不動産STO参入の鍵は「投資運用業」にあり|デジタル証券化ビジネスの法的要件を解説
不動産STO参入の鍵は「投資運用業」にあり|デジタル証券化ビジネスの法的要件を解説
不動産STO参入の鍵は「投資運用業」にあり|デジタル証券化ビジネスの法的要件を解説
記事概要
近年、不動産投資の新しい形として急速に注目を集めている「不動産STO(Security Token Offering)」。
ブロックチェーン技術を活用し、不動産を小口化・デジタル証券化することで、従来のJ-REITや不動産特定共同事業法(不特法)のクラウドファンディングとは異なる、流動性の高い資金調達が可能になります。
しかし、この不動産STO事業に本格参入するためには、金融商品取引法(金商法)における「投資運用業」の登録が高いハードルとなるケースが少なくありません。
今回は、不動産STOと投資運用業の関係、そして登録に向けたポイントについて解説します。
本文
1. 不動産STOにおいて「投資運用業」が必要になるケースとは?
不動産STOを行う際、多くの事業者がまず気にするのは「トークンを投資家に販売する」ためのライセンス、つまり「第一種」または「第二種金融商品取引業」の登録です。しかし、スキームの設計によっては、販売ライセンスだけでは足りず、集めた資金を運用するための「投資運用業」の登録が必須となる場合があります。
具体的には、以下のようなスキームで、自社が主体となって運用を行う場合です。
トークン化された集団投資スキーム持分(ファンド)の自己運用
不動産を裏付け資産とするファンドを組成し、自社(またはグループ会社)がその資産の運用指図を行う場合、それは「主として有価証券(不動産信託受益権など)への投資を行う」行為とみなされ、投資運用業の登録が必要になる可能性が高くなります。
特に、不特法スキームではなく、金商法スキーム(GK-TKスキーム等)を用いて、より広範な投資家層やセカンダリ市場(流通市場)を見据えたSTOを行う場合、この「運用のライセンス」が事業の根幹に関わってきます。
2. なぜ参入障壁が高いのか? 3つの厳しい要件
投資運用業は、投資家から預かった大切な財産を運用する立場にあるため、金商法の中でも特に厳しい登録要件が課されています。
財産的基礎(資本金等の要件)
純資産額が5,000万円以上であることなどが求められます。スタートアップ企業にとっては、最初の資金調達における大きな目標ラインとなります。
人的構成(プロフェッショナルの確保)
最も難易度が高いのがここです。経営陣に金融商品取引業の知識経験があることはもちろん、「コンプライアンス担当者(コンプラ・オフィサー)」や「運用担当者」として、十分な知識と実務経験を持つ人材を専任で配置する必要があります。
社内体制の整備
利益相反管理、分別管理、システムリスク管理など、金融機関として求められる高度な社内規定と業務フローを構築しなければなりません。
3. 不特法クラウドファンディングとの違い
よく比較されるのが「不動産特定共同事業法(不特法)」に基づくクラウドファンディングです。不特法は許可取得のハードルが比較的低い反面、投資家層が限定されやすく、トークンの流通性(セカンダリ市場)の確保が難しいという側面があります。
一方で、金商法に基づく「投資運用業」のライセンスを取得して行うSTOは、証券会社との連携や、ODX(大阪デジタルエクスチェンジ)等の私設取引システムでの取扱も見据えることができ、「金融商品」としてのスケールメリットを追求できるのが最大の魅力です。
4. 専門家と共に「事業の設計図」を描く
「投資運用業」の登録申請は、単に書類を提出すれば通るものではありません。
事業スキームが金商法のどの条項に該当するのかを正確に分析し、財務局との事前相談を重ね、人的構成や社内体制が基準を満たしていることを論理的に証明していくプロセスが必要です。
当事務所では、金融ビジネスに特化した行政書士として、以下のサポートを行っています。
スキームの適法性診断: そもそも投資運用業が必要か、他のライセンス(助言・代理業等)や特例業務で対応可能かの検討
人的要件のコンサルティング: どのような人材を採用すべきかのアドバイス
登録申請書類の作成・折衝: 財務局対応のフルサポート
まとめ(CTA)
不動産STOは、次世代の金融ビジネスとして大きな可能性を秘めています。しかし、その入り口であるライセンス戦略を誤ると、事業開始が大幅に遅れることになります。
「自社のスキームで投資運用業が必要なのか知りたい」
「登録に向けた具体的なロードマップを作りたい」
このようにお考えの事業者様は、金融専門の行政書士である当事務所へ、まずは一度ご相談ください。貴社のビジネスモデルに最適な法的構成をご提案いたします。