの預り金(発行保証金の対象となる未決済残高)が、会社の固有財産と混蔵されていないか、通帳や仕訳データに基づき徹底的に突合されます。
7. 行政処分の「役割分担」 (Administrative Actions)
~実務への影響:業務改善命令等の発動プロセス~
事実認定と原案作成(東京財務事務所):
検査の結果、「法令違反」または「利用者保護に欠ける態勢」が見つかった場合、まずは5課が「報告徴求命令(資金決済法54条)」を出し、事業者側に弁明の機会を与えつつ事実関係を固めます。
処分の判断と決定(関東財務局 理財部):
理財部 金融監督官: 東京財務事務所の上位組織である「さいたま新都心」の本局が、過去の他社事例と照らし合わせ、処分の量定(改善命令で済むか、停止命令が必要か)を決定します。
金融庁(本庁)との調整:
監督局 決済システム課: 前払式支払手段に関する全国的な政策判断を担います。「新しい決済スキームでの初の行政処分」など、業界全体へのメッセージ性が強い事案については、本庁が主導して処分内容を調整します。
自家型前払式支払手段の届出実務――金融庁・関東財務局・東京財務事務所の
「役割分担」と「担当部署」
【序章】金融ライセンス取得の第一歩は「相手を知る」ことから
~自家型前払式支払手段における、金融庁・財務局・財務事務所の“実務的”な役割分担~
近年、リピーターの確保やキャッシュフローの改善を目的として、独自の電子マネーやポイントアプリ(自家型前払式支払手段)を導入する企業が急増しています。しかし、ビジネスが順調に拡大し、未使用残高が「1,000万円」を超えた瞬間、そのサービスは単なるマーケティングツールから、資金決済法という厳格な法律によって規律される「金融サービス」へと変貌します。
この「1,000万円の壁」を超えた事業者に課されるのが、行政への「届出」義務です。
ここで多くの経営者様や担当者様が最初に直面するのが、「結局、誰が審査の決定権を持っているのか?」という疑問です。「金融庁」という言葉はニュースでよく耳にしますが、実際の現場では「関東財務局」や、さらには「東京財務事務所」といった組織名が飛び交います。この複雑な多層構造こそが、金融行政の大きな特徴であり、申請者にとっての最初のハードルとなっています。
実は、東京都内に本店を置く事業者様の場合、実務の最前線となるのは霞が関の金融庁本庁ではなく、湯島にある「東京財務事務所」です。
スムーズな届出受理と、その後の安定した事業運営のためには、これら行政機関がそれぞれ「どのような権限」を持ち、「どの部署」が我々のカウンターパート(交渉相手)になるのかを正確に把握しておくことが不可欠です。いわば、審査というフィールドにおける「地図」を持つことと同義です。
本稿では、金融ライセンス実務を専門とする行政書士の視点から、教科書的な組織図ではなく、「現場で誰が何を見ているのか」という実務に即した視点で、自家型発行者届出における金融庁・関東財務局・東京財務事務所の役割分担を徹底解説します。
それでは、法改正の源流から、日々の審査、そして万が一の処分に至るまでの「行政の業務フロー」を見ていきましょう。
自家型前払式支払手段届出における金融庁・関東財務局・東京財務事務所の担当業務と役割分担
本記事では、東京都内に本店を置く事業者が、自家型前払式支払手段(いわゆるハウス電子マネーやポイント等)の発行を行い、基準額(未使用残高1,000万円)を超過した場合に必要となる「届出」実務について、当局側の業務フローと担当部署を解説します。
1. 金融行政の「企画・立案」(Rule-making)
~法改正情報の早期キャッチアップとルールの策定~
この領域は、主に金融庁本庁の「総合政策局」および「監督局」が所管しています。自家型発行者が依拠すべき「資金決済に関する法律(資金決済法)」の改正案や、それに伴う政令・内閣府令は、金融庁本庁においてドラフトされます。
具体的には、「総合政策局 企画課」が法制度の全体設計を担い、「監督局 決済システム課」が資金決済法の実務的なルール作りや事務ガイドライン(第三分冊:前払式支払手段発行者関係)の策定・改正を主導します。ステーブルコインやデジタルマネーといった新しい決済手段への対応についても、これらの部署が連携して規制の枠組みを起案します。また、業界団体からのパブリックコメント(意見公募)の実施や、それに対する回答作成、審査実務上の重要解釈の決定も、監督局の各担当課が主導して行います。
さらに、「総合政策局 国際課」等は、国際的な金融規制基準の策定に関与しており、これらの動向は将来的な国内の資金決済制度にも反映されます。
2. 市場の「監視・監督・法執行」(Supervision & Enforcement)
~適切な業務運営の確保と行政処分~
自家型前払式支払手段発行者に対する直接的な監視・監督は、金融庁「監督局 決済システム課」の指揮の下、主たる事務所の所在地を管轄する「財務局(関東財務局等)」および「財務事務所(東京財務事務所等)」が実務を担います。
「関東財務局 理財部」等の担当部署では、提出された発行者届出書や報告書の審査、供託状況の確認を行い、未届発行の把握や発行実態のモニタリングを実施します。法令違反や利用者保護上の懸念が生じた場合、財務局による「立入検査」が実施されることがあります。また、財務事務所は、地域に密着した窓口として届出書の受理や日常的なモニタリング、指導を行います。
重大な法令違反(発行停止命令に従わない場合や供託義務違反等)が認められる場合には、金融庁本庁(監督局)と財務局が連携し、業務停止命令や登録取消(届出の場合は発行停止命令等)などの行政処分を決定し、法執行を行います。証券取引等監視委員会(SESC)は、主に有価証券取引を対象とするため、自家型前払式支払手段においては、金融商品取引法と交錯する特殊なケースを除き、基本的には各財務局の監督部門がその役割を担います。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」(No-Action Letter & Consultation)
~新規ビジネスの適法性確認と規制のサンドボックス~
新規ビジネスが「自家型前払式支払手段に該当するか否か」等の判断や法令解釈の確認については、金融庁本庁と財務局が連携して対応します。
まず、FinTech関連のビジネスモデルに関する一次相談窓口として、金融庁「総合政策局 フィンテック参事官室(FinTechサポートデスク)」が、新技術を活用した案件の入り口としての役割を果たします。
具体的な法令適用事前確認手続(ノーアクションレター)を利用する場合、資金決済法の解釈権限を持つ「監督局 決済システム課」が、正式な回答書の作成・公表を行い、ビジネスの適法性を担保します。一方、個別具体的な事業内容に基づく実務的な相談や届出要否の確認については、管轄の「関東財務局 理財部(金融監督部門)」や「東京財務事務所」が事前相談を受け付け、本庁と協議の上で回答を行います。一般的なウェブサイト等からの照会についても、本庁の各担当課が調整を行い回答します。
4. 金融ライセンスの「新規届出・審査」(Licensing & Screening)
~実務への影響: ビジネス開始のゲートキーパー対応~
東京都内に本店(主たる事務所)を置く自家型発行者の場合、金融庁長官から権限の委任を受けた「関東財務局長」、さらに事務委任を受けた「東京財務事務所」が実質的な窓口となります。
担当部署: 東京財務事務所 理財第5課(前払式支払手段・資金移動業等担当)
実務の要点: 基準日(3月末・9月末)において、未使用残高が1,000万円を超えた場合、その翌日から2ヶ月以内に「発行届出書」を提出する必要があります。理財第5課は、提出された届出書について、形式上の不備や欠格事由の有無を審査します。
「登録」ではなく「届出」事項ですが、事業スキームが資金決済法の定義(代価証券性、発行者等への請求権、払戻しの原則禁止等)に合致しているか、発行保証金の供託(資産保全)の計画が適正か等、厳格な確認が行われます。
審査過程で生じた特殊な法的解釈や、新規性の高いビジネススキームの該非判定については、同課を通じて関東財務局(理財部)や金融庁本庁(監督局 決済システム課)へ照会・協議がなされる体制となっています。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」(Supervision & Monitoring)
~実務への影響: 定期報告と法令遵守状況の監視~
届出受理後、継続的な監督を行うのは「オン・オフ一体」の監督体制に基づき、東京財務事務所が中心となります。
担当部署: 東京財務事務所 理財第5課
実務の要点:
オフサイト・モニタリング: 自家型発行者には「発行に関する報告書」等の定期的な提出義務があります。理財第5課はこれらを受理し、未使用残高の推移や供託状況を監視します。また、リスクの芽を早期に発見するため、必要に応じてヒアリングが実施されます。
変更・事故対応: 届出事項(氏名、商号、事業所の所在地等)に変更があった際の変更届出の審査、および重大な法令違反やシステム障害等が発生した際の「事故報告」の受理・内容確認も同課が担当します。
6. 既存業者の「立入検査」(On-site Inspection)
~実務への影響: 事業継続を左右する最大の山場~
金融行政の方針転換(検査・監督の一体化)により、現在は監督部門が主体となって検査を実施します。
実施主体: 東京財務事務所 理財第5課(検査・監督担当官)
実務の要点:
自家型発行者に対する検査は、原則として東京財務事務所の担当官が実施します。事務所に立ち入り、帳簿、システム、社内規程の整備・運用状況、会議議事録等を精査します。
重点チェック項目は、発行保証金の計算の正確性と供託の適時性(資産保全)、および利用者の情報の安全管理措置、苦情処理体制の構築です。
ただし、マネー・ローンダリング対策(AML/CFT)の不備が疑われるケースや、大規模な消費者被害の懸念がある事案等においては、関東財務局 理財部(さいたま本局)の専門チームや金融監督官が主導、あるいは合同で深度ある検査を行う体制となっています。
7. 行政処分の「役割分担」(Administrative Action)
~金融庁・関東財務局・東京財務事務所の権限関係~
法令違反(供託義務違反、報告義務違反等)が認められた場合、行政処分のプロセスは以下の3層構造で進行します。
事実認定・証拠収集(東京財務事務所 理財第5課):
現場での検査・モニタリングを通じて、処分の基礎となる違反事実を特定し、証拠資料を積み上げます。事業者に対する報告徴求(法37条)や弁明の機会の付与に関する事務手続きを実務レベルで進めます。
処分決定・発令(関東財務局 理財部):
行政処分の決定権限は「関東財務局長」にあります。東京財務事務所からの報告に基づき、関東財務局 理財部が処分の妥当性と量定(業務改善命令、発行停止命令等)を最終判断し、命令書を発出します。
高次判断・調整(金融庁本庁):
社会的な影響が極めて大きい事案や、新しい法的解釈を伴う処分、あるいは登録業者(第三者型)に関連する波及効果が懸念される事案については、金融庁本庁(監督局)と密接に協議・調整が行われます。
暗号資産交換業の登録申請、あなたの「真の交渉相手」は誰か?
金融庁・関東財務局の役割分担と審査攻略の地図
(序章)
「画期的なWeb3ビジネスを立ち上げたい。しかし、規制の壁がどこにあるのか見えない」
暗号資産交換業への参入を検討される経営者様から、最初によくいただく相談です。金融ビジネス、特に暗号資産(仮想通貨)の領域は、技術革新のスピードが速く、それを取り巻く法規制も極めて複雑です。
ライセンス取得の準備を進める中で、多くの事業者が最初に直面するのが、「結局、誰が我々を審査し、誰を説得すればよいのか?」という疑問です。
金融庁(霞が関)なのか、関東財務局(さいたま新都心)なのか、それとも東京財務事務所(湯島)なのか──。この「管轄と役割」を正確に把握していないと、相談先を間違え、貴重な時間を浪費することになりかねません。
特に注意すべきは、暗号資産交換業の場合、一般的な貸金業や投資助言業とは異なり、東京都内の企業であっても「東京財務事務所」ではなく、「関東財務局本局」が直接の審査窓口になるという点です。ここを誤解している実務解説書も少なくありません。
本記事では、金融ライセンス実務の最前線に立つ行政書士が、金融庁・証券取引等監視委員会・関東財務局の複雑な「役割分担」を解き明かします。
ルールを作る「企画」、市場を睨む「監視」、そして皆様と直接対峙する「登録・監督」。それぞれの部署が持つ権限と視点を理解することは、登録審査という難関を突破し、その後の安定した事業運営を実現するための最短ルートとなります。
それでは、金融行政の舞台裏と、実務上の攻め所を順を追って見ていきましょう。
暗号資産交換業者の金融庁・関東財務局・東京財務事務所の担当部署と役割分担
1. 金融行政の「企画・立案」(Rule-making)
~法令・事務ガイドラインの策定と国際基準への対応~
本領域は金融庁本庁が所管し、業者が遵守すべきルールそのものを設計します。交換業者は、改正内容が「事務ガイドライン」にどう落とし込まれるかを注視する必要があります。
法案・政令・内閣府令の起案:
金融庁 総合政策局 総合政策課(および暗号資産・イノベーション担当参事官室)
「資金決済法」や「金融商品取引法」の改正案を策定します 。ステーブルコインやDeFi、DAO等の新技術に対する法的枠組みのドラフトはここで行われます。
事務ガイドライン(監督指針)の策定・解釈指針の提示:
金融庁 監督局 決済業務等担当参事官室(旧:決済システム課)
法令を実務に適用するための具体的な基準である「事務ガイドライン(暗号資産交換業者編)」を策定します。業者が日々のコンプライアンスで最も参照する指針であり、実質的な規制の運用ルールを決定します。
国際金融規制(FATF等)の国内適用:
金融庁 総合政策局 国際課(およびリスク分析総括課)
FATF(金融活動作業部会)によるトラベルルールの要請などを、日本の規制としてどう実装するかを検討し、国内業者への適用方針を決定します。
2. 市場の「監視・法執行」(Market Surveillance & Enforcement)
~取引の公正性確保と悪質な違反への対応~
市場の透明性を保つため、独立した権限を持つ「証券取引等監視委員会(SESC)」が担当します。
取引審査(相場監視):
証券取引等監視委員会 事務局 市場監視課
交換業者から提供される売買データを分析し、相場操縦(見せ板、仮装売買、パンプ・アンド・ダンプ等)や、不自然な価格形成を監視します。
開示検査(IEOおよび関連上場企業):
証券取引等監視委員会 事務局 開示検査課
IEO(Initial Exchange Offering)を実施する発行体の財務状況や、暗号資産を扱う上場企業の有価証券報告書等に虚偽記載がないかを検査します。
犯則調査(強制調査):
証券取引等監視委員会 事務局 特別調査課
裁判所の令状に基づくガサ入れを行い、市場の公正性を著しく害する事案について、検察庁への告発を目指した調査を行います。
3. 「監督・登録・照会対応」(Supervision, Registration & Consultation)
~実務上の窓口業務と日常的な監督・検査~
交換業者にとって「最も身近な当局」であり、日常業務の報告先となります。金融庁の監督方針に基づき、主に関東財務局およびその下部組織である東京財務事務所が実務を執行します。
登録審査・日常的監督の直接窓口:
東京財務事務所 理財部 監督理財第5課
東京都内に本店を置く業者の「フロントライン(実務窓口)」です。暗号資産交換業や資金移動業の登録申請、月次・年次の事業報告書の受理、事故発生時の不祥事件届出の提出先となります。日常的なヒアリングや業務改善に向けた対話も、主にこの課が担当します。
広域監督および重要案件の審査:
関東財務局 理財部 金融監督官(暗号資産交換業担当)
関東財務局全体(東京財務事務所を含む)を統括し、大規模な登録審査や重要事案における金融庁本庁との調整、管轄地域の業者全体の監督方針の策定を担います。
立ち入り検査の執行:
金融庁 総合政策局 検査局(または関東財務局 財務部 統括証券検査官等)
業者の内部管理体制、分別管理、システムリスク、AML/CFT(マネロン対策)の実態を確認するため、オンサイト(実地)での検査を執行します。
法令適用事前確認(ノーアクションレター)・FinTech相談:
金融庁 監督局 決済業務等担当参事官室 / 総合政策局 フィンテック参事官室
新規ビジネスや新銘柄の取り扱いが規制対象かどうかの公式な照会に対応します。特に新技術を用いた案件は、まず「FinTechサポートデスク」が相談の入口となります。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」(Licensing & Screening)
~実務への影響: ビジネス開始のゲートキーパー対応~
暗号資産交換業の登録審査は、他の決済サービスと比較して高度な専門性が求められるため、金融庁本庁(監督局)と関東財務局(本局)が主導権を握ります。東京都内に本店を置く業者の場合、窓口は東京財務事務所となりますが、実質的な審査・判断は本局および本庁が並行して行います。
事前相談・事業計画の精査:
東京財務事務所 監督理財第5課 & 関東財務局 理財部 金融監督官(暗号資産担当)
東京都内に本店がある業者の最初の相談窓口は、東京財務事務所です。事業スキームが資金決済法上の「暗号資産」や「電子決済手段」に該当するか、人的構成(コンプライアンス、システム管理態勢)が事務ガイドラインを満たしているかの一次的な確認が行われます。
登録申請書の受理・本審査:
関東財務局 理財部 金融監督官(暗号資産担当)
実質的な審査の司令塔です。400項目以上の質問票(モニタリング・アンケート)への回答、業務方法書、社内規程の整合性を精査します。論点が複雑な場合、ここを経由して金融庁 監督局 決済業務等担当参事官室との三者協議が行われます。
システムリスク態勢・サイバーセキュリティ審査:
金融庁 総合政策局 リスク分析総括課(またはIT専門検査官)
暗号資産特有の技術リスク(コールドウォレット管理、マルチシグの運用、秘密鍵の管理等)については、本庁の専門部署が財務局の審査をバックアップし、技術的な安全性について深度ある確認を行います。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」(Supervision & Monitoring)
~実務への影響: 定期報告と法令遵守状況の監視~
登録完了後、業者の日常的な監督は「オフサイト・モニタリング」を通じて行われます。東京都内の業者は、日々の報告業務の多くを東京財務事務所に対して行います。
日常的な報告徴求・ヒアリング:
東京財務事務所 監督理財第5課
東京都内業者の直接の担当窓口です。月次・四半期・年度ごとの事業報告書の受理や、システム障害・サイバー攻撃発生時の「初動報告」を受け付けます。日常的な経営実態のヒアリングもこのレベルで頻繁に行われます。
重要事案・不祥事件のハンドリング:
関東財務局 理財部 金融監督官 & 金融庁 監督局 暗号資産モニタリングチーム
流出事故や大規模な不祥事が発生した場合、監督の主体は速やかに関東財務局本局および金融庁本庁へとシフトします。原因分析の報告徴求(資金決済法63条の14に基づく命令)や、再発防止策の策定に向けた指導を行います。
変更登録・届出の受理:
東京財務事務所 監督理財第5課(内容により関東財務局)
新規銘柄の取扱い(ホワイトリスト入り)、役員変更、商号変更等の届出・変更登録審査を担当します。特に新銘柄の審査については、JVCEA(日本暗号資産取引業協会)の自主規制審査と並行し、当局による確認が行われます。
6. 既存業者の「立入検査」(On-site Inspection)
~実務への影響: 事業継続を左右する最大の山場~
現在は「監督と検査の一体的運用(オン・オフ一体)」が進んでおり、日常の監督担当官が検査チームに加わるケースが増えています。
総合的な立入検査の実施:
金融庁 総合政策局 検査監理官 & 関東財務局 財務部 統括証券検査官(または金融検査官)
予告(原則)の上、オフィスに数週間滞在して帳簿やブロックチェーン上の資産管理状況、システムセキュリティを精査します。分別管理が適切か(顧客資産の流用がないか)、マネロン対策(AML/CFT)が実効的かを徹底的にチェックします。
金商法事案・不公正取引の検査:
証券取引等監視委員会(SESC) 事務局 証券検査課
暗号資産関連のデリバティブ取引やセキュリティトークン(ST)を取り扱う業者の場合、金融商品取引法に基づく検査が行われます。市場の公正性を損なう行為がないかが主眼となります。
機動的な「緊急検査」:
金融庁 監督局 & 関東財務局
ハッキングによる顧客資産の流出や、経営陣による不正が疑われる場合、事前の予告なく機動的に立入検査が実施されることがあります。
7. 行政処分の「役割分担と決定権限」(Administrative Actions)
~処分の起案・決定と法的手続き~
検査や監督の結果、重大な不備が認められた場合、法令に基づく「行政処分」が下されます。
処分案の起案と事実認定:
関東財務局 理財部 & 金融庁 監督局
東京財務事務所が収集した証拠や立入検査の結果に基づき、関東財務局と金融庁本庁が共同で処分案を起案します。「業務改善命令」から「登録取消」まで、違反の重大性と改善の可能性を評価します。
処分の発出権限(名義人):
関東財務局長(一部、金融庁長官)
資金決済法上の権限委任により、多くの業務改善命令や業務停止命令は「関東財務局長」名義で発出されます。ただし、社会的影響が極めて大きい事案や、登録取消しという「死刑宣告」に近い重い処分については、金融庁長官の指揮のもとで行われます。
不利益処分の聴聞手続き:
関東財務局 理財部(管理課等)
登録取消しなどの重い不利益処分を行う前に、行政手続法に基づき、業者側に反論の機会を与える「聴聞」を実施します。これは監督担当課とは別の独立したラインで公正に進行されます。
生命保険業・代理店開業で「迷子」にならないために。
金融庁・関東財務局・東京財務事務所の『役割と管轄』を専門行政書士が徹底解説
(序章)
「生命保険代理店として独立したい」「InsurTech(インシュアテック)で少額短期保険業に参入したい」――。
そう志したとき、皆さんはまず、どこの役所に相談へ行こうと考えますか?
多くの方がニュースでよく耳にする「金融庁(霞が関)」をイメージされますが、実は東京都内の事業者にとって、それが「最初の落とし穴」になってしまうことがあります。
日本の金融行政は、役割分担が非常に厳格かつ複雑です。「ルールの決定(立法)」は金融庁、「実際の審査や監督(行政)」は財務局、さらに東京都内の現場実務であれば財務事務所……というように、事業のステージや規模によって「向かうべき窓口」は全く異なります。
特に、実務の最前線である「東京財務事務所(湯島)」の存在と権限を知らずに、いきなり本庁へ問い合わせてしまい、担当部署のたらい回しに合って時間を浪費してしまうケースは後を絶ちません。
そこで本記事では、日々これらの役所と許認可の折衝を重ねている金融専門の行政書士が、生命保険業・保険代理店業における「行政の地図」を明確に整理しました。
審査をスムーズに進め、最短距離でライセンスを取得するためには、まず「誰が、何の権限を持っているのか(誰を説得すべきなのか)」を正しく把握することが第一歩です。
それでは、金融行政の「頭脳」である金融庁から、「手足」として現場を指揮する財務事務所まで、その全貌を実務的な視点で見ていきましょう。
生命保険業・保険代理店業における金融庁・関東財務局・東京財務事務所の担当部署と実務
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
~法改正情報の早期キャッチアップとルールの策定~
本領域は、主に金融庁 総合政策局および監督局 保険課が所管します。生命保険業界に甚大な影響を与える「経済価値ベースのソルベンシー規制(ESR)」の導入や、保険業法の改正案などは、ここで立案・決定されます。
金融庁 総合政策局(総務課・政策立案室)
金融行政の指針となる「金融行政方針」の策定や、組織横断的な法整備(金融サービス仲介業の創設等)を主導します。パブリックコメントの最終的な管理や、業界全体に跨る制度設計の司令塔を担います。
金融庁 監督局 保険課(および保険モニタリング室)
生命保険会社に特化したルールの策定を担います。特に2025年度からの「経済価値ベースのソルベンシー規制(ESR)」の正式導入に向けた告示・監督指針の改正作業は、保険課内の「保険モニタリング室」が中心となって実務を牽引しています。
金融庁 総合政策局 国際室
IAIS(保険監督者国際機構)における国際的な資本基準(ICS)の策定プロセスに参画します。日本の生保各社の国際競争力や規制の整合性を確保するため、グローバルなルール形成の最前線で交渉を行います。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
~特定保険商品等の販売・勧誘ルールの監視と現場監督~
本領域は、金融庁による大手生保の直接監督と、財務局・財務事務所による募集現場の監督、および証券取引等監視委員会(SESC)による市場監視の三層構造となっています。
証券取引等監視委員会(SESC) 市場分析審査課・開示検査課
巨大な機関投資家である生命保険会社による不公正取引(インサイダー取引等)の監視や、上場生保(第一生命HD、T&D HD等)の有価証券報告書の審査・開示検査を担当します。
金融庁 監督局 保険課
国内大手生命保険会社(いわゆるG-SIIsやD-SIIs含む)の本社に対する直接的なオフサイト・モニタリングおよびオンサイト検査(立入検査)の権限を持ち、経営の健全性やガバナンスを監視します。
関東財務局 理財部(検査監督第3課)および 東京財務事務所(理財第3課)
「現場の募集行為」に対する監督の主軸です。東京財務事務所(理財第3課)は、都内に所在する膨大な数の生命保険募集人(外務員)や代理店に対する指導・監督、不祥事発生時の報告徴求、および少額短期保険業者の監督を実務レベルで担当します。変額保険等の苦情が増加した際のモニタリングもここが起点となります。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (No-Action Letter & Innovation Hub)
~InsurTech等の適法性確認と新領域への対応~
新たなテクノロジーやビジネスモデル(健康増進型保険やP2P保険等)が既存の保険業法に抵触しないか、迅速に判断・回答する領域です。
金融庁 総合政策局 フィンテック参事官室(FinTechサポートデスク)
InsurTechを活用した新規事業を検討するスタートアップや生保会社からの一次相談窓口です。新サービスが「保険業」に該当するか否か、あるいは「サンドボックス制度」の適用が可能か等の戦略的な相談に応じます。
金融庁 監督局 保険課
「ノーアクションレター制度(法令適用事前確認手続)」の主管部署です。例えば「保険料の割引が特別利益の提供(業法300条)に該当するか」といった具体的な法的解釈について、最終的な公式見解を作成・公表します。
関東財務局・東京財務事務所
主に募集人登録や個別の代理店運営に関する法令解釈、または行政手続上の実務的な照会に対応します。現場に近い視点でのコンプライアンス相談や、災害時の金融上の措置(保険料払込猶予の要請等)の窓口機能も果たします。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
~実務への影響:ビジネス開始のゲートキーパー対応~
生命保険業においては、参入形態(保険会社、少額短期保険業者、保険代理店)によって審査の主導部署が明確に分かれています。
金融庁 監督局 保険課(保険モニタリング室)
【対象:生命保険会社(免許制)】
生命保険業の免許審査を直接担当します。資本金(10億円以上)、基礎的財産、事業計画の妥当性、および役員の適格性を厳格に審査します。外資系生保の日本支店設立や、異業種からの生保参入の際の窓口もここになります。
関東財務局 理財部 検査監督第3課 / 東京財務事務所 理財第4課
【対象:少額短期保険業者(登録制)】
東京都内に本店を置く少額短期保険業者の登録審査は、実務上、東京財務事務所(理財第4課)が中心となって「予備審査」から対応します。事業計画、供託金の確保、システムリスク管理態勢が主な審査項目です。
東京財務事務所 理財第4課(保険代理店担当)
【対象:保険代理店・募集人(登録制)】
東京都内に所在する保険代理店の登録事務を担います。特に、法人代理店において「適切な募集管理体制(教育・指導体制、苦情処理等)」が構築されているか、内部規程のチェックを含めた審査を行います。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
~実務への影響:定期報告と法令遵守状況の監視~
登録・免許取得後の日常的な監督(オフサイト・モニタリング)は、リスクの規模に応じた分担がなされています。
金融庁 監督局 保険課(保険モニタリング室)
【対象:主要生命保険会社】
国内大手生保および外資系生保に対し、経済価値ベースのソルベンシー規制(ESR)に基づく健全性モニタリングや、資産運用リスクの把握、顧客本位の業務運営(FD)の定着状況を監視します。
東京財務事務所 理財第4課
【対象:少額短期保険業者・中小規模の保険代理店】
事業年度ごとに提出される「事業報告書」の精査を行います。不祥事案が発生した際の「保険業法第128条に基づく報告徴求(報告命令)」の起案、および改善状況のフォローアップを担当する、現場の監督主幹部署です。
関東財務局 理財部 検査監督第3課
【対象:広域保険代理店(複数財務局に跨がる代理店等)】
複数の都県にまたがって多店舗展開する、いわゆる「大型乗り合い代理店」など、影響力の大きい業者に対して、東京財務事務所と連携しながら横断的なモニタリングを行います。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
~実務への影響:事業継続を左右する最大の山場~
現在は「監督と検査の一体化」により、各部署に配置された検査官が、監督上の着眼点に基づき立入検査を実施します。
金融庁 監督局 保険課(検査チーム)
【対象:生命保険会社(本体)】
生保本社のガバナンス、リスク管理、保険金支払い管理態勢等を対象とした大規模な立入検査を主導します。
関東財務局 理財部(金融検査官)
【対象:大規模な保険代理店・少額短期保険業者】
東京都外にも拠点を持つ等、規模が大きく複雑な運営を行う業者に対し、関東財務局本局から検査官が派遣されます。意向把握義務の履行状況や、比較推奨販売のルール遵守、個人情報保護の態勢を重点的に検査します。
東京財務事務所 理財第4課(検査・監督担当官)
【対象:都内所在の保険代理店】
都内に拠点を置く中小規模の代理店に対し、抜き打ちを含む現場検査を行います。高齢者への販売記録や手数料の不当な還元がないか等、募集現場の実態を精査します。
7. 行政処分 (Administrative Actions)
~違反発覚時の事後対応と役割分担~
立入検査や不祥事報告によって重大な違反が認められた場合、行政処分のプロセスへと移行します。
東京財務事務所 理財第4課(事実認定・処分原案)
現場監督を通じて得た証拠に基づき、処分の前提となる事実関係の認定(証拠固め)を行い、処分の必要性に関する「原案」を起案します。
関東財務局 理財部(審査・調整・決定)
東京財務事務所から上がってきた処分原案に対し、過去の処分事例との公平性(量定の妥当性)を審査します。保険代理店の「業務停止命令」や「登録取消し」は、関東財務局長の権限において決定・発出されます。
金融庁 監督局 保険課 / 総合政策局(法的審査)
生命保険会社(本体)への処分(業務改善命令、業務停止命令等)を決定します。また、財務局が行う重要な処分案件についても、法令解釈や政策的整合性の観点から最終的な協議・調整を行います。
【損害保険・少額短期保険】事業参入の命運を分ける「管轄」の罠とは?
金融専門行政書士が教える金融庁・関東財務局の歩き方
(序章)
新たなビジネスの柱として、損害保険業や少額短期保険業への参入、あるいは保険代理店としての独立をご検討中の事業者様へ。
皆様がビジネスモデル(事業計画)を練り上げるのと同様に、あるいはそれ以上に重要なのが、「誰が皆様の審査を行い、誰が許認可のハンコを押すのか」という行政の地図を正確に把握することです。ここを誤解したままスタートすると、事前相談の段階で思わぬ迷路に迷い込むことになります。
実は、私が日々取り扱っている暗号資産交換業や第二種金融商品取引業(ファンド組成等)の案件では、東京都内の事業者様の場合、湯島にある「東京財務事務所」が実務の最前線となります。 しかし、皆様が目指される「保険業」の世界は、これとは全く異なるルートを辿ります。
保険業においては、たとえ都内の事業者であっても、原則として東京財務事務所ではなく、さいたま新都心にある「関東財務局(本局)」、あるいは規模によっては霞が関の「金融庁(本庁)」が直接の交渉相手となります。この「管轄の違い」を知らずに湯島へ足を運んでも、門前払いとなってしまうのです。
本記事では、皆様がこれから対峙することになる行政機関の役割を、「企画・監視・審査・監督」という4つのフェーズに分けて解説します。審査のゲートキーパーとなる担当部署を正確に理解し、最短ルートでライセンスを取得するための「行政の歩き方」を共に確認していきましょう。
損害保険業における金融庁・関東財務局・東京財務事務所の担当業務解説
本記事では、損害保険会社、少額短期保険業者、および保険募集人(代理店)に関わる行政対応について、金融庁および管轄財務局の役割分担を解説します。なお、損害保険分野においては、都内の事業者であっても東京財務事務所(湯島)ではなく、関東財務局(さいたま新都心)が直接の窓口となる点が、他の金融業態と大きく異なります。
1. 金融行政の「企画・立案」 (Rule-making)
~損害保険制度の設計と法令・ガイドラインの策定~
本領域は、主に金融庁本庁が所管します。損害保険市場全体の安定性と、消費者保護を両立させるためのルール構築を行います。
総合政策局 総務課(および企画・調整関連部署)
役割: 保険業法および関連法令の改正案の起案。
詳細: 「金融審議会」等の答申を踏まえ、大規模な制度変更(例:再保険規制の見直し、経済価値ベースのソルベンシー・マージン比率の導入等)の骨子を策定します。
監督局 保険課
役割: 「損害保険会社向けの監督指針」の策定・改正。
詳細: 法令を実務に落とし込むための具体的な監督基準を策定します。事故対応の適切性、保険金支払管理体制、大規模災害時の業務継続計画(BCP)など、損害保険特有の実務課題に直結する指針を立案します。
総合政策局 総務課(パブリックコメント担当)
役割: 意見公募手続の実施と「考え方」の公表。
詳細: 改正案に対して損害保険協会や各社から寄せられた意見を集約し、当局の公式な解釈(考え方)を公表します。これは将来的な検査・監督における重要な解釈指針となります。
2. 市場の「監視・法執行」 (Market Surveillance & Enforcement)
~公正な取引の確保と不祥事・不適切事案の摘発~
上場損害保険会社やそのグループ会社、および市場取引全般の透明性を確保するため、以下の部署が連携します。
証券取引等監視委員会(SESC) 事務局
市場監視課: 上場している大手損害保険株等の取引を監視し、インサイダー取引や相場操縦の有無をチェックします。
開示検査課: 損害保険会社の有価証券報告書や四半期報告書を精査し、不適切な会計処理や重要な情報の虚偽記載がないか検査します。
特別調査課: 悪質な金融商品取引法違反に対し、強制調査権限を用いて犯則事件の調査を行い、検察官への告発を視野に入れた活動を行います。
金融庁 監督局 保険課
役割: 大手損害保険会社および外資系損害保険会社等に対するオフサイト・モニタリングおよびオンサイト検査の指揮。
詳細: 業務改善命令や業務停止命令といった行政処分を下す権限を持ちます。
関東財務局 理財部(金融監督部門)
役割: 地域密着型の損害保険会社や、少額短期保険業者に対する直接の監督・検査。
詳細: 本庁が大手を見るのに対し、管内の特定業者に対しては財務局が検査・指導の主体となります。
3. 法令解釈の「照会対応・明確化」 (No-Action Letter & Innovation Hub)
~ビジネスの適法性確認と相談窓口の多層化~
新規ビジネス(InsurTech)の展開や、具体的な法令適用に関する相談は、企業の規模や内容に応じて以下の窓口が担当します。
総合政策局 フィンテック参事官室(FinTechサポートデスク)
役割: 損害保険×テクノロジーの新事業に関する一次相談。
詳細: 埋込型保険(Embedded Insurance)やAIを活用した査定システムなど、既存の枠組みに当てはまりにくいビジネスモデルが保険業法上の「保険業」に該当するか等の相談を受け付けます。
監督局 保険課
役割: ノーアクションレター制度(法令適用事前確認手続)の主管。
詳細: 照会者からの具体的な事実関係に基づき、当該行為が保険業法等の規制対象となるかについて、法的な拘束力を伴う正式な回答を作成・公表します。
関東財務局 理財部 検査指導官 / 東京財務事務所
役割: 保険代理店や少額短期保険業者からの法令解釈・実務照会。
詳細: 損害保険募集人(代理店)の登録や、勧告等に関する日常的な相談窓口です。特に東京財務事務所は、東京都内に所在する膨大な数の損害保険代理店に対する実務的な指導・照会対応を担うフロントラインとしての機能を果たします。
4. 金融ライセンスの「新規登録・審査」 (Licensing & Screening)
~ビジネス開始のゲートキーパー対応~
損害保険業に関する免許・登録の権限は、事業形態や規模により明確に区分されています。特に保険代理店については、実務の窓口が東京財務事務所へ委託されている点が重要です。
金融庁 監督局 保険課
対象: 損害保険会社(免許制)
役割: 損害保険業の「免許」審査を担当します。資本金10億円以上の確保、収支見込みの妥当性、大株主の適格性、および「他業禁止」等の法的要件を厳格に審査します。
関東財務局 理財部 金融監督第四課
対象: 少額短期保険業者(登録制)
役割: 本店が管内(1都10県)にある事業者の登録審査を担当します。保険金額(損害保険分野では1,000万円以下等)や保険期間(2年以内)の制限、および供託金制度の遵守状況を確認します。
東京財務事務所 財務第1課(保険募集係)
対象: 損害保険代理店(登録制)
役割: 東京都内に本店を置く保険代理店の新規登録・更新・届出受理を担当します。関東財務局長から権限を委任されており、膨大な数の代理店審査を行う実務上のフロントラインです。
5. 既存業者の「モニタリング・監督」 (Supervision & Monitoring)
~定期報告と法令遵守状況の継続的な監視~
免許・登録後の監督は、定期的な報告徴求やヒアリングを通じたオフサイト・モニタリングを中心に行われ、各事業者のリスクを早期に把握・発見することを目的としている。
まず、大手損害保険会社については、金融庁監督局保険課が所管し、主としてソルベンシー・マージン比率による財務健全性の確保状況、適切な保険金支払管理体制の整備・運用状況、再保険戦略の妥当性、ならびに経営陣の関与や内部統制を含むガバナンス体制を重点的にモニタリングしている。
次に、少額短期保険業者は関東財務局金融監督第四課が管轄し、純資産維持要件を中心とした財務健全性の確保状況に加え、業務方法書や約款等の法令・規程の遵守状況、苦情対応を含む顧客保護体制の整備・運用状況が重点的な監督対象となっている。
また、損害保険代理店については、東京財務事務所(管内)が監督を行い、顧客の意向把握義務および情報提供義務が適切に履行されているかどうか、さらに委託元である保険会社による指導・管理が実効的に行われているかといった点を中心にモニタリングが実施されている。
6. 既存業者の「立入検査」 (On-site Inspection)
~実務への影響:オン・オフ一体型監督の実施~
現在は監督部門が検査機能を兼ね備える「オン・オフ一体型」の監督体制となっており、損害保険特有の業務プロセスを深く検証します。
金融庁 監督局 保険課(検査担当)
損害保険会社への検査: 複雑化した損害査定プロセスや、ITシステムのリスク管理、海外拠点を含めたグループ全体のコンプライアンス体制を検証します。
関東財務局 理財部 金融調整官 / 金融監督第四課
少額短期保険業者・大規模代理店への検査: 資産の分別管理(保険料と自己資金の混同がないか)や、募集人の教育体制を検証します。特に「乗合代理店(複数社の商品を扱う代理店)」における比較推奨販売の適切性は重点事項です。
7. 行政処分の「役割分担と発動」 (Administrative Actions)
~業務停止や登録取消しの判断~
法令違反が認められた際の処分権限は、ライセンスの付与権限と連動しています。
内閣総理大臣 / 金融庁長官
損害保険会社: 免許取消、業務停止命令、業務改善命令等。保険業法第132条等に基づき、金融庁本庁が行政手続を主導します。
関東財務局長
少額短期保険業者・損害保険代理店: 登録取消、業務停止命令等。
プロセス:
事実認定: 東京財務事務所または関東財務局の検査・監督担当が違反事実を整理。
勧告・起案: 関東財務局本局にて処分案を作成。
弁明・聴聞: 行政手続法に基づき、事業者の言い分を聞く機会を付与。
発動: 関東財務局長名で処分を通知・公告。