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「不動産STOを行うなら投資運用業が必要」と一律に判断することは適切ではありません。
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不動産STOで投資判断・アセットマネジメント(AM)を担う事業者向けに、投資運用業との関係、運用権限、人的構成及び内部管理体制を解説します。資金調達手法の比較は不動産STOとクラウドファンディングの比較、発行・販売の規制全般はSTO事業の金融規制をご覧ください。
「不動産STOを行うなら投資運用業が必要」と一律に判断することは適切ではありません。
投資運用業の要否は、STOという名称ではなく、実際に誰がどの財産についてどのような投資判断を行うのかによって判断します。
例えば、アセットマネジメント会社が投資判断を行わず、単純な不動産管理業務のみを担当する場合には、その業務だけを理由として直ちに投資運用業となるわけではありません。
また、不動産や金融商品について情報提供や助言のみを行い、最終的な投資判断を顧客等が行うスキームでは、投資運用業ではなく、投資助言・代理業等の検討が必要となる場合があります。
反対に、契約上は「アドバイザー」や「AM」とされていても、実態として有価証券の取得・売却等について裁量を持ち、投資判断を行っている場合には、投資運用業への該当性を慎重に検討しなければなりません。
名称ではなく、契約内容、意思決定権限及び実際の業務フローを確認することが重要です。
不動産STOにおいて特に重要なのが「不動産関連特定投資運用業」です。
投資運用業のうち、投資一任業又はファンド運用業として、不動産信託受益権又は主として不動産信託受益権を投資対象とするファンド持分を運用対象とする場合には、不動産関連特定投資運用業に該当することがあります。
この場合、通常の投資運用業の登録要件だけでなく、不動産運用についての専門的な知識・経験及び体制が求められます。
不動産関連特定投資運用業については、総合不動産投資顧問業者として登録を受けていること、又は人的構成等からみてそれと同程度の知識・経験及び社会的信用を有すると認められることが重要な審査事項となります。
したがって、一般的な金融商品の運用経験だけでは足りず、不動産投資判断、不動産評価、デューデリジェンス、不動産取引、キャッシュフロー分析その他、不動産投資運用について実務遂行能力を説明できる体制が必要になります。
不動産STOへ新規参入する事業者にとっては、投資運用業の経験者だけでなく、不動産運用について十分な経験を持つ人材をどのように配置するかが、重要な登録戦略となります。
投資運用業は、申請書を作成するだけで取得できる登録ではありません。
財務局との事前相談を通じて、事業内容、資本構成、人的構成、運用体制、コンプライアンス体制、利益相反管理、リスク管理等について実質的な確認を受けることになります。
通常の投資運用業では、原則として資本金5,000万円以上及び純財産額5,000万円以上が登録要件となります。
ただし、顧客から金銭又は有価証券の預託を受けず、かつ法令上定められた一定の関係者にも顧客資産を預託させない場合には、資本金・純財産額について1,000万円以上とすることができる場合があります。
したがって、現在の投資運用業参入では、顧客資産を誰が保管するのかというカストディ設計そのものが、資本政策にも影響します。
経営者及び常務に従事する役員について、金融商品取引業を公正かつ適確に遂行できる知識、経験及び能力が求められます。
単に会社経営経験があるだけではなく、金融商品取引法、コンプライアンス、リスク管理等について適切に意思決定できることが重要となります。
実際の投資判断を担当する者には、予定している運用業務を適確に遂行できる実務経験と専門知識が求められます。
不動産STOの場合には、金融商品の運用経験だけでなく、不動産信託受益権、不動産ファンド、不動産評価、取得・売却判断等の経験も重要となります。
資産運用部門から独立したコンプライアンス機能を整備することが原則となります。
営業又は資産運用を担当する者が、そのまま自己の業務をコンプライアンス担当者として監督するような体制は原則として認められません。
利益相反管理、広告審査、顧客管理、法令遵守、苦情対応、法人関係情報管理等について実効性のある体制を構築する必要があります。
投資運用業者には、運用だけでなく、その運用を監視・管理する仕組みが必要です。
帳簿書類及び報告書の作成・管理、運用財産の分別管理、リスク管理、システム管理、運用状況管理、顧客管理、広告審査、顧客情報管理、苦情・トラブル処理、内部監査等について、事業規模に応じた体制を設計します。
近年の制度改正により、投資運用業の新規参入における人的体制の設計には新たな選択肢が生まれています。
2025年5月から「投資運用関係業務受託業者」の制度が開始され、投資運用業者が一定の計理業務やコンプライアンス関係業務を登録を受けた外部事業者へ委託することが可能となっています。
一定の要件を満たして投資運用関係業務受託業者へ業務を委託する場合には、従来は自社内部で確保することが求められていた一部の人的体制について、委託先を適切に監督できる担当者を置くことによって対応できる場合があります。
これは、少人数で投資運用会社を立ち上げる事業者にとって重要な制度変更です。
ただし、「外部委託すれば自社の管理体制が不要になる」という制度ではありません。
委託先に必要な情報を提供する体制、委託先からの指摘を業務へ反映する体制、委託業務を継続的に監督し必要な指示を行う体制等を自社側に構築する必要があります。
事業の対象となる投資家を一定のプロ投資家等に限定できる場合には、「適格投資家向け投資運用業」を検討できることがあります。
適格投資家向け投資運用業では、すべての権利者を法令上の適格投資家に限定し、運用財産総額を200億円以下とすることなどを条件として、通常の投資運用業より一部の登録要件が緩和されています。
最低資本金は1,000万円とされ、通常の投資運用業とは異なり取締役会を設置しない会社形態も可能です。
一方で、不動産STOを一般個人投資家へ広く販売する事業モデルでは、この制度を利用できない場合があります。
「誰にSTを販売するのか」は、販売戦略だけでなく運用会社の登録戦略にも直結します。
ファンドの投資家構成やスキームによっては、投資運用業の登録ではなく、金融商品取引法第63条の適格機関投資家等特例業務を検討できる場合があります。
ただし、特例業務には投資家の属性、募集方法、ファンド構成その他について詳細な要件があり、一般投資家向けSTOにそのまま利用できる制度ではありません。
また、複数ファンドを連続して組成する場合、ファンドごとの形式だけを見るのではなく、実質的な募集・運用の一体性も含めて慎重に制度適用を検討する必要があります。
STO事業を長期的に展開する場合には、単一案件だけでなく、2号ファンド、3号ファンド以降まで見据えたライセンス設計が重要です。
STOでは、「販売」と「運用」を混同しないことが重要です。
電子記録移転権利等の販売・媒介・募集の取扱いを行う機能と、投資家から拠出された資産を運用する機能は、金融商品取引法上別の業務です。
したがって、自社でSTの販売と資産運用の双方を行う場合には、一つの登録だけでは完結せず、複数の金融商品取引業の登録区分が問題となることがあります。
一方、販売を第一種金融商品取引業者へ委託し、自社は投資運用業だけを行うという役割分担も考えられます。
参入初期からすべてのライセンスを自社取得するのか、既存の証券会社・信託会社・アセットマネジメント会社等と連携するのかを含めて事業設計することが重要です。
金融商品取引業の登録では、正式な申請書を提出する前の財務局との事前相談が極めて重要です。
事前相談では、会社概要だけではなく、事業スキーム、取り扱う金融商品、投資対象、顧客属性、募集方法、運用方法、人的構成、社内規程、収支計画、システム、コンプライアンス体制等について確認が行われます。
不動産STOではスキーム自体が複雑になりやすいため、会社設立、人材採用、システム開発等を先に進めてから登録上の問題が判明すると、大幅な設計変更が必要になることがあります。
そのため、事業計画の初期段階で必要ライセンスを確定し、その登録要件から逆算して会社・人員・契約・システムを設計することが重要です。
運用判断、物件管理、投資家への報告、分配及び権利移転について、契約上の権限と実際の業務フローを一致させます。STプラットフォームや外部事業者を利用する場合も、自社が担う管理・確認事項を明確にしておくことが重要です。
金融商品取引業の登録取得は、事業開始のゴールではありません。
登録後には、法定帳簿、事業報告、広告審査、顧客管理、利益相反管理、モニタリング、コンプライアンス研修、内部監査、事故・苦情対応、外部委託先管理、変更届出等の継続的な規制対応が必要になります。
STOの場合には、これらに加えてトークン管理システムやプラットフォームについての継続的なリスク管理も重要となります。
そのため、登録時だけ形式的に人員や規程を整えるのではなく、登録後に実際に運用できる組織を作ることが重要です。
必ず必要になるわけではありません。
発行する権利、裏付資産、投資判断権限及び各関係者の役割によって異なります。
自社が投資家から拠出された財産について有価証券等への投資判断を行う場合には投資運用業が問題となりますが、販売のみを行う場合、投資助言のみを行う場合、不動産管理のみを行う場合などでは異なる整理となります。
第一種金融商品取引業と投資運用業は別の業務区分です。
第一種金融商品取引業は主として有価証券の売買・媒介・募集の取扱い等に関する業務であり、投資運用業は投資判断に基づいて財産を運用する業務です。
両方を自社で行う場合には、それぞれについて登録が必要となる可能性があります。
不動産AMとしての経験があることだけで、金融商品取引法上の投資運用業を行えるわけではありません。
STOスキームにおいて金融商品取引法上の投資運用業に該当する業務を行う場合には、原則として同法上の登録又は適用可能な特例制度が必要です。
原則は5,000万円ですが、一定の場合には1,000万円とすることができる制度があります。
顧客から金銭又は有価証券の預託を受けないこと等の法令上の条件を満たすかどうかを、具体的な事業スキームに基づいて確認する必要があります。
必ずしも登録そのものが必要というわけではありません。
不動産関連特定投資運用業を行う場合、総合不動産投資顧問業者として登録されているか、又は人的構成等からそれと同程度の知識・経験及び社会的信用を有すると認められることが求められます。
現在は外部委託を利用した体制設計の選択肢が拡大しています。
投資運用関係業務受託業者へ一定の業務を委託することによって、自社内で必要となる人的体制を合理化できる場合があります。
ただし、運用判断そのものや委託先の監督等、自社に残すべき機能については十分な体制を確保する必要があります。
予定する投資家層、資金調達額、商品の流通性、事業規模及び将来展開によって異なります。
不動産特定共同事業法によるスキームと金融商品取引法によるSTOでは、許認可、商品設計、運用体制等が大きく異なるため、事業計画の段階から比較検討することが重要です。
むしろ、スキームを確定する前の段階で行政規制を整理することが重要です。
必要ライセンスを確認せずに会社設立、人材採用、システム開発等を先行させると、後から大幅なスキーム変更が必要になる可能性があります。
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編集・発信:行政書士 緒方法務事務所
運営責任者:特定行政書士 緒方 隆朗(資格・経歴・事務所概要)
ページ更新日:2026年9月15日