ファンド組成と第二種金融商品取引業の全知識|匿名組合・LPSから特例業務、登録要件まで徹底解説
ファンド組成と第二種金融商品取引業の全知識|匿名組合・LPSから特例業務、登録要件まで徹底解説
【行政書士監修】ファンド組成と第二種金融商品取引業の全知識|匿名組合・LPSから特例業務、登録要件まで徹底解説
「新規事業のために、投資家から資金を集めてファンドを作りたい」
「不動産や太陽光発電への投資を小口化して販売したい」
事業拡大のためにこうした「ファンド組成」を検討する際、経営者の皆様が最初にぶつかる大きな壁が「金融商品取引法(金商法)」という法律の壁です。
「どの許可を取ればいいのかわからない」「無登録で勧誘すると逮捕されると聞いて不安だ」——。
そのご不安はもっともです。ファンド規制は非常に複雑で、インターネット上には断片的な情報しかなく、自社のビジネスモデルに当てはめて理解することが難しいためです。
しかし、正しい知識を持ってスキーム(仕組み)を構築すれば、資金調達の選択肢は飛躍的に広がります。
本記事では、金融商品取引業を専門とする行政書士が、「第二種金融商品取引業」の基礎から、実務でよく使われる「匿名組合」「LPS」などのスキーム比較、登録のハードル、そして特例措置(プロ向けファンド)までを網羅的に解説します。
法律用語には噛み砕いた解説を加えていますので、ぜひ最後までお読みいただき、安全で持続可能なファンド事業の第一歩としてお役立てください。
そもそも「第二種金融商品取引業」とは? 基礎知識と法的背景
ファンドを組成・販売する場合、ほとんどのケースで関わってくるのが「第二種金融商品取引業」という金融ライセンスです。
一言で言えば、「流動性の低い(換金しにくい)投資商品」を扱うための免許のようなものです。
なぜ「第二種」と呼ばれるのでしょうか? また、どのような行為をすると登録が必要になるのでしょうか。まずは法的な全体像を整理しましょう。
第一種との違いは? 「みなし有価証券」の概念
金融商品取引法では、取り扱う商品の性質によって、大きく「第一種」と「第二種」に区分されています。
第一種金融商品取引業:
株式、社債、国債など、流動性が高く市場で活発に取引されるものを扱います。主に証券会社がこれに該当します。
第二種金融商品取引業:
ファンド持分、信託受益権など、流動性が低く、第一種以外のものを扱います。
ここで重要になるのが「みなし有価証券」というキーワードです。
株券や国債のように「紙の証券(物理的な券面)」が存在するわけではないけれど、投資としての性質(お金を出して利益の配当を期待する)があるため、「法律上は有価証券とみなして規制をかけよう」というのが「みなし有価証券」の考え方です。
【ここがポイント】
「契約書だけで、券面はないから大丈夫だろう」というのは誤りです。
投資家からお金を集めて事業を行い、その収益を分配する仕組み(集団投資スキーム)であれば、それは「みなし有価証券」であり、取り扱いには原則として第二種金融商品取引業の登録が必要になります。
なぜ登録が必要なのか? 金融商品取引法の目的
「自分たちで信頼できる仲間からお金を集めるだけなのに、なぜ厳しい登録が必要なのか?」と感じる方もいるかもしれません。
金融商品取引法の最大の目的は「投資者保護」です。
特に第二種で扱う「ファンド持分」などの商品は、株式のように公設市場(取引所)での価格が決まっていません。そのため、事業者が「この事業は儲かります」と嘘をついたり、リスクを隠して販売したりすることが容易にできてしまいます。
過去にも、実態のない投資話でお金を集める詐欺的なファンド事件が多発しました。
こうした背景から、金融庁はファンド販売業者に対し、以下のような厳しい義務を課しています。
適合性の原則:顧客の知識や財産に見合った商品を勧めること
重要事項の告知義務:リスクや手数料を正しく説明すること
分別管理義務:集めたお金を自社の資産と明確に分けて管理すること
無登録でファンドの勧誘(募集)を行った場合、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(またはその両方)」という非常に重い刑事罰が科されます。また、一度でも違反すると、その後5年間は登録ができなくなるなど、事業継続に致命的なダメージを受けることになります。
「自己募集」と「媒介・代理」の違い
第二種金融商品取引業の登録が必要な行為には、大きく分けて2つのパターンがあります。ご自身のビジネスがどちらに当てはまるかを確認してください。
1. 自己募集(自ら勧誘するパターン)
自社がファンドの発行者(営業者)となり、自分たちで投資家に対して出資を勧誘する行為です。
多くの事業会社がファンドを組成する場合、この「自己募集」に該当します。自社の商品を売るわけですが、前述の「みなし有価証券」であるため、登録(または特例の届出)が必要です。
2. 媒介・代理(他人のファンドを売るパターン)
他社が組成したファンドを、代わりに投資家に販売・勧誘する行為です。
いわゆる「販売代行」や「証券代理店」のような形です。こちらも当然、第二種金融商品取引業の登録が必要です。
行政書士からのアドバイス
「知人に声をかけるだけなら大丈夫では?」というご相談をよく頂きますが、不特定多数ではなく「特定かつ少数」への勧誘であっても、原則として「募集」に該当し、規制の対象となります。
ただし、相手が「プロ投資家のみ」である場合や、「50人未満の少人数」である場合には、登録よりもハードルの低い「適格機関投資家等特例業務」などの例外措置が使える可能性があります(後述します)。
まずは「原則は登録が必要」という認識を持った上で、自社が使えるスキームを検討していくのが正しい手順です。
【徹底比較】代表的なファンドスキームの種類と特徴
「ファンドを作りたい」と考えたとき、最初に決めなければならないのが「どの『箱(法的スキーム)』を使ってお金を集めるか」という点です。
法律上、ファンドの器(うつわ)にはいくつかの種類があり、それぞれ「投資家の責任範囲」「税金の扱い」「組成の難易度」が異なります。間違ったスキームを選んでしまうと、「投資家が集まらない」「想定外の税金がかかる」「代表者が個人の財産まで借金を背負う」といった事態になりかねません。
ここでは、第二種金融商品取引業の実務で頻繁に使われる代表的な3つのスキーム(匿名組合、任意組合、LPS)について、その違いと選び方を徹底解説します。
1. 匿名組合(TK)|最も一般的で使いやすいスキーム
実務上、最も多くのファンドで採用されているのが、商法第535条に基づく「匿名組合(TK:Tokumei Kumiai)」です。
仕組みと特徴
「営業者(ファンドの運営会社)」と「投資家(匿名組合員)」が1対1で契約を結ぶ形式です。
最大の特徴は、投資家は経営に一切口出しをしない(業務執行権がない)代わりに、会社の名前(商号)も表に出ない「匿名」の存在である点です。
メリット
有限責任: 投資家は、出資した金額以上の責任を負いません。万が一ファンドが倒産しても、追加で借金を背負うリスクがないため、投資家を募りやすいスキームです。
パススルー課税: ファンド段階では課税されず、利益を投資家に分配した後に、投資家個人(または法人)へ課税されます。法人税の二重払いを防ぐことができます。
柔軟な設計: 契約内容を比較的自由に決めることができます。
デメリット
許認可のハードル: 集団投資スキーム持分(みなし有価証券)に該当するため、勧誘には原則として「第二種金融商品取引業」の登録、または特例業務の届出が必要です。
主な活用例
不動産ファンド、太陽光発電ファンド、事業再生ファンド、店舗開業支援ファンドなど。
2. 任意組合(NK)|共同事業の性格が強い
民法第667条に基づく「任意組合(NK:Nini Kumiai)」は、投資というよりも「共同事業」に近い性格を持ちます。
仕組みと特徴
出資者全員が契約当事者となり、原則として全員が業務執行権を持ちます(実際には理事長などに委任することが多いですが、法的な性質は共同事業です)。
不動産の登記などは「組合員全員の共有(合有)」として扱われます。
メリット
現物出資が容易: お金だけでなく、土地や技術などを出し合って組合を作ることが容易です。
登記が不要: 組合自体の法人登記は必要ありません。
直接的な損益通算: 赤字が出た場合、その赤字を投資家の他の所得と相殺(損益通算)できる場合があります(※税制改正により制限されているケースもあるため、税理士への確認が必須です)。
最大の注意点:無限責任
任意組合の最大のリスクは、原則として「無限責任」であることです。
もしファンド事業で巨額の損害賠償や借金が発生した場合、出資者は出資額を超えて、個人の全財産を投げ打ってでも責任を負わなければならない可能性があります。
このリスクがあるため、不特定多数の一般投資家から資金を集める公募ファンドにはあまり向きません。
主な活用例
映画製作委員会、航空機・船舶リース(オペレーティングリース)、一部の不動産共同事業など。
3. 投資事業有限責任組合(LPS)|ベンチャー投資の王道
「投資事業有限責任組合(LPS)」は、ベンチャー企業への投資を促進するために作られた特別法(LPS法)に基づく組合です。
仕組みと特徴
「無限責任組合員(GP)」と「有限責任組合員(LP)」の2種類の役割で構成されます。
GP(ジェネラル・パートナー): ファンド運営を行い、無限責任を負う(通常は運営会社がなる)。
LP(リミテッド・パートナー): お金を出すだけで経営には関与せず、有限責任のみ負う(投資家)。
メリット
登記による信用: 組合自体が法務局に登記されるため、TKやNKよりも対外的な信用力があります。
有限責任の徹底: 投資家(LP)の責任範囲が明確に限定されているため、機関投資家や銀行などからの出資を受けやすい形式です。
デメリット
投資対象の制限: LPS法により、資産の50%以上を株式などの有価証券で運用しなければならないという「50%ルール」等の制限があります。そのため、純粋な不動産ファンドなどには使いにくい(使えない)場合があります。
会計監査: 規模によっては公認会計士による監査が義務付けられます。
主な活用例
ベンチャーキャピタル(VC)、企業再生ファンド(PEファンド)。
4. 有限責任事業組合(LLP)との違いは?
よく似た名前に「LLP(有限責任事業組合)」がありますが、これは基本的にファンドの箱としては使われません。
LLPは「出資者全員が業務を行うこと」が要件となっているため、「お金だけ出して配当をもらいたい」という純粋な投資家(パッシブ投資家)を集めることができないからです。LLPは、専門家同士が組んで事業を行う「ジョイントベンチャー」向けと言えます。
【比較表】TK・NK・LPSの責任範囲と課税関係まとめ
以下は、いただいた表をもとにした 3つの投資スキーム(TK/NK/LPS)の比較説明文の整理版です。
投資スキーム3類型の違い(TK・NK・LPS)
ここまで解説した3つのスキームについて、それぞれの特徴と相違点を整理します。
まず、匿名組合(TK)は商法を根拠とする仕組みで、投資家は出資額を限度とする有限責任です。運営者である営業者は無限責任を負い、組合自体に法人格はありません。課税はパススルー課税が認められ、主に不動産ファンド、再生可能エネルギー投資、事業投資などで広く利用されています。金融商品取引法上は、原則として第二種金融商品取引業の登録が必要です。
任意組合(NK)は民法上の組合契約に基づくスキームで、原則として組合員は無限責任を負います。法人格はなく、課税は構成員課税によるパススルーとなります。映画制作やリース事業、共同事業型の投資など、比較的小規模で参加者の関与が深いプロジェクトに用いられることが多い形態です。こちらも金融商品取引法では第二種金融商品取引業に該当し得ます。
投資事業有限責任組合(LPS)は、LPS法に基づき設立される制度で、有限責任組合員(LP)は出資額までの有限責任、無限責任を負うのは業務執行組合員(GP)です。法人格は持ちませんが、登記が認められている点が特徴です。課税は構成員課税型のパススルー課税が適用され、ベンチャー投資や企業再生など、専門的な投資分野で非常に多く利用されています。金融商品取引法上は、こちらも第二種金融商品取引業の登録が必要です。
行政書士からのアドバイス
どのスキームを採用すべきかは、
「誰から資金を集めるのか(投資家の属性)」
「何に投資するのか(投資対象の特性)」
によって最適解が変わります。
一般投資家から広く集めるなら、リスクの低い「匿名組合(TK)」
ベンチャー企業に投資するなら、法整備された「LPS」
特定のパートナーと共同事業を行うなら「任意組合(NK)」
多くの新規参入事業者様にとって、最も汎用性が高く検討すべきは「匿名組合(TK)」となるケースが大半です。次章では、このファンドを実際に募集するための「登録」と、多くの事業者が関心を寄せる「特例(抜け道)」について解説します。
登録のハードルを下げる「適格機関投資家等特例業務(少人数私募)」とは
ここまで「原則として登録が必要」と解説してきましたが、実際のビジネス現場では「登録のハードルが高すぎて手が出ない」という声が圧倒的です。
そこで多くの事業者が検討するのが、一定の条件を満たすことで登録義務が免除される「適格機関投資家等特例業務(金商法第63条)」という制度です。いわゆる「プロ向けファンド」の特例です。
いわゆる「プロ向けファンド」の仕組み(金商法第63条)
この特例は、「プロ(適格機関投資家)が1人でも入っていれば、あとは少数のアマチュア(一般投資家)からお金を集めても、登録なしでやっていいよ(ただし届出は必要)」というルールです。
具体的には、以下の構成であれば、厳格な「登録」ではなく、比較的簡易な「届出」のみでファンド業務が可能になります。
適格機関投資家(プロ): 1名以上の出資が必要
一般投資家(アマチュア): 49名以下
「登録」には審査があり数ヶ月~1年かかりますが、「届出」は書類が整っていれば受理されるため、スピーディに事業を開始できるメリットがあります。
一般投資家(アマチュア)の要件厳格化(平成27年改正)
「なるほど、プロを1人入れて、あとは友人や親戚49人から集めればいいのか」と思われた方、ここに大きな落とし穴があります。
以前はそのような緩い運用が可能でしたが、トラブルが多発したため、平成27年の法改正で規制が大幅に強化されました。現在は、相手が49人以下であっても、「誰でもいい」わけではありません。
特例業務の対象となる「一般投資家」は、原則として以下のような属性に限られます。
上場会社の役員
資本金5,000万円以上の法人
金融資産が1億円以上あり、かつ投資経験が1年以上ある個人(※詳細な要件あり)
(発行者の役員や親族など、密接な関係者)
つまり、「全くの素人(普通のサラリーマンや主婦など)を広く勧誘することはできない」仕組みになっています。この点を誤解したまま進めると、無登録営業として摘発されるリスクがあります。
特例業務のメリットとデメリット
適格機関投資家等特例業務(いわゆる「特例業務」)は、通常の金融商品取引業登録とは異なり、一定の投資家を対象とすることで規制を大幅に軽減できるスキームです。その特徴は、手続面・コスト面・投資家の範囲・適用される義務の4つに整理できます。
まず、最大のメリットは手続が届出のみで完了する点です。登録のような審査がないためスピード感があり、事業開始までの期間を短縮できます。また、資本金要件や登録免許税が不要であることから、初期費用を抑えてスキームを立ち上げられる点も魅力です。さらに、対象投資家がプロ向けに限定されるため、専門性の高い投資家からであれば資金調達もしやすい傾向があります。加えて、通常の金商業者に課される一部の行為規制が適用除外となり、事業運営の柔軟性が確保される点も利点です。
一方で、デメリットも存在します。まず、届出で開始できるとはいえ、届出後は当局のモニタリングの対象となり、法令遵守が継続的に求められます。また、一般個人から広く資金を集めることはできず、投資家層は適格機関投資家や一定のプロ投資家等に限定されます。さらに、行為規制の一部は適用除外となるものの、分別管理や事業報告書の提出といった重要な義務は必ず履行する必要があり、内部管理体制を整えるためのコンプライアンスコストは避けられません。
このように、特例業務は「プロ投資家向けに迅速かつ低コストでファンド事業を始めたい場合」に非常に有効な手段ですが、投資家の対象範囲や継続的な法令対応を十分理解したうえで活用することが重要です。
行政書士からのアドバイス
特例業務は「登録不要」といっても、決して「無法地帯」ではありません。年1回の事業報告書の提出義務や、分別管理義務は課されます。「簡単にできる」という甘い言葉に乗せられず、本当に出資者が要件(資産1億円以上など)を満たしているか、厳格な確認が必要です。
第二種金融商品取引業の「登録要件」はなぜ厳しいのか
「特例業務では一般個人から集められない。やはり広く出資を募りたい」
その場合、正面から「第二種金融商品取引業」の登録を目指すことになります。
しかし、この登録は建設業や宅建業の許可とは比較にならないほどハードルが高いのが現実です。主に関門となるのは以下の3点です。
1. 人的構成要件(ここが最大の難関)
金融庁(財務局)が審査で最も重視するのが「人」です。単に資格を持っている人がいれば良いわけではありません。
経営陣の知識: 代表者や役員に、金融商品取引業に関する十分な知識と経験があるか。
コンプライアンス・オフィサー(CO)の設置: 営業部門から独立した立場で、社内の法令順守をチェックできる「専任の担当者」が必要です。
COには、証券会社やファンド運用会社での実務経験(数年以上)が求められます。
「社長が兼任」「営業部長が兼任」は認められません。
この「経験豊富なコンプライアンス担当者の採用」ができず、登録を断念するケースが後を絶ちません。
2. 財産的基礎要件
会社としての財務体力も問われます。
資本金: 1,000万円以上であること。
純資産額: 登録時だけでなく、登録後も常にマイナスにならない(債務超過でない)こと。
直近の決算で赤字であっても登録できる場合はありますが、財務基盤が脆弱だと判断されれば拒否事由となります。
3. 社内規程の整備
「業務方法書」をはじめ、数百ページに及ぶ社内規程を作成し、財務局に提出する必要があります。
「投資家のお金をどう管理するか」「苦情が来たらどう対応するか」「反社会的勢力をどう排除するか」など、あらゆる実務フローを文書化し、かつその通りに実行できる体制(オフィス環境含む)を整えなければなりません。
不動産ファンドにおける注意点「不特法」との関係
ファンド組成を検討される方の中で、特に多いのが「不動産への投資」を目的とするケースです。
ここで必ず議論になるのが、「不動産特定共同事業法(不特法)」と「第二種金融商品取引業(金商法)」のどちらの許可を取るべきか、という問題です。
似て非なるこの2つの法律は、管轄も対象も異なります。間違ったライセンス手続きを進めてしまうと、時間と費用を大きく無駄にしてしまいます。
不動産特定共同事業法(不特法)と第二種金商法の棲み分け
判断の基準は非常にシンプルで、「ファンドが何に投資するか」で決まります。
1. 現物の不動産に投資する場合 → 「不特法」
投資家から集めたお金で、ファンド(営業者)が土地や建物を直接購入し、その賃料収入などを配当する場合、これは国土交通省・金融庁が管轄する「不動産特定共同事業法」の許可が必要です。
近年話題の「不動産クラウドファンディング」の多くは、この不特法の許可に基づいて行われています。
2. 信託受益権化された不動産に投資する場合 → 「第二種金融商品取引業」
不動産を直接持つのではなく、一度信託銀行などに信託し、その権利(信託受益権)をファンドが取得する場合、投資対象は「不動産」ではなく「みなし有価証券」として扱われます。
この場合は、金融庁が管轄する「第二種金融商品取引業」の登録が必要です。
どちらのライセンスを取得すべきか?
不動産を扱うファンド事業を検討する際に、多くの事業者が悩むのが 「不動産特定共同事業法(不特法)」 と 「第二種金融商品取引業(第二種)」 のどちらを選ぶべきかという点です。両者は対象とする資産、利用されるスキーム、必要コスト、取得ハードルが大きく異なり、事業の方向性によって最適な選択が変わります。
まず、不特法は現物不動産を直接投資対象とする仕組みで、クラウドファンディング型の小口投資や、小規模な不動産開発案件で多く活用されています。信託受益権を介さないため信託報酬が不要で、ランニングコストを抑えられる点が大きなメリットです。一方で、原則として資本金1億円以上などの厳しい財務要件があり、参入ハードルは高めです(ただし小規模不特の特例も存在)。
これに対し、第二種金融商品取引業は、信託受益権(不動産を信託化した上でのファンド)を投資対象とする際に必要となります。GK–TKスキームや大型不動産ファンド、機関投資家向け案件では一般的に第二種が用いられています。信託設定には一定のコストがかかるものの、多額の資金を扱うスキームや、スケールの大きい投資構造との相性が良い形式です。ただし、取得時の人的要件(役員経験・内部管理責任者の要件等)が非常に厳しく、組織体制の構築が必要となります。
最適な選択の考え方
小規模案件・クラファン・個人投資家向け → 不特法が有力
現物不動産を直接扱い、ランニングコストを抑えたい場合に適しています。
大型案件・機関投資家向け・GK-TKスキーム → 第二種が向く
受益権を使う複雑なスキームや大規模ファンドでは、第二種の方が運用の自由度が高く、慣例にも合致します。
行政書士からのアドバイス
数十億円規模の大型物件を扱うプロ向けファンドであれば、流通性の高い「第二種(信託受益権スキーム)」が選ばれる傾向にあります。
一方、古民家再生や地方のマンション一棟など、数千万円〜数億円規模の案件を一般個人向けに販売したい場合は、「不特法(特に小規模不動産特定共同事業)」の方が適しているケースが多いです。
どちらのスキームが自社の事業計画に最適か、初期段階で専門家とシミュレーションすることをお勧めします。
ファンド組成・登録を行政書士に依頼するメリット
ここまでお読みいただき、ファンド組成には「法律」「金融」「会計」「税務」の複合的な知識が必要であることをご理解いただけたかと思います。
自社のみで手続きを進めようとして、書類の不備で何度も差し戻しになったり、途中で挫折してしまうケースは少なくありません。
ここからは、金融商品取引業を専門とする行政書士に依頼する具体的なメリットをお伝えします。
1. 複雑なスキーム設計とリーガルチェック
「登録したい」というご相談の前に、そもそも「そのビジネスモデルは登録が必要なのか?」「特例でいけないか?」「他の法律に触れていないか?」という入り口の判断が最も重要です。
行政書士は、貴社の事業内容をヒアリングし、「最短・最適・安全」なスキームをご提案します。必要に応じて、提携する弁護士や税理士とチームを組み、ワンストップでサポートします。
2. 膨大な申請書類・規程作成の代行
第二種金融商品取引業の登録申請には、業務方法書や社内規則など、数百ページに及ぶ書類作成が必要です。これらは単なるテンプレートの穴埋めではなく、各社の実情に合わせたカスタマイズが求められます。
専門家へ依頼することで、社内のリソースを本業(物件の仕入れや営業戦略)に集中させることができます。
3. 金融庁(財務局)との事前折衝・質問対応
実は、申請書類を提出する前に、管轄の財務局と何度も「事前相談(面談)」を行う必要があります。ここで担当官から鋭い質問や指摘が飛び交います。
行政書士が同席・代行することで、当局の意図を汲み取った適切な回答を行い、審査をスムーズに進めることができます。
4. 登録後の継続的なサポート
登録はゴールではなくスタートです。登録後も、毎年の「事業報告書」の提出や、役員変更などの「変更届」、法令改正への対応など、やるべきことは山積みです。
顧問契約などを通じて、コンプライアンス体制の維持を継続的にサポートできるのも専門家の強みです。
まとめ・よくある質問(FAQ)
最後に、当事務所によく寄せられる質問をまとめました。
Q. 会社を作ってすぐ登録できますか?
A. 可能ですが、ハードルは高いです。
新設法人でも申請は可能ですが、「体制が整っているか(人)」と「財産的基礎があるか(金)」が厳しく見られます。特に人的要件(経験者)の確保が最優先課題となります。
Q. 費用と期間の目安は?
A. 期間は半年〜1年、費用は個別見積もりとなります。
事前相談から本登録まで、早くても6ヶ月、長ければ1年以上かかるのが一般的です。費用については、スキームの複雑さや特例業務の有無によって大きく異なりますので、まずは無料相談をご利用ください。
Q. 地方の会社でも対応できますか?
A. はい、全国対応可能です。
Zoom等のオンライン会議システムを活用し、全国の事業者様からのご相談を承っております。管轄の財務局への出張対応も可能です。
本気でファンド事業を成功させるために
ファンド事業は、成功すれば莫大な資金調達と事業拡大を可能にする強力なエンジンとなります。しかし、その強力さゆえに、扱いを間違えれば大きな事故(法的リスク)につながります。
インターネット上の情報を鵜呑みにして「自己流」で進めるのは大変危険です。
「まずは話を聞いてみたい」「自社のプランが可能か診断してほしい」という段階で構いません。金融商品取引業のプロフェッショナルである当事務所へ、ぜひお気軽にご相談ください。
貴社の新たな挑戦を、法務の面から全力でバックアップいたします。